踊れトスカーナ!   ★★★★

1996年 イタリア
 監督  レオナルド・ピエラッチョーニ
 脚本  レオナルド・ピエラッチョーニ,ジョバンニ・ベロネージ
 出演  レオナルド・ピエラッチョーニ,ロレーナ・フォルテーザ
        バルバラ・エンリーキ,マッシモ・チェッケリーニ他

本作は変化とは無縁の片田舎にある小さな町で、
その町の4割の税務を任されているレヴァンテの物語。

「踊れ」という言葉に惹かれたあたしとしては
もっとこうダンスシーンがあってくれたら良かったんですけどねぇ。
それが不満と言えば不満なんですけど、
でもダンスシーンが少ないことなんか、
全然気にならないくらい愉快な作品なんです。
それもこれも、出てくるキャラというキャラが、
みんな一筋縄でいかないからなんですね。
キャラ一人に必ず一つはネタがあるくらい
笑いどころがたくさんあって、
それが結構ベタだったりもするんですけど、
キャラ的に素直に納得させられちゃって
引いてしまうどころかついつい笑わせられちまうのです。

ただ、個人的にそれはちょっとやりすぎだろっていう部分があって、
ちょいと引いてしまったところもあるにはあるんですが。
ま、でもそれもきちっと次の笑いの布石にはなっているんで、
それでガクッと興醒め、
という感じにはならなかったんですけどね。

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アメリカン・ビューティー   ★★★★

1999年 アメリカ
監督 サム・メンデス
脚本 アラン・ボール
出演 ケビン・スペイシー,アネット・ベニング,
   ソーラ・バーチ,ミーナ・スヴァーリ,クリス・クーパー他

本作はアメリカの郊外に居を構えるものの、
 何事にも枯れ果てた42歳の中年レスターとその家族の物語。

確か本作は「中流家庭の崩壊を描いた・・・」
というような紹介のされ方をされていましたが、
実はこれ、ズレてますよねぇ。
だってもう冒頭から崩壊しちゃってるんですもん。
そんなこと5分もしない内に解っちゃう。
だから「如何に崩壊していくのか」を
期待してみた人は肩すかしを食らわされてしまうでしょうね。

本作に登場する人々は
既成の価値に無批判に乗っかっているんですね。
で、それがもたらす圧迫感にヒィヒィ言ってるわけなんですけど、
そのことを自覚していないから
そこから他者が逸脱していくことに苛立ちを隠せない。
それはどこかありふれていて、類型的な印象が残るけれど、
全ての人物がそれぞれ個別の問題を抱えているようでいて、
その実、問題の根っ子は同じなわけです。
だから登場する人物で最も幸せそうなのが
お隣のゲイカップルっていうのも実は当然という、
ここら辺の人物の関連付けは実に秀逸ですね。

とは言え、計算され尽くした映像が随所に見られる割に、
時々挿入される「美」のイメージの多くが
余りに平凡で映像として弱いように思えたのは否めません。
尤もそれらがリッキーの個人的な美意識の反映なんだから
と言ってしまえばそれまでですけど、
あたし個人としてはやっぱり
もう少しやりようがあったのではないかと思わざるをえません。
少なくとも一つは悪くない映像を提示しているわけですから。
また、ケビン・スペイシーも上手いんですけど、
キマリ過ぎて時々それが鼻についちゃったり
(例えば序盤のパーティ会場で独り酒をあおるシーンとか)
全体的にちぐはぐなところが幾つか見られ、
他がビシッと決まっているからこそ
かえって作品の統一感を損ねていますね。
これは幕切れについても言えることで、
物語の流れ的には不自然というわけではないけれど、
ああする必要があったのかどうか。
どこか無理矢理(調整するように)ああした感じがして
個人的には少々不満が残っちまいました。

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ヴァン・ダム in コヨーテ   ★★B級度75%
(はB的観点からの評価)

1999年 アメリカ
 監督 ジョン・G・アビルドセン
 脚本 トム・オローク
 出演 ジャン・クロード・ヴァン・ダム,パット・モリタ,
    ダニー・トレホ,ガブリエル・フィッツパトリック他

本作はかって兵士として戦いに明け暮れていたが、
今はそうした人生に疑問を抱き
生きる気力を失っているエディーの物語。

まぁ、タイトルから解るように本作はBです。
もうコッテコテのB級映画。
なもんですから、いつもとは異なる「B」の視点での
レヴューであることをまずはお断りします。

何がイカしているかって、
このシナリオほどイカしたシナリオもないでしょう。
もうまんま漫画なんですよねぇ。ノリが。
これを実写でやっちゃう面の皮の厚さが堪んないッス!
ヴァン・ダムの目的は盗まれたバイク
(=古馴染みへのプレゼント)を奪還することで、
熱い友情から戦いへ赴く漢(おとこ……ぷぷ)という
少年漫画定番の展開もさることながら、
これを生きる理由にしてしまうのも安直で良いゾッ!

