Rarara Rururu!
アスカが飛び出しのを見て、いや、正確には平手を思いっきり食らった時点で
シンジの意識は飛んでいた。
呆然と立ち尽くすシンジにトウジとケンスケが近寄っていく。
ヒカリは、周りの女子に事の成り行きを聞いていた。
「おい、シンジ大丈夫か?」
「・・・うん・・・」
心ここにあらずと言った感じで返事をするシンジ。
目が、この世を見ていない。
(あーこりゃシンジの奴、目がやばいで・・)
(まずいことにならなきゃ良いけど・・)
もう一人、シンジの目が普通でないことに気づいたものがいた。
(へぇー・・君はこんな目もするんだね。
いつもの君からは想像は出来ないけど。と言っても、本来そういうものか。)
周りを女子に囲まれた(といってもその女子達もいまは事の成り行きを見ているが)この少年、
銀髪に赤い瞳、中世的な顔立ちと、クールできざな性格が熱烈な女性ファンを作っている渚カヲルも
シンジの目が輝きを増すでも、くすむでもないのだが、瞳に何かしらの変化を見出していた。
遡ること1年弱。
去年の夏休み中、シンジは急性錯乱状態に陥った。
その場には友人もいた。
彼らの話によると、
歩いていたら突然足を止め、さらに何かぶつぶつと言い始めたのだ。
そして、何だろうと思っていたらゲームセンターにたむろしていたヤンキーに突然襲い掛かったのだ。
普通ならひ弱な中1など、ぼこぼこにされるのが当然だろうが、
訳のわからぬことを叫びながら必死の形相で突然襲いだしたシンジは
はっきり言って恐怖以外の何物でもなかった。。
不良たちも危ない少年にかまっていられるかと逃げた。
トウジ達もそのままゲームセンターで暴れるシンジを止めることはできず
結局店員が呼んだ警察官に取り押さえられたのだ。
その後、精神病院へ搬送しようとしたところで
学校で連絡を受けた赤木リツコ教諭と日向マコト教諭がやってきて
医師免許と鎮静剤を持っていると言うことでシンジを引きとったのだ。
もちろん店の被害は後に弁償済みだ。
急性錯乱の原因は決してはっきりと分かることはない。
後につれていった精神病院の医者にもやはりわからず、
結局何らかのストレスによるものとしか考えられない、とうやむやになってしまった。
だが、シンジはとくに心配事などないと言うし、友達に聞いても学校生活は普通におくっていると言う。
では一体なんなのだろうと両親は疑問に思ったが、
ほかにこれと言った理由が思い当たるわけもなく、分からないままだった。
そして、その事件を境にシンジは時々変わったことを言うようになった。
別に頭がおかしいとかそう言うことではなくて、ちょっと変わったことを言うだけだ。
たとえば、誰かの人物評をしていたらシンジ一人はまったく逆のことを言ったり
突然何の変哲もない光景を前にして一言漏らしたり。
傍から見れば、夏休みを間にはさんでいることもあってシンジも多少性格変わったんだな
ぐらいですむかもしれないが、その段々変化するではなく
ある日を境に、しかも普通ではない状態に陥った後の変化としてトウジ達は不安に思っていた。
それが一体シンジの何を指し示すものなのか・・・。
そして、この目。
急性錯乱状態の時を彷彿とさせるこの目を見て
トウジ達がやばいと思ったのは当然のことだった。
「ちょ、ちょっとシンジ、他の場所・・・そうだ、惣流探しに行こうぜ
ちゃんと謝らないと。」
「そ、そうやな、わしらにも責任あるさかいに。」
この場で暴れ出されては大変だと、ケンスケとトウジが教室から連れ出そうとする。
シンジは特に抵抗することもなく引っ張られていった。
だが、教室から出たはいいが掃除中のためどこに行っても人目がある。
(まいったな・・)
シンジは相変わらず引っ張られるがままだ。
ケンスケはそのシンジの様子を見てトウジに耳打ちする
(ちょっと、リツコ先生のところに行ってくるから
てきとーにその辺を歩き回っててくれ。)
(お、おい、わし一人じゃどうにもならへんで)
(大丈夫だって、まだ暴れ出す兆候はないから)
(んなこといったって、突然暴れ出すかもしれへんやんか。)
(しょうがないだろ、とりあえず行ってくる)
「じゃ、シンジ、二手に分かれて探してくるな」
そう行ってケンスケは走っていってしまった。
(ほんな殺生な〜切れた時のシンジにぼこぼこにされんのはわしか〜(泣))
普段は物静かで体育などもトウジにかなうべくもないシンジだが
人間誰でも馬鹿力を持っているもので、
それを発揮するシンジに普通の状態の人では太刀打ちできない。
トウジが途方にくれていると、シンジがポツリとつぶやいた。
「惣流さん、探さないと。」
幾分か目も普通に戻ってきている。
「ほ、ほうやな。せやけどどこに行ったかわからへんで」
「人気のあるところにはいないよ、多分・・屋上あたりじゃないかな?」
「なるほど・・せやけどケンスケがまだ・・って」
すでにシンジは歩き始めていた。
さっきまでも無意志の反動とでも言うのだろうか
何があっても止まりそうにはない。
トウジも仕方なくついていく。
そして屋上に上ると、シンジの予想通りアスカはいた。
が、シンジ達を発見したアスカの態度は驚くべきものだった。
「ホラ、さっさと土下座して謝りなさいよ。そのために来たんでしょ?」
「・・・・」
どこまでも傲慢で高飛車な言い方。
それは懺悔に命をささげに来た者の心さえ、180度転換させるほどの威力を持った態度。
・・・一部の趣味の方には耐えられない快感『ボガカッ』・・を・・(死
「こ、この腐れアマー!さっきのはうそ泣きやったんかい!
心配して探し回ってみりゃぁ」
シンジの為に教室から脱出した事はすでに忘れている。
「フン、なにようるさいわね、謝る気ないって言うの?
せっかく寛大にも許しを乞う機会をあげたのに!」
腕を組んでプイっと横を向くアスカ。
トウジにしてみれば何から何まで気に障る。極度に。
シンジは、この騒ぎで完全に我に返っていた。
そして今にもアスカに飛び掛らんばかりのトウジに気づき必死に止める。
「と・・トウジ。一応こちらに非があるわけだし押さえて押さえて!」
「日本男児がここまで馬鹿にされて黙っていられるかちゅうんや!」
「唯の関西弁の癖にうるさいわね。こんなところでコントやってんじゃないわよ。
ばからしいからワタシ、帰るわよ」
「な、なんやとぉー!!」
今にも血管プチんと行きそうなトウジ。
暴れるトウジを押さえるのに体が持たないシンジ。
やがて走ってやってきたリツコは、やるせない表情を漂わせながら
シンジのための鎮静剤をトウジにそして疲労の激しいシンジに強壮剤を打ったのだった。
ケンスケは入れ違いに会ったアスカにたすら謝り続け
あの暴れザルを何とかしなさいよ、と言うアスカの言葉にリツコの後を追って走っていった。
そして見つけたリツコのため息をつく姿に写真機がなかったことをちょっぴり悔やみながら
自分の親友ーしかもなぜかジャージの方ーに
まだ「暴れ」の余韻が残っているのを見てあきれていた。
次回、突然山場です。あはは、パソ修理いつになるか分からんけどお楽しみに!
長さも今回の変わりにちょっとばかし長いです。
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