1月例会報告(1月12日)
ことし最初の例会は13人の出席。珍しくゲストをお迎えしたこともあり、久しぶりの自己紹介はなかなかバラエティに富んだものとなりました。
満洲ブームについての考察や、未訳の原書を読む深い楽しみ。また、帰省のたびごとに堪能する「自分の本棚」への愛。さらには、書誌完成への飽くなき探求心などなど。
その他、この時点ではまだ始まっていなかったTVシリーズ「乱歩R」をネタにひとしきり盛り上がる。藤井隆が明智の孫なら、二十面相の孫はどうだ、さらに「芋虫」の孫は・・・(すみません、これ以上は書けません。しかも明智とは全く関係ないし。)
ところで今回のゲストとは、横溝研究の同人誌を精力的に出されている「創元推理倶楽部秋田分科会」の佐々木重喜氏でした。近々発行される(はずの)新しい横溝本は堂々二分冊のボリュームになるそうで、皆様乞御期待。
そうそう、会員の小林さんからは“『黄色い部屋の謎』のDVDを入手したので、上映会をしてはどうか?”という、素敵な提案もありました。(もっとも、字幕や日本語吹き替えはないそうです)こちらも乞御期待。
さいごに恒例のオークションですが、今月は新刊がたくさん出品されました。筆者がちょうどその日購入したばかりの、とある「歴史ミステリー」がなんと同時に二冊も!出品され、いつもの如く安値で落札されていったのには愕然とするばかり・・・。
まあ人生こういうこともありますね。
来月の例会に期待を繋ぎつつ、報告とかえさせていただきます。それでは皆様、ごきげんよう♪ (阿部)
2月例会報告(2月15日)
2月の関東例会は、2月15日(日)に「ニューヨークカフェ」渋谷パルコ横店の
地下会議室「マイスペース」5号室で開催された。
この日の例会には会員に加えて、入会希望の女性2名も参加し、総勢15名の盛会となった。ちなみに、この女性2名は前の週に行なわれた旭堂南湖氏の「探偵講談会」の打ち上げで、会員と意気投合(?)して、例会に顔を出すこととなったもの。例会も楽しんでいただけたようなので入会していただければと思う。
さて、この日の話題は、ひとつのトリックの原典についてであった。
当日の出席者は、会議室に入ると早々に会員の一人から、こう問い掛けられた。
「木の人形に拳銃を持たせ、手元に水を滴らせる。すると木が膨張して銃が発射される。このトリックは誰が考案したのか」
筆者は「ええと、藤原宰太郎の本で読んだ気が……」と答えたが、それでは役にたたない(ちなみに、この答えは多かった。宰太郎の識読率おそるべしである)
質問している会員の知人が江戸川乱歩文庫
全集(光文社文庫)の関係者から「類別トリック集成」に、先のトリックが載っているのだが出典が分からないか、という照会を受けた、というのが事の発端であったようだ。
その後、来る会員来る会員を質問攻めにしていくなかで、どうやらアーサー・B・リースの短編らしい(その間にはアブナー伯父では、とか楠田匡介では、という回答もあった)という有力な説が出てきたが、どうも釈然としない。そこに博識のY氏が登場。俄然意気込んで、質問をしてみると……
「フランスの有名な小説に出てくる実話で、アンナ・キャサリン・グリーンがエッセイで言及しているそうなのだが、その原典が分からない」
なんのことはない。震源地はこの人だったのだ……。
と、いうわけで先のトリックの原典は分らずしまい。しかし、不明なまま『類別トリック集成』を世に出すこともないだろうから、いずれ文庫全集が刊行された際には明らかになることであろう。
次回の例会は3月7日(日)である。
当日は、日本で(あるいは世界で)最も遅い2003年度分のベストテン作品の発表と「SR大賞」の選出である。
(文責:広沢吉泰)
3月例会報告(3月7日)
3月の関東例会は、3月7日(日)に「ニューヨークカフェ」渋谷パルコ横店の地下会議室「マイスペース」5号室で開催された。
この日は2003年のSRベストテンが発表された。「このミス」「本格ミステリ」「週刊文春」など様々なベストテンがあるが、そうした投票の中で唯一2003年の1月1日から12月31日までに刊行された本(奥付ベース)を対象としている点で本当の意味での2003年の最高作の選定を行っているといえる。
さて、そのベストテン投票については、「マンスリー」誌上で見ていただくしかないのだが、翻訳、国内部門ともに1位はSRらしい独自のものとなった。