実際、殺し始めた途端にヴァン・ダム君は
冒頭で「生きていたくないんだよぅ・・・(涙)」
と泣きを入れていた人物とは
思えないくらい活き活きとし始めちゃうし。
まるで、バイクは簡単に取り戻せそうだけど
それだけじゃ収まらん。やられたら3倍返し、
これが俺のやり方だぜっ!!

とばかりに蹴るわ、殴るわ、撃つわ。
もう、めったやたらに無用な殺生をしまくるんです。
何よりヴァン・ダム君は強い。果てしなく強い。
そして雑魚キャラは弱く、哀しいほどアホ・・・。

このハード(?)アクションの箸休めとして
コントの様なお笑いや精力絶倫ぶりもアピール。
なんでこんな面白いヤツが生きる気力を失うんだ?
という疑問すら抱かせない怒濤の展開は
まさにB級度爆発と言っていいでしょう。
また、パット・モリタの存在も忘れちゃいけませんね。
ヴァン・ダムだけでも十分愉快なんですが、
パット・モリタがとぼけたキャラを
なかなか好演してまして、作品に厚みをもたらしています。

とは言え、これだけのヴァン・ダムの強さだと
本作のような辺鄙な地方の小悪党相手では、
ピンチにも切迫感がないのは否めません。
結局、敵の矮小化に伴って
ヴァン・ダム自身も矮小化してしまい、
カタルシスまで矮小化してしまってるんですね。
やはりもっとワールドワイドな(笑)
強大な敵を向こうに張った方が、
ヴァン・ダムの格好良さが映えるのではないでしょうか?
(加えて荒唐無稽なお笑いも、ね)

Strange?Strange! Bclass Index

アフリクション〜白い刻印〜   ★★★

1997年 アメリカ
 監督 ポール・シュレイダー
 脚本 ポール・シュレイダー
 出演 ニック・ノルティ,ジェームズ・コバーン,ウィレム・デフォー,
    シシー・スペイセク,メアリー・ベス・ハート他

本作は、飲んだくれで暴力的な父親の元で育ち、
今は自分の育った街で警官をしているウェイドの物語。

主演がニック・ノルティ、
原作が「スウィート・ヒア・アフター」の
ラッセル・バンクスと聞いたら、
もう観るしかない!!
ってなわけで、かなり期待して観たんですが、
期待していたほどではありまへんでした。

物語は親の性癖が子へと
生物学的にではなく、環境的に遺伝していくことの
苦しみを背景に生じる悲劇、です。
確かに、自分の力ではままならぬものにばかり囲まれている、
ウェイドの苛立ちはよく伝わってくるんです。
(虫歯の扱いが実に象徴的で良いっす。)
その大元となるのが父子関係であり、
彼がそれに苦しみもがく様は
しっかり描かれている
んですが、
その反面、抱える苦悩の反動として
彼が執着する自己規範が見えにくいんですね。
だから、それによって彼が疑念を抱き、
妄想を膨らませ、暴走するラストが
駆け足になってしまっていて
観終わった後の余韻として深まってこないんです。
この観終わった後の深まりの無さは、
もう一つ、ウェイドの弟である
ロルフが語り手であることにも起因していて、
ロルフの存在が余りに希薄過ぎたせいでもありますね。
本来なら、同じ境遇で育った二人を対比することで
ウェイドの苦悩がより浮き彫りになったはずで、
(ま、本作でもやってはいるんですけど)
作品の作りは実に安定感があって
それなりに見応えはあるんですけど
それが残念でなりませんね。

とは言え、主演のニック・ノルティの
存在感もさることながら、
ジェームズ・コバーンがクソ親父を好演。
(98年度アカデミー賞最優秀助演男優賞受賞)
いや、もうホントにいや〜な感じで、
ニック・ノルティならずともそりゃ切れるっつの。

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