1.群馬県同和教育基本方針の解説

 本基本方針は、県教育委員会が同和教育の推進を図るため、県教育長の諮問

機関である群馬県同和教育推進協議会に対し、「同和教育の基本方針の策定は如

何にあるべきか」を諮問し、その報告を得、策定されたものである。

 策定の経緯については、昭和45年に基本方針にかかる諮問をうけて以来、3

か年に及ぶ実態調査と研究協議を重ね、教育長にその報告を行い、昭和47年3

月に県教育委員会が決定したものである。

 次に、基本方針の大事な点を記述する。

@ 「社会の中に根強く残されている不合理な部落差別」について

  憲法に基本的人権が保障されているのにもかかわらず部落差別が現存して

 いるということ。そして、また部落差別は、結婚・交際等の問題にも及んで

 いるという根深いものであることを見抜く人権感覚をもつことが大事である。

A 「同和教育は、同和地区を有する市町村に限定することなく、同和地区に

 直接関係のない市町村においても市町村の実態に応じて……」について

  記述の中に三点の大事な点が含まれている。

 ア、「同和教育は、同和地区を有する市町村に限定することなく、同和地区に

  直接関係のない市町村においても」について

   同和教育の推進は、同和地区をもつ市町村で行えばよい、同和地区を有

  しない市町村は関係がないという考え方をもちやすい。

   そこで、基本方針は、次の観点から上言己の考え方をなくすため、本文が

  明記されている。

  (ア) 部落差別は、近代封建制度確立の過程において、時の為政者によって

   つくり出された身分階層構造に基つくものである。

        したがって、同和問題の解決は、同和対策審議会答申に明示している

      「行政の責務、国民的課題」としてとらえ解決しなければならない。

    (イ) 我が国は、国際社会の中で民主主義国家として自他ともに任じている

   中にあって同和問題があるということは、基本的人権が十分に保障され

   ていないことである。

    早急な解決を図るためには、あらゆる教育の場で同和教育が推進され

   なければならない。部落差別の根強さを思慮するとき1地区1市町村の

   同和教育の実践だけでは、同和問題の根本的解決は図れない。

 イ、「実態」について

   教育の場で実態という語は、よく使われているが、同和教育で使用する

  実態の意味は以下のとおりである。

      a. 同和地区の有無

      b. 差別心の存在

      c. 同和教育に対する意識

       の3点に集約されるが、とくにbが極めて大事であり、次のことに配慮

    したい。

    ○ 地域住民が同和問題についてどのような理解や認識をもっているか。

    ○ 同和教育について地域住民がどのような考え方や期待、願いをもっ

     ているか。

    ○ 同和問題に対する児童・生徒の意識は、どんな実態か。

    ○ 同和地区に対する住民の差別意識は、どんな実態か。

 ウ、「実態に即して」について

    同和教育の実践は、地域の実態に即応することが極めて大事である。実

   態をふまえない同和教育は、人権尊重を旨とする同和教育が人権侵害の教

   育にもなりかねない。

    具体例によって示すので思慮されたい。

   a. 本県においては、「どこが同和地区か」などの指導はしないという基本

     方針ができている。

     学校における同和教育の実践は、日常の生活の中で、差別を見抜く科

    学的・合理的なものの見方・考え方を育てるとともに、人間を大切にし

    ようとする生活習慣や態度を養い、差別をなくそうとする実践力をもっ

    た児童・生徒を育成することにある。

     したがって、「どこが」、「だれが」などの事項をとりあげることがねら

    いではなく、同和問題を今日的課題として理解させ、一日も早く差別の

    解消を図ることこそより重要なことなのである。

   b. 指導を進める段階で部落差別そのものにかかわっての発言があった場

    合には、個人指導など適切な指導をすることが大事である。

   c. 実態は、変化しているものである二とを指導者自身がよくわきまえて

    同和教育の推進にあたるべきである。

B 「この方針の実施にあたっては、公教育の主体性を守り」について

   部落差別の解消を果たす同和教育の実践は、公教育の主体性を堅持し、「教

   育の中立性を守ることが大事である。

    また、同和教育と政治運動や社会運動の関係を明確に区別することも大事

   である。