ーーさかのぼること一日、登校日初日ーー

「レイ?」

ゆさゆさ、起きる気配はない

「レイ、起きなさい。今日から新学期よ」

『ガバッ』
一気に飛び起きるレイ。
寝癖のついた髪もふらふらとゆれる。
が、まだ眠りまなこだ。

「大丈夫まだ時間はあるわ。
 ちゃんと顔洗ってから朝ご飯食べに来なさいよ。」

そう言ってレイの母親は去っていった。

レイは、寝不足気味の目をこすりながら流しに向かった。
いつにも増して体が重い・・どうしたのだろう?
蛇口をひねって水を顔にかけた時に思い出した。

昨日の夜、何かのきっかけ母親と話し込んでしまったのだ。
明日から始まる学校のことについて。

『レイが学校で孤立している』
去年の担任からそんな話を聞いていたレイの母が娘を心配して、
機会を得た昨日の夜話し込んでしまったのだ。
レイは、人と喋るのが得意ではないし、それに人と喋らなくても良いと思っていることを告げた。
私は、それでも十分に生きてこれたと。
レイの母親は、それでもしかし、あきらめなかった。

「レイ、今年の新学期になって、
 知らない人もたくさんいると思うけどこれだけをお母さんと約束して?」

テーブルの向かいに座っていた母がまじめな顔をしてそう言った。

「なに?」

「今年最初に喋りかけてくれた人と、出来るだけ仲良くするってこと。」

「・・なぜ?」

「声をかけてくれるって言う事は、少なからずレイに好意を寄せてくれてるって事でしょう?
 そうしたら、友達になれるじゃない」

「そうかもしれない・・。」

「そうでしょ?それに、かっこいい男の子とかだったら、レイの夢がかなうじゃない。」

夢とはちょっと違ったが、実はレイは恋愛小説が好きだったりした。
部屋には、ちょっとした図書館が開けるくらいの恋愛小説の山。
母親もそれを知っているのだ。

レイは、それを読んでいるうちに自分にもいつかそう言う出会いがないかなと思うようになったのだ。
レイは母親とは仲が良く、誰とも話さない反動でもあるのだろうか、
母親には逆に何でも話すのだ。こういった、理想、夢とかも。

レイはその夜、明日を思ってなかなか寝付けなかった。
いったいどんな王子様が私を待っていてくれるのか!








そして始まった新学期。

レイにはじめに声をかけたのは、

                  葛城ミサト先生だった。



その担任の何事をも恐れぬ性格も有り、

                 二人は晴れて禁断の世界へーー












・・・・という落ちはない。


(あれは全員に向かってしゃべったのだから。
 違うわ・・。)
良く考えた後、あまりのうるささからそうレイは判断した。
(うるさいのは、いや・・。)

そして、いまだ起こらぬ出会いにレイが焦れていた時、行われることになった懇談会。
(そう、ここがチャンスね。)

目の前に座っている少年。
恋愛小説の王道
   ー超美少年に、スポーツ万能、優しくてかっこよくて・・etc.ー
では全くなかったが、
王道から外れるものの、多少変わった設定のストーリーなら十分登場可能な彼。

例えば・・・
   おとなしくて、普段は目立たないけど、
   いざというときにはやさしさと勇気を見せてくれる彼!
   何にもない彼だけど、私への愛は本物だった・・。
と言う設定とか。


間違いなく、彼にはそういう素質があるはず。
(いくつもの恋愛小説を読んできた私の目に狂いはない・・)
そして何より、さっきからこっちをずっと見ている!
これは、間違いなく こ・い・の・サ・イ・ン!  (っきゃ!)


・・でも、残念ながら彼は懇談会では声をかけてくれなかった。
少し暗い気持ちがレイの心をよぎる。
その熱い視線で十分だったとは言え、
母親との約束からも声を一言でいいからかけてほしかった。

これでもし他の人から声をかけられたらどうしてくれるのよ。
だんだんとレイの気持ちは彼に傾いていっていた。
特にそれが女子だったりしたら・・うっ・・私にそんな趣味はないわ・・・。

なんとレイは、母親が「声をかけてくれた人と仲良くしなさい」と言った事を
仲良い=おつきあい=恋愛 まで勝手に進化させていた。
母親がその後に王子様の話などするからそれはもう間違いないものとして認識された。


でも、レイが待ち焦がれた瞬間はやってきた。

「Good game また続きは今度ね!」

私は、ただ仲良くするつもりだった。
私は、ただ恋愛小説の主人公を演じるだけだと思ってた。
でも・・。

かれはにっこりと笑みを浮かべて、そう喋りかけて、
そして手を差し伸べてくれた。

その手を握ったその暖かさ。
そして私に向けられた、――そう、私以外の誰でもない――私に向けられた笑顔。

『ドキ・・』

これ・・・・私・・?