投票の〆切が3月上旬となるため、最近は会員が先に発表される「このミス」「本格ミステリ」「週刊文春」で評判の高い作品を読んで投票するため、先行のベストテンに結果が似てくる傾向があった。
しかし、今年のベストテンは先に述べたとおり、個性的な結果となったのは慶賀の至りといえよう。
次回の例会は4月11日(日)である。
2003年度分のベストテン作品の結果と関東例会で選定した「鮎川哲也の10冊」を掲載した「SRマンスリー」の333号の発送作業を行う。 (文責:広沢吉泰)
4月例会報告(4月11日)
4月の関東例会は、4月11日(日)に「ニューヨークカフェ」渋谷パルコ横店の地下会議室「マイスペース」5号室で開催された。
この日は2003年度分のベストテン作品の結果と関東例会で選定した「鮎川哲也の10冊」を掲載した「SRマンスリー」の333号の発送作業を行った。
印刷所から「SRマンスリー」が届いたのは、例会の日の午後1時であった。そんなギリギリの到着になったのは、私の旧住所に「SRマンスリー」が送られてきていたためだった。たまたま旧住所の隣人が宅配便業者の不在配達票に気づいて、こちらに連絡してきてくれたので、なんとか受け取ることができたのだが、それがなければ例会での発送はできないところであった。
そんなこんなで「マンスリー」を例会会場に持ち込めたのが、午後3時頃。例会会場は午後5時までしか確保していないため、果たして発送作業が時間内の終わるかどうか気になったのだが、さすがに例会員は手慣れたもので、約1時間ほどで作業は終了した。
その後、全国大会と翌月の例会に関する連絡事項を行い、恒例の古本オークションを実施して、今月の例会は終了となった。オークションで最高値を付けたのはカーター・ディクスン『殺人者と恐喝者』(原書房)二人が競り合ったのだが、片方が「文庫版を持っているから」という理由で降りて終了。ちなみに「文庫版」とは40年以上の長きにわたって絶版となっている創元推理文庫版。それを持っているなら競るなよ、思う方もいるかもしれないが、どんな版でも欲しいのがファン心理なのだろう。
次回の例会は5月9日(日)である。
5月は室内から飛び出して、屋外での例会となる。乱歩の小説世界に登場した麻布・六本木界隈を歩く。昭和の雰囲気を今も遺す街並みを堪能して、最後は六本木の現在を象徴する六本木ヒルズへ赴く、というコースである。(文責:広沢吉泰)
5月例会報告(5月9日)
5月の関東例会は、5月9日(日)に開催された。5月は新緑の季節にふさわしく、いつもと趣向を変えて六本木の街を歩くこととした。昭和の雰囲気を今も遺す街並みを堪能しつつ、六本木の現在を象徴する六本木ヒルズを見物する。締めくくりは明智小五郎と怪人二十面相が対決した東京駅のステーションホテル、という約2時間のお散歩コースである。
さて、当日は野外での例会にもかかわらず、あいにくの雨であった。
『あいにくの雨』といえば麻耶雄嵩である。麻耶雄嵩の代表作といえば『翼ある闇』だったり『夏と冬の奏鳴曲』だったり、人によっては『木製の王子』を挙げたりするのだが、某会員がこともあろうに、「『あいにくの雨』がベストです」などといったものだから、すっかり盛り上がってしまった。
それはさておき、あいにくの雨にもかかわらず集合場所となった地下鉄「六本木」駅には12名の会員が集まった。これは全く意識をしていなかったのだが、我々が集まった日比谷線の六本木駅もミステリの舞台となった場所なのだ。宮部みゆきが初期短編「ドルネシアへようこそ」で、六本木駅の改札前の伝言板を小道具にあたたかい読後感の作品を紡ぎだしているのである。この短編は『返事はいらない』(新潮文庫)に収録されているので、興味を持たれた方は手にとって欲しい。
我々が目指したのは、明智小五郎の探偵事務所を思わせる西洋館である。明智の事務所に関しては、江戸川乱歩の『人間豹』(創元推理文庫他)で次のように描写されている。
明智小五郎は「吸血鬼」の事件の後、開化アパートの独身住いを引き払って、麻布区竜土町に、もと彼の女助手であった文代さんという美しい人と、新婚の家庭を構えていた。その家庭が同時に探偵事務所でもあった。夫妻ともに探偵好き冒険好きなので、家庭と事務所とを別々にする必要はまったくなかったのだ。(略)低い御影石の門柱があり、そこに真鍮製の看板がかかっている。ナツメの植え込みに縁取られた敷石道の先にあるちいさな白い西洋館、それが明智の事務所である。
さて我々は「ちいさな白い西洋館」に出会うことができたのであろうか?
