(13)フランス語の乱歩
今回は私の数少ない蔵書の中から、あまりお馴染でないと思われる本を紹介する。 「数少ない」と聞いてまゆをひそめている、私を知る友人もいるかもしれないが、数多い本はシャーロック・ホームズ関連なのであって、江戸川乱歩関連は、初版本や初出雑誌を集める趣味もなく、ただ「江戸川乱歩文庫」さえあればいいというのが現状なのだ。そういった書誌学的分野は全く中相作氏におまかせすることにしている。ただ「文庫」が完全だというわけではなく、あくまでも中氏が構想する校訂版乱歩全集が出版された暁には、その座をあけわたすことになるだろう。 |
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この本は表紙の写真を見てわかる通り、フランス語の翻訳本である。十年くらい前にベルギーに旅行したおりに、本屋でたまたま見かけて購入したものだ。もちろん私は全くフランス語の素養はなく、一体全体なにが書いてあるのかは読めはしない。ただ中扉の裏にある翻訳データによって、収録作品は「心理試験」と「陰獣」であるということがわかる。
このデータによれば発行年は1988年、フィリップ・ピカール社である。翻訳はJean-Christian Bouvierである。残念ながら本文中には、「心理試験」の言葉の表以外、いっさい挿し絵はない。そのかわりダストジャケットの袖に乱歩のサイン入り写真が略歴とともに印刷されている。よくはわからないが、"le fondateur dela litterature policiere au Japon"といっているのは、多分「日本の探偵小説の創始者」ということなのだろう。ちなみに仏題の"La Proie at L'Ombre"は「陰獣」のことである。はたしてこれが「陰獣」の直訳なのかはわからない。
(12/3/5)