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さむっ・・・・ちっくしょ〜。なんでこんなことになったんだ。

バイトもクビ。バンドの仕事も飛んだ。

昼まではよかったんだ、昼までは。

 

いつも通り店に行くとオーナーが

「年末の所悪いけど、向こう(姉妹店)の店でベースいないから行ってくんない?」

その店は基本的にはバーなんだけど、生のバンド演奏もやってる。

何回目かの引っ越しをして、バイトもしながらここで演奏していた。

「いいっすよ。バイトの方途中で上がらせてもらいますんで。」

 

バイト先には店長がいた。デカい電化製品をおろしている店だ。

「店長、悪いっすけど、今日昼迄でいいっすか?ちょっと仕事入っちゃって。」

「ん〜〜〜。年末だけど・・・ま・・いいか・・・。」

「すいません!」

その日早く上がらせてもらうって事もあるし、いつもよりたっくさん頑張った。

年末で配送がめちゃくちゃ忙しかったけど、その日の分くらいは働いたハズだった。

「じゃ、そろそろ上がらせてもらいますっ!」

「ちょっと待て!!オマエどこに行くんだ?」

社長だ。なんで社長が?

「このクソ忙しい時によく『あがります〜』なんて言えるよな。

オレ自らこうして働いてるってのに。」

「・・・すいません。でもどうしても行かなきゃいけなくて」

店長の顔、ちらっとだけ見た。フクザツな顔をしてる。

ここで何か言うと自分もとばっちりをくうのを知ってるんだ。

「・・・大体だなあ、どうしても行かなきゃいけないとこってどこなんだ?ああ?」

「・・・バンドの仕事です・・・」

社長から顔を背けたまま呟くように言った。

「!!はッ!!バンドなんかでメシが喰えるとでも思ってンのか!

どうしても行かなきゃいけないっつーからオヤでも死んだのかと思ったのに!」

・・・・・オイ・・ちょっと待て・・・今、なんて言った?

バンドなんか??

思考回路がヒートアップした。

その間も社長の怒鳴り声は続いている。

 

・・・バンドなんかだと?

心臓が速くなって、周りの音が聞こえなくなって

目の前が赤くなってる。赤いカーテン越しに見てるみたいに。

わめいてる社長の声を切り裂くようにオレは叫んだ。

「わかったよ!!辞めてやるよ!こんなとこ!!」

引き千切るようにして脱いだ制服を叩き付け

ロッカーからブルゾンとベースを取り出し

バイト仲間が唖然とする中、バイト先を飛び出した。

途中店長と目が合ったんで少しだけ頭を下げた。

この後、あのムカつく社長に怒られるのはこの人なんだ。

そう思うと心がチクっとした。

足早に駅に向かうオレの後を社長の罵声が追い掛けてくる。

「バイト代は出さねぇからな!!」

「いらねェよ!」

通行人が驚いて振り向いてた。

 

心臓の速さに合わせて大股で歩く。

バンドなんかって言われた事にものすごく腹がたった。

あんなオヤジに解ってたまるか。

 

バイト先クビ(自主退職だ)の原因である店に着くと

店のマスターは、オレの顔を見てこう言った。

「ああ、もういいや。別のヤツ入れたから。」

「?!」

・・・・・は??・・・・

頭の中で『?』と『!』がグルグルまわってる。

どういうこと?だってここに来るために社長とケンカして

バイト先もクビ(自主退職だってば)になったんだろ?

あ、え〜と、いまいち把握できねぇ。

え〜と。え〜っと。

真っ白になってるオレにとどめの一言。

「あ、キミもう帰っていいよ。ゴクローさん。」

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この小説は一部事実を元にしたフィクションです。
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