結論から言えば、それを見ることはかなわなかったのである。明智の事務所を想起させる西洋館はいくつかあり、それは松山巌『乱歩と東京』(ちくま文庫)などに記されているのだが、現在その場所は更地になっていたり、駐車場になっていたりするのである。
明智事務所候補地のひとつの隣には教会が建っており、ちょうど結婚式が行われていた。新郎新婦とそれを祝う人々の面前を通り過ぎ、となりの空地をきょろきょろと見回している集団。我々はすっかり変な人たちになってしまった(もともと変な人たちなのだが・・・)
戦災さえ逃れた、昭和の遺産ともいうべき建築物が姿を消してしまっているという事実には、いささか暗然とさせられる。竜土町や霞町といった昔の地名が消え去っていることを思えば、昔ながらの建物が生き残っていくことは実に難しいことなのかもしれない。
もちろん、過去のものが全く残っていないわけではない。
例えば、明治33年に開業した「竜土軒」。国木田独歩や田山花袋といった作家が集まり、文学論を戦わせたフランス料理店は今も健在である(ただし、場所は創業時から移転している)また、江戸川乱歩の「少年探偵団」のメンバーが通っていた笄(こうがい)小学校も残っている。そして、街角に立つ町会の掲示板や、錆付いた町名板には麻布箪笥町や隼町といった昔ながらの名称が刻まれている。
わずかに残る昭和の遺産にノスタルジーをそそられながら、21世紀の六本木の象徴ともいえる六本木ヒルズへと向かった。
六本木ヒルズといえば、あの事故の起こった回転扉である。事故の影響からヒルズの回転扉は全て使用停止となっていた。そして、現場となった回転扉の前には警備員が立っていた。扉の使用は停止されているので、物見遊山のやじ馬を抑止するためのものなのだろう。我々も、ちらりとだけ見て、地下の雑貨なども扱う書店「ヴィレッジヴァンガード」へと向かう。たとえ六本木ヒルズのようなショップが氾濫している場所にきても、書店にしか憩いを求められないあたりは、ちょっと問題があるような気がしないでもないが、まぁ仕方ないでしょう。
意外なことに「ヴィレッジヴァンガード」はミステリの品揃えがしっかりしていた。と、いうよりは他のサブカルチャー系の雑貨と同じように、美しさ/アートっぽさを基準に書籍がそろえられていたように思う。江戸川乱歩の春陽堂文庫が、表紙をこちら側にむけてずらりと並べられていたのは壮観であった。
また、松本清張の文庫本が並んでいたのは中居正広主演のドラマ「砂の器」の放映に伴う、プチ清張ブームの影響であろうか。それぞれの文庫本に、手書きの帯がついていて熱いコピーがかかれていた。その中に(作品名を失念してしまったが)「厚さがいい!」と書かれたものがあったのは笑ってしまった。よほど他に誉めることのない作品だったのだろうか。
六本木ヒルズをあとに、最後の目的地である東京駅にある「ステーションホテル」へと向かう。東京駅に出入りする電車群を眺めながら憩えるレストラン、丸の内南口を見おろせる隠れ家のような客室。このホテルを舞台に松本清張の『点と線』、川端康成の『女であること』、夏樹静子の『東京駅で消えた』などの名作が生まれている。そして、このツアーのきっかけとなった江戸川乱歩の『怪人二十面相』で怪人二十面相と明智小五郎の対決が描かれた舞台でもある。
明智と二十面相が火花を散らしたエレベーターを利用して、2階へと上がる。
丸の内南口の上を回廊のように行き来できるようになっている。ガラス越しに見下ろせば、雨の日曜日にもかかわらずたくさんの人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人・・・・・。働きアリのようにうごめく人々を見ていると「この愚民どもめぇ」なんて気分になってくる。ちょっとギレン・ザビ入っています。
その後、東京駅の中の名店街にあるステーションホテル直営の「赤れんが」にて、いつものように飲み会となる。ここまでのコース選定をし、しかも事前に下見までしていた幹事・佐竹氏の努力には実に頭が下がる。実るほど頭をたれる稲穂かな、である。違うか。
次回の例会は6月6日(日)。会場はいつもの「ルノワール」に戻して、映画「黄色い部屋の秘密」の上映会である。日本未公開の作品で、かつ字幕のないものだが「原作の内容を知っていれば分かるだろう」
ということで上映することとなった。
