<PAGE 3>

この前のオープンコンサートは大成功だった。

でも、イベント会場の揺れるちょうちんの前で

これからの事考えたら、小さいタメ息がもれた。

 

そしてオレは高校を卒業し、何も動かないまま、ただバイトに明け暮れる毎日を送っていた。

進学したヤツ、就職したヤツ、親の後をついだヤツ。それぞれの道を歩いてる。

オレは・・・・。

 

オレは、その時昼はレストランでバイト、夜はバンド練習と

ただ何となく過ごしていた。

天井に貼ったコード表をぼんやり眺めながら 

さっきの事を思い出していた。

 

「ほんとうに東京にいくとか?」

「にいちゃん、そろそろ夢ばっかし追っとらんと、地道に生きないよ。」

「東京じゃ、ちゃんとメシば食えっとか?」

オレよりずぅっと堅実な弟に言われた言葉の数々が

突き刺ささるように、のしかかってくる。

オレや両親の事、考えて、心配して言ってくれてる。

 

「・・・ああ、わかっとう。」

これだけしか言えなかった。

なんとでもなるって思ってたけど、未来のビジョンは見えていなかったし

かといって、夢をあきらめて、それを家族のせいにだけはしたくなかった。

いつかはこの弟にも誇りに思ってもらえるようになる。

そこに行き着くまで、父さんと母さんをよろしく頼む。

そんな気持ちも込めた一言だった。

 

わかってくれたのか、説得はあきらめたのか、弟はそれからは何も言わなくなった。

もうすぐ19の誕生日を迎える。

STORY 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

 

 

この小説は一部事実を元にしたフィクションです。
このサイトのいかなる映像・文章も転載を禁じます。