| ■■■■ Pre-View ■■■■ |
「この映画はライフスタイルを描いているのではなく、"ライフ"を描いた作品なんだ」デイナ・ブラウン監督のそんな言葉から始まる本作は、確かにサーフィンにひたむきに取り組む人々の姿を丹念に追いかけることで、人が生きるということはどういうことなのか、何が必要なのか、何を求めるべきなのか、という普遍的な問いに対する答えを我々に提示している。それは「楽しむこと」その一点に他ならない。
人生を楽しむ――この余りに単純過ぎて多くの人々が忘れてしまいがちな真実を、本作はサーファーと波の関係を通して丁寧に、そして驚くほど明快に浮き彫りにしている。それは二つとして同じものがない波という一瞬を、ただひたすら追いかけ乗りこなすことだけに夢中になっている彼らの姿全てに、はっきりと見てとれるのだ。
宗教対立で分断されたアイルランドでサーフィンによって子供達の心の垣根を取り除こうとする兄弟、首の骨を骨折し下半身麻痺に陥りながらも仲間と共に波乗りに興じる青年、見よう見まねで小さな波に挑む子供達、今なお波と仲良く戯れることに余念がない「エンドレス・サマー」の主人公・ロバート・オーガスト老など、本作には老若男女様々なサーファーが登場するが、彼らのとびきりの笑顔を見れば、彼らが理屈抜きでサーフィンのある人生を楽しんでいることがひしひしと伝わってくるはずだ。仕事に追いまくられている自分の人生に、ちょっとでも懐疑を抱いたことのある人が観たなら、こんな風に笑って過ごしたことが最近あったかだろうか……と嫉妬してしまうに違いない。
本作が飛び抜けて素晴らしいのは、サーフィンに秘められた奥深い精神性を描き出しながらも、ドキュメンタリーにありがちな堅苦しさとは全く無縁であるということだ。それはひとえに、特殊効果もスタントも使わない本物の映像の力によるものだろう。ビルのように巨大な波を、或いはチューブの中を、華麗に滑り抜けていく彼らのスーパーテクニックはただただ圧巻、素晴らしいとしか言いようがない。それは観る者を圧倒し、その次の瞬間には爽快な気持ちにさせる驚きに満ちた映像体験なのである。また、その映像に合わせて奏でられる楽曲の数々も、興奮を掻き立てずにはおかないだろう。
単純に映像を追いかけるだけでも十分楽しめる作品に仕上がっているので、サーフィンを嗜む人はもちろんのこと、サーフィンと無縁だった人でも退屈することはないはずだ。寧ろこれまでサーフィンと無縁だっり、ちょっと偏見を持っていた人にこそ観て欲しい作品ではないかと思う。サーフィンやサーファーに対するイメージが根底から覆されることになるに違いないからだ。それどころか劇場を出る頃には、「機会があったらサーフィンをやってみたいな」などと思い始めている、新しい自分にきっと気が付くことだろう。この夏必見のドキュメンタリーを楽しもう!
