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 宮崎発〜東京行き。片道の航空券。離陸するちょっと前

前の日の出来事を思い出していた。

 

「トモヒサ、ちょっとここに座んない。おか-さん、アンタに謝らんといけん。

・・・おか-さん、アンタの育て方間違った。ごめんなさい。」

あんまりにも真面目な顔で話すからおっかしくって笑っちゃったよ。

「ごめんなさいって・・・オレはこれで幸せだったよ。」

それから2人でしばらく笑ってた。

泣いてるように見えたけどとにかく笑ってた。

 

強い女性(ひと)だ。働きながらオレら兄弟を立派に育たててくれた。

感謝しても感謝したりないと思う。

オレが東京に行くのを後押ししてくれたのは、進路指導の先生とこの女性(ひと)だ。

夏休み過ぎてもオレには進路指導の順番が回ってこなかった。

「先生ェ、オレは進路指導せんでいいとか?」

「川添か・・・お前は音楽でメシ食うっちゃろ?なら、やればいいっちゃが。」

「・・・・・・・」

驚いてるオレを後にして笑いながら先生は行ってしまった。

 

ああ、そうか。それでいいんだ。アリなんだ。

今思うとあの時こんな風に、ちょっと特殊な進路指導を受けてなかったら

オレの人生は変わっていたかも知れない。

かなりブッ飛んでる先生だったことは確かだ。

余計な事は言わずオレを信じてくれた。

オレの可能性をつぶさずに生かしてくれた。

人として大きい大人がオレのまわりには、いてくれたんだ。

それはオレにとって、最高の環境であり、恩返しの対象になった。

 

「間もなく当機は羽田空港に着陸します。」

シートベルトを確かめ、窓の外に見える曇った空をぼんやり眺めた。 

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