原作を片手に字幕なしの映画に挑むことが快挙となるか、それとも暴挙と終わるかは神のみぞ知るというところである。
(文責:廣澤吉泰)
6月例会報告(6月6日)
6月の関東例会は、6月6日(日)に開催された。会場はいつもの「ルノワール」だが内容はいつもと少し違う。今回は映画「黄色い部屋の謎」(03・仏 ブリュノ・ポダリデス監督)のビデオ上映会を行った。映画「黄色い部屋の謎」と聞いて、疑問をもたれた向きもあるだろう。そんな映画公開されていたっけ・・・と。その疑問は正しい。日本未公開の作品である。したがって、登場人物はみなフランス語を喋るのである(一部、英語を駆使する者もいる)字幕もなにもない。上映時間が1時間58分の映画を「原作は有名だから、内容はわかる」というあまり根拠のない自信に基づいて上映することにしたのである。
上映に先立って、坂本浩也氏がWEB上で公開している「黄色い部屋はいかに映画化されたか? ブリュノ・ポダリデス監督による新作をめぐって」という小論をパンフレット代わりに配布した。この小論の存在は実に大きかった。これがなければ、我々はルールタビーユがどこにいるのか分からないままだったろう。なにしろ、ポダリデス監督版の「黄色い部屋の謎」では、40歳の俳優ドゥニ・ポダリデス(ブリュノの弟)が少年記者・ルールタビーユ(18歳)を演じているのだ。予備知識がなければ、丈の短いズボンを履いた中年のおやじがルールタビーユだとは、上映が終わっても気付かなかったかもしれない。
さて、肝心の映画の内容がわかったかどうかだが、きっぱり「わかった」と言えればかっこよいのだが、「わからないことはなかった」というのが正直なところである。
あの有名な密室トリックや、T字廊下での消失の部分などは、言葉が通じなくても、映像を見ていれば内容は理解できる。その部分の理解は100%といっても過言ではないのだが、「黄色い部屋の謎」の面白みはトリックだけではない。原作を読んでいただければ分かるが、傍点や感嘆符が乱れ飛ぶ、いかにも“名探偵”といったルールタビーユの独特な台詞回しである。
ルールタビーユのセリフについては(分かっていた会員もいたのかもしれないが、少なくとも僕は)ほとんど分からなかった。例えば、原作ではルールタビーユがロベール・ダルザックに「司祭館は何一つその魅力を失わず、庭の輝きもまた同じ」と謎めいた語りかけをして、彼の協力を得る場面がある。あるいは、事件の内容を聞いたとたんに神がかり的に「令嬢は前髪を両脇に垂らしていたのではないか」とワトソン役のサンクレールに語りかける場面など、実に名場面と呼ぶべきところは多々ある。にもかかわらず、言葉の壁は大きく、そうした場面がどこか(そもそもそのシーンがあったかどうかも)分からなかったのである。
ちなみに、先に「ほとんど分からなかった」と書いたのは分かったところもあったからだ。例えば、クライマックスの場面でルールタビーユが犯人を指摘する場面はよく分かったぞ(って、犯人の名前を連呼するだけだから、誰でも分かるか)
そんな風にかなりの部分が分からない状況であったが、映画は充分に楽しめた。そのあたりは映像作品ゆえの強みともいえようが、コメディタッチの味付けを行った、ブリュノ・ポダリデス監督の演出の巧さもそれに寄与しているといえる。
極めて月並みな結びとなるが、一日も早い日本公開が待たれる作品である。
なお、今回の企画にあたってはソフトと上映機材の提供で、会員K氏に多大なご尽力をいただいた。ルノアールの会議室に備え付けられているTVは画面が小さい。そのためこれまでの上映会では、そういった点が不満として出ていた。そこでK氏は今回プロジェクターを持ち込んでくれたのである。雨の中、重いプロジェクターを持っての移動は大変だったと思うが、そのおかげで会員は大画面で映画「黄色い部屋の謎」を見ることができた。本当に、K氏には感謝してもしたりない。
次回も、プロジェクターよろしく(おいおい)
また、例会終了後には「千街晶之氏の推理作家協会賞・本格ミステリ大賞W受賞を祝う会」が開催された。
既にご案内のとおり、SRの会の会員である千街晶之氏が『水面の星座 水底の宝石』(光文社)により第4回本格ミステリ大賞(評論・研究部門)と第57回日本推理作家協会賞(
評論その他の部門)を受賞した。千街氏のW受賞は実に喜ばしいことでもあり、また「SRの会」としても昨年の有栖川有栖氏、山前譲氏の日本推理作家協会賞受賞に続き、2年連続での会員の受賞、という非常にうれしい出来事である。そこで正式な贈呈式の前に、「SRの会」の関東例会有志の発起により、千街氏の受賞を祝う会をとり行うこととなった。