(Pagedesigned & written by 仙道勇人)
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| ■■■■ Liner-Note ■■■■ |
伝説のエンドレスサマーを生みだした最強の親子
数あるサーフィン映画の中において、世界中でもっとも知られた映画といえば1964年に公開されたドキュメンタリー映画「エンドレス・サマー」をおいてほかにはない。2人のサーファーが波を求めて終わりなき夏へと旅に出る。セネガル、ガーナ、ナイジェリア、南アフリカ、オーストライア、ニュージランド、タヒチ、ハワイ、そしてカリフォルニア。今でこそ知れるスポットながら当時はほとんど情報のない未開の場所でのシーンに、世界中の若者がくぎ付けとなりアドベンチャー・サーフィンという新しい価値が熱狂的に指示された映画でもあった。それから30年後、再び別の2人のサーファーがノンストップなスリルを求めて旅にでたのが、1994年のこと。映画「エンドレス・サマー2」は記憶にもまだ新しい。
そして、2004年夏、過去2本の最高傑作を生みだした巨匠ブルース・ブラウンが制作総指揮をとり、その息子であるデイナ・ブラウンが監督・脚本を手がけた超大作「ステップイントゥリキッド」が、終わりなき夏を再び蘇らせた。
サーフィンという文化に、新しい価値観と感動を盛り込み、我々の心にストレートに問いかけてくるのはサーファーという人間の生き方。世界各地の多様な波と接するサーファーたちの姿を、空から、船から、そして水中からとダイナミックに捉えた本作品は、スポーツ・ドキュメンタリーを超えた感動のヒューマン・ドキュメンタリー作品である。
さらに、この映画は観る人に、人生にとって何が大切なのかを教えてくれる。ふたつとして同じ波がないのと同様、人生だって繰り返しはない。波も人生も貴重なものであり、常に輝いている。それを追い続けることがどれだけ素晴らしいことか。サーフィンを通じて通いあう心と心。この映画はサーフィンを知らない人でも分かちあうことのできる人生の黙示録でもある。
サーファーの数だけ物語がある、波の数だけ楽園がある
ドキュメンタリー映像にとってリアリィティな映像迫力は不可欠である。ことサーフィンにおいて波の迫力を欠いた作品はまずあり得ない。さらに重要なのがストーリー性のある流れを演出する構成力であろう。そういう意味からすればこの映画は、そのどちらにおいても高い評価を得ることのできる優れた作品となっている。
デイナは、過去2度にわたる終わりなき夏で登場したロバート・オーガストやウイングナットらのベテラン・サーファーをこの作品に登場させただけに終わらず、サーフィン文化を築いてきた多くのレジェンドたちにもスポットを当てた。40年という時間軸をまずはそこに見いだし、現在なおサーフィンを楽しむレジェンドたちの雄姿を捕えるとともに、テキサス、ウィスコンシス、アイルランド、ベトナムと地球を縦横無尽に駆け巡る空間軸が交差するその巧みな演出にデイナの斬新な発想が伺える。
時空間の織りなすストーリー展開をさらに印象づけるのが、そこに登場するサーファーたちの個性豊かな生き方だった。28年間一日たりとも休まずにサーフィンを続けた男、巨大タンカーの走りすぎた後に残る航跡にテイクオフする男たち、陸から160キロも離れた大洋の真っただ中で巨大ウェイブを捕えた男たち。
かつてサーフィンをここまで広い範囲で追いかけた映画があっただろうか。サーファーの人間図鑑ともいえる多様な生き様が見事にフィルムに収められている。そして、映像の合間に折り込まれるサーファーたちのコメントはすべてインタビュー形式でまとめられ、サーフィンや人生について真面目に語りかける登場人物たちの個性が、独特なメリハリとなって本作品を印象づけている。
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| ■■■■ CAST ■■■■ |
レイアード・ハミルトン
ケン"スキンドッグ"コリンズ
ピーター"コンドル"メル
ショーン"バーニー"コリンズ
ダリル"フリー"ヴィロッコ
ジェームス・フルブライト
ザ・マロイ・ブラザーズ
タジ・バロウ
ジェシー・ビュラー
ジェニファー・コディー
ケアラ・ケネリー
ロシェル・バラード
レイン・ビーチリー
ジェリー・ロペス
ロバート・オーガスト
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| ■■■■ STAFF / CREDIT ■■■■ |
監督・脚本:デイナ・ブラウン
制作総指揮:ブルース・ブラウン
レイ・ウィレンンバーグJr.
アソシエイト・プロデューサー:c.リッチ・ウィルソン
共同プロデューサー:スコット・ウォー
撮影監督:ジョン・ポール・ビーグリー
音楽監督:ジョー・フィッシャー
ジョージ・アクゴニー
音楽:リチャード・ギプス |