・・・紛れもない恋じゃない!!


突然訪れた胸の痛みは、間違いなく、そして有名な、あの「胸キュン」だった・・。





   Rarara Rururu     〜〜 レイの初日は恋と嵐の予感かな?〜〜
そして事態は   ーレイが一晩もだえた結果ー こうなったわけだ。 朝、クラスの前で。 「おっす」 レイの耳に聞こえて来たシンジとその友達との言葉。 これは、碇君と仲の良い人が交わす言葉・・。 恋人は最も仲の良い人。 間違いないわ。 「・・おっす」 レイは最大の勇気を振り絞ってシンジに声をかけた。 ・・? どうしたのだろう、シンジもその友達2名も動きを止めている。 これは、驚きの表情。 ま、まさか!! すでに碇君の心は移ろってしまったの? レイの脳裏に恋愛小説の最も悲しい一場面が頭に浮かんでくる。 ダメ・・まだ碇君は何も言っていないわ。 信じなきゃダメ。 信じる強さは、恋の強さ・・。 レイは、シンジを信じた、が、沈黙には耐えられず声をかけてしまった。 「あの日みつめあった、熱いまなざしは偽りだったの?」 レイの頭も段々とオーバーヒートして行く。 だってシンジが意味不明な言葉をつむいで行くから。 これは何かのメッセージ?私には分からない。 心がつながっていないから・・? 焦りがレイの心を蝕んでいく! だが、どうしたことだろう。 数日見る限りシンジといつも一緒にいたジャージの友達が私に語りかけている。 その言葉も何かおかしなアクセントでうまく聞き取れない。 涙を流しているようにも見える。 いやに私にかまってくるが、あなたに用はない・・。 でも耳から入り、通り抜けて行っていた彼の言葉のうち、一部分がその脳裏に残った。 「これほどまでの愛にこたえられんちゅー男は、男やない!」 ・・・・彼は、仲人なのね? もしかしたら碇君は照れているのかもしれない・・いえ、照れているのに間違いないわ。 彼、いいところあるわ。碇君の僕・・・。 ジャージは、シンジをレイの元へと連れてくる僕として認識された。 でも碇君は、本当にわたしの愛にこたえてくれるのかしら? レイがじっとシンジを見つめた。 そしてシンジが何か口に出そうとした瞬間 ・・チャイムは鳴った。 チャイムにかき消された彼の言葉・・それは愛のテーゼであっただろうか? レイの妄想は、とどまる事を知らずにいた。 (・・一体なんなんだ?) 降り始めの雨の一粒のように、それはぽつりと浮かんでは消えて行く。 だが、それは次第に大粒へと変わり、土砂降りへ。 一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一 体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体 なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ? 一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なん なんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ? 一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なん なんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体な んなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体 んなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ? 一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんな んだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体 なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんな んだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなん だ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一 体なんなんだ?一体なんなんだ?一 体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体な んなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ? 一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一 体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一体なんなんだ?一「 体なんなんだ? そしてそれは、存分にシンジの頭にたまった後、止んだ。 一体なんなんだ?・・・ 授業が始まってからが、シンジのエンドレス思考ループの始まりだった。 起こった状況は、彼の経験から判断するにあまりに特異すぎた・・。 何をどう考えても、普通じゃあんなこと言われる覚えはない。 そう、ないんだ。 すると・・・? シンジの脳裏に一つの答えが浮かび上がった。 そうか、普通じゃないんだ・・。 それは、とても実際的な答えだとシンジは感じた。
かれは、この精神的重圧に耐えられるのだろうか? 次回、永遠の思考ループの中で(うそ)。     おたのしみに!       
変わった人間っているものです。楽しいですねぇ。
次に進む 戻る TOP