午後六時から渋谷の中華料理店「井門」で開催された祝賀会には15名もの出席者が集まった。花束贈呈、記念品贈呈(受賞作『水面の星座 水底の宝石』の題名にちなんで、カレイドスコープ。弾丸が飛び出すような特注品ではありません)といったセレモニーが終わった後は、単なる飲み会となったのはいつもどおりのことである。
次回の例会は7月11日(日)。会場は「ルノワール」の会議室である。今回は特にこれといった趣向はないが、その分ミステリの話をする時間は充分にとれるので、話題に飢えている方はぜひともご参加いただきたい(ただし、ミステリの話といっても、すっごく話題が偏るような気はするが・・・)
(文責:廣澤吉泰)
7月例会報告(7月11日)
7月の関東例会は、7月11日(日)に開催された。開催時刻は午後1時からだったのだが、筆者が会場についたのは午後3時過ぎだった。
実は、6月19日から8月1日にかけて、横浜・黄金町の名画座「シネマジャック」において〈犯罪劇場、四十九日。〉と題してミステリ映画の企画上映が行なわれている。そのプログラムを見てから出席したため、遅れての参加となったわけである。ちなみにこの日観てきたのは、
「新・事件記者 大都会の罠」(66年・東宝)
「黒の札束」(63年・大映)
の2本。「新・事件記者」は島田一男作品の「黒の札束」は佐野洋の「重い札束」を映画化したものである。
さて、例会場である「ルノアール」の会議室についてみると会員たちは、数字が題名に入ったミステリ作品を選ぶゲームに興じていた。
今月発行された「SRマンスリー」334号では、表紙で0〜10までの数字が入った推理小説の題名を選ぶ遊びを紹介していた。0といえば『ゼロ時間へ』(A・クリスティ)、1ならば『一角獣殺人事件』(J・D・カー)という具合に数字の入った作品をあげていくのである。
それに引き続いて11からということで『11枚のとらんぷ』(泡坂妻夫)、『十二夜殺人事件』(M・ギルバード)、『13階段』(高野和明)……とこの辺りまで順調に題名があがってくるのだが、30を超えるあたりから段々苦しくなってきた。やむを得ず『三十九階段』にて打ち止めとした。また機会があれば挑戦したいものである。
また、SRマンスリーの連載企画である「SRの10冊」のテーマについても議論した。関東の次の担当となる337号のテーマは、発送時期が12月なので「クリスマスの10冊」ということですんなり決まった。
候補作としては、「青い紅玉」(A・C・ドイル)、『仮面の祝祭 2/3』(笠原卓)、『ママのクリスマス』(J・ヤッフェ)『子羊たちの聖夜』(西澤保彦)など即座に10冊以上の候補作があがった。
一方、339号では、発送時期が4月となることから「学園ミステリ」あるいは「青春ミステリ」で10冊を選ぼうということになったが、なかなか定義づけが難しく、具体的な決定は次回以降となった。
次回の例会は8月8日(日)である。
SRマンスリー335号の発送例会となるので、できるだけ多くの参加をお願いしたい。また、335号の原稿は引き続き募集中であるので、執筆希望の方は(特集原稿であれ、そうでないものであれ)投稿いただければと思う。
(文責:廣澤吉泰)
8月例会報告(8月8日)
8月の関東例会は、8月8日(日)に開催された。会場はいつもどおりの「ルノアール」渋谷店の6号会議室だが、ちょっとしたトラブルが発生したのが、今月のトピックといえようか。
トラブル その1
事務局を担当している人が、業務を続けられなくなり、急遽田村会長のところを「SRの会仮事務局」として対応することとなった。
マンスリーを郵送する封筒も、事務局が作成していたので、関西地区の世話人が引き継いで作成することとした。ただし、会員名簿をうまく引き継ぐことができず、ひょっとしたら退会した方や、会費切れの方にも発送することになるかもしれません。その際には、平にご容赦を。
トラブル その2
今回の関東例会で発送する予定のマンスリーが例会当日になっても届かない。
実は、前回の関東編集号も、マンスリーが筆者の旧住所に宅配されていたことがあった。それで、今回は新住所へ配達するように、印刷所にも念を押し、かつゲラは新住所に宅配されてきたので、そうしたトラブルではないだろう……と思いながらも確認のため、旧住所の近くの知人に電話をして、ドアに宅急便の不在票がはさまってないか見てきてもらったところ――「ありましたよ」との回答。
間の悪いことに、ついさっき配達があった様子であった。荷物の伝票番号を聞いて宅配業者に連絡をとったところ、「再配達は今日の夕方になります」との回答であった……。
と、いうことで今回の例会には16名もの人数(うち、1名は入会希望者。しかし、いきなり事務局の交代やら、発送するはずの会誌が届かないとか「えらいところに来たなあ」と思ったかも……)が集まったにもかかわらず、ほとんど発送作業ができない体たらくでありました。
次回の例会は9月12日(日)である。会場はルノワールの6号会議室。前の週が「全国大会」なので、大会の話題などが出るかもしれない。
なお、大会の申込は、8月15日までなのでお忘れないように。
(文責:廣澤吉泰)
9月例会報告(9月12日)
9月の関東例会は、9月12日(日)に開催された。
全国大会の翌週の例会なので、大会と同じような顔ぶれが集まるといささか、げんなりするのだが、もともと関東地区から福知山まで出かけた人間が少なかったので、そうした思いは味合わずに済んだ。
懸案となっていた「SRマンスリー11月号」(通巻337号)の特集も、年の瀬の発送になるからということで「2004年回顧」で決定。逝けるミステリ作家(水上勉、中島らも、野沢尚 他)を偲ぶもよし、印象に残った出来事(文庫発刊やアニメ化によるクリスティーブーム、『暗黒館の殺人』の刊行 他)を語るもよし、それぞれの視点で2004年を振り返っていただければと思う。
例会が終わると今度は池袋に移動。
池袋演芸場での「乱歩落語」を聞きにゆくためである。土蔵の一般公開をきっかけに、池袋周辺はちょっとした乱歩ブームである。街路には「乱歩」の文字が書かれたバナーがはためき、様々なイベントが開催された。東武百貨店での「江戸川乱歩と大衆の20世紀展」、新文芸坐での映画祭「乱歩とその時代」、立教大学で行われた「読売・江戸川乱歩フォーラム」等々。そして、乱歩作品を落語で楽しもう、という今回の企画もそのひとつである。
落語協会の主催のもと、9月11日〜20日の10日間にわたる企画に挑戦するのは、三遊亭圓窓、鈴々舎馬桜、三遊亭白鳥、柳屋喬太郎の4名の落語家である。主任を務める圓窓は10日間通しで「押絵と旅する男」を演じ、馬桜は前半(11日〜15日)は「人でなしの恋」を、後半(16日〜20日)は「防空壕」を高座にかける。そして、若手の白鳥(11〜15日)、喬太郎(16〜20日)も乱歩作品に挑戦する。
12日のラインナップは、白鳥「人間椅子」、馬桜「人でなしの恋」、圓窓「押絵と旅する男」というものであった。白鳥の噺は、家具職人が椅子の中に入って・・・・・・という「人間椅子」というアイデアだけを借りてきたドタバタコメディものであった。
馬桜の「人でなしの恋」は原作に忠実な語り口でしっかり聞かせてくれました。噺が終わってから「原作どうりにやると辛気臭いので、最後に踊って雰囲気を変えます」といって、踊りを披露してくれた(ただ、暗い結末ではない「防空壕」を演ったときにも、最後に踊っていたので、単なる踊り好きなのかもしれない)
トリを務める圓窓は「押絵と旅する男」を原作に、男が押絵の中に入ってしまうまでの部分を、落語に仕立てたもの。遠眼鏡で見つけた八百屋お七に恋して、押絵の中に入ってしまった堅物の息子。その幸せような顔を見て母親が「眼鏡にかなったんですよ」と呟くサゲも「うまいっ!」という感じであった。
なんか例会報告というよりは、落語会報告になってしまいましたね。
最後に、事務連絡。次回の例会は10月3日(日)13〜17時にNew
Yorker's Cafe(旧ルノアール渋谷パルコ店)地下の6号会議室で行います。
(文責:廣澤吉泰)
10月例会報告(10月3日)
10月の関東例会は、10月3日(日)に開催された。会場は渋谷のNew Yorker's Cafe(旧ルノアール渋谷パルコ店)地下の6号会議室である。台風の影響による強い雨が降ったせいか、出席者はいつもより少な目。筆者が会場に着いたときには会員が2名しかおらず、どうなることか、と思ったが最終的には10名が集まった。
しかし、今回こなかった人は後悔したことだろう。なんと恒例の古本オークションがかつてない盛り上がりを見せたからである。
まず、最初に出品された皆川博子『薔薇密室』(講談社、2520円)が競り合いの末、1000円で落札されたのが波乱の幕開け。そもそも競り合うことも少ない(場合によってはおしつけ合いになる)SRのオークションで、こんな高値がついたのはひさしぶりである。その後も競り合いは続き、極めつけは恩田陸『夏の名残りの薔薇』(文藝春秋、1949円)なんと、定価近い価格まで吊り上ってしまったのである。各所のベストテンの投票時期が迫り、少しでも安く本を仕入れないといけない、という圧力もあったのだろうが、それにしてもすばらしい値のつきようであった。
さて、いつもは集まって様々な情報交換(というか駄弁っているだけというか)という感じなのだが、今回は「SRマンスリー11月号」(通巻337号)の特集など様々な議題があり、それを話し合ったので報告する。
(1)「SRの10冊」の担当分担
11月号のテーマは時期に合わせて「クリスマスの10冊」とした。
候補作も選定し、担当者も決めたはずが、全部で9冊分しか決まっていないことが分かったので、急遽10番目の椅子に誰を座らせるかを話し合った。話し合いの結果、横溝正史「悪魔の降誕祭」(角川文庫【絶版】)が選ばれ、佐竹氏が担当することになった。〆切は10月末日である。
(2)特集「2004年回顧」について
特集の担当者を決めていく。「回顧」というテーマなので、別段「追悼」に拘らなくてもよいのだが、水上勉、中島らも、由良三郎といった作家の追悼原稿の担当者が決まる。今年亡くなった作家としては野沢尚、伴野朗がおり、挿絵画家の畑農照雄も8月に逝去されているので、このあたりの追悼原稿も欲しいところである。また、海外作家、翻訳家など、追悼すべき人はいそうなので立候補・推薦をお待ちしています。
あと、逝けるミステリ作家を偲ぶものだけでなく、印象に残った出来事(久々の長編刊行となった綾辻・法月、桐野夏生のエドガー賞ノミネート、クリスティーのアニメ化など)を語るもよし、アテネオリンピックや郵政民営化等今年のトピックをミステリと絡めて語るもよし、それぞれの視点で2004年を振り返っていただければと思う。
こちらも〆切は10月末日。
(3)11月、12月の例会について
11月は14日(日)に横溝正史旧蔵資料が公開される「世田谷文学館」で例会を持つ。15時を目安に「世田谷文学館」に集合、でよろしくお願いします。
12月の例会は12日(日)である。こちらの会場は渋谷のNew
Yorker's Cafe(旧ルノアール渋谷パルコ店)地下の5号会議室である。337号の発送例会となる。例会終了後、忘年会も行うので、たくさんの参加をお待ちしています。
なお、忘年会のメニューは、甲殻類(エビ、カニ)がダメな人がいることが分かったため「山賊またぎ鍋」という、猪・鹿・合鴨といった野趣に富んだ肉を中心とした鍋に変更になった。まさか、猪・鹿・合鴨にアレルギーという人はいないよね・・・・・・。
もう忘年会などが話題に出るようになってきた。今年の例会もあと2回。1年も、ほんとうにあっという間である。
(文責:廣澤吉泰)
11月例会報告(11月14日)
11月の関東例会は、11月14日(日)に開催された。今回は世田谷文学館の2階常設展示室で開催される「コレクションによる企画展 よみがえる横溝正史」展を見るという企画であった。
世田谷文学館に向かうのに先立って、有志が集まって近くにある会員M氏の自宅を訪問することとなった。本棚を見学し、かつM氏が処分に困っているダブり本を持ち帰る、というのが目的である。
M氏自宅の最寄駅である京王線の千歳烏山駅に12時30分に集合、としたら出席予定者がほぼ全員予定時刻前に集まった(1名を除く)日頃の例会にも、これくらい早めに集まってくれればよいのだが・・・・・・。
問題は遅れた1名である。名誉のために仮に「ヘレンケラ一」とでもしておくが、10分待っても来ない。ヘレンケラ一氏は名うての方向音痴で
あるため、ひょっとしたら千歳烏山と間違えて、千歳船橋(小田急線の駅)に行ったのでは? などと噂をしていると、幹事役の阿部さんの携帯電話が鳴る。ヘレンケラ一氏であった。
「今、明大前にいます」
どうやら京王線沿線にはいるようだ。明大前から千歳烏山は急行で5分、普通電車でも11分なので、15分もすれば到着するはずが・・・・・・現れない。まさか特急にでも乗って調布まで行ったんじゃないか(特急は千歳烏山には停車しない)なんて笑っていたら、またまた阿部さんの携帯がなる。
「今、調布にいます」
どうやら、本当に特急に乗ってしまったようだ(実際に乗ったのは「準特急」)結局、ヘレンケラ一氏が姿を見せたのは、予定時刻を大幅に過ぎた午後1時10分過ぎ。きっとケラ一のことだから、開口一番京王電鉄について悪口をいうだろう、と話していると現れたケラ一氏は殊勝にも「すみません」と謝るではないか。こりゃ勝手が違う、と思っていたら、舌の根も乾かぬうちに「準特急なんてややこしい列車を走らせる京王電鉄はおかしい」と予想通りの悪態をついたので、一同また大笑いとなった。
ちなみに、ヘレンケラ一氏は携帯電話を所持していないため、駅に降りるたびに(最近は少なくなった)公衆電話を探してホームを走り回っていたようだ。ほんとうにお疲れまでした。
世田谷文学館に行く前の、会員M氏宅訪問記の前でずいぶんと字数を費やしてしまったので、M氏宅訪問記に関しては、ダブり本がたくさんあり、会員たちはその収穫を喜んでいたと書くにとどめる。それにしても、あんな本やこんな本をダブらせるM氏もなかなかの人物といえる。
M氏邸でのダブり本漁りを済ませたメンバーは、再び徒歩にて世田谷文学館に向かう。2階常設展示室の見学は30分ほどで済んでしまったため、三々五々書架へと向かって、それぞれが気になる作家(久生十蘭や、大河内常平など)ゆかりの資料を探したりする。筆者にはそうしたお目当ての作家はいないので、書架に置かれていた雑誌「新潮」を手にとってヘレンケラ一氏が別名義で書いた田崎潤に関するエッセイを読んだりした。
そんな感じで楽しんでいたので、集合予定時間の午後4時30分をはるかに超過して、世田谷文学館ロビーに出たら、そこには会員のO氏がいた。4時30分に来ても誰もいないので、今日は誰も集まらなかったのかと誤解していたようだった。そのO氏を加えて、会員たちは二次会会場を探すべく「明大前」へと移動したのであった。
12月の例会は12日(日)。こちらの会場は渋谷のNew
Yorker's Cafe(旧ルノアール渋谷パルコ店)地下の5号会議室である。「SRマンス
リー」337号の発送作業を行う例会となるので、多数の参加をお待ちしています。なお、例会終了後には忘年会も行うので、そちらもお楽しみ
に。
(文責:廣澤吉泰)
12月例会報告(12月12日)
12月の関東例会は、12月12日(日)に開催された。会場は渋谷のNew Yorker's Cafe(旧ルノアール渋谷パルコ店)地下の5号会議室である。
この日は「SRマンスリー」337号の発送作業を行った。ここで会誌の発送作業の手順をご紹介しておくと・・・・・・。
(1)切手を一枚一枚切り離す
(2)切手を封筒に貼る
(3)封筒に三つ折にした会誌を詰める
(4)セロテープで封をする
という手作業である。しかし、作業になれて熟練工と化した例会員にとっては、こうした作業は朝飯前である。
また、各人にこだわりがあり、切手を貼るのは封筒に会誌を詰める前がやりやすい、とか、会誌の折り方こうした折り方がよいとか、延々と何年にも亘る発送作業の結果培われたノウハウがこの作業には凝縮されている。「折り三年、貼り五年」といわれる所以である(って、誰が言ってるんだか)
発送作業後は「SRの10冊」の選定作業を行った。最初は「鍾乳洞を舞台にしたミステリ」を10冊選ぶはずだったのが、いつのまにやら「城を舞台にしたミステリ10冊」に変わっていた。「鍾乳洞」をお題にした場合『カタ○ンベ』は取り上げないわけにもいかず、でもそれはいやだ、という集団心理が働いた結果であろうか? どういった作品が選ばれたかは、2004年のベストテンが発表される「SRマンスリー」339号をご覧下さい。
恒例の「古本オークション」を終えたところで、例会はお開きに。その後は忘年会ということになった。忘年会でもいろいろな話題で盛り上がったと思うのだが、酔っ払ってしまったため、すっかり記憶から抜け落ちている。ミステリに関して、かなり深遠な議論をしたはずなので、ここに書き残すことができないのが残念である。
来年1月の例会は9日(日)。会場は渋谷のNew Yorker's
Cafe(旧ルノアール渋谷パルコ店)地下の6号会議室である。そろそろ、関東が幹事役となる全国大会のことを話し合わないといけないかも・・・。
(文責:廣澤吉泰)