(19)「山彦」

最近とんと乱歩のほうは御無沙汰している。それは山中峯太郎の書誌に夢中になっているせいだ。ところが峯太郎をさがして図書館にこもっていると、偶然乱歩もひっかかってくることもある。最近でいえば文芸年鑑の乱歩(17)だろう。其の後手持ちの本を調べてみると、「二つの犯罪者文学」は再録であった。

さて、「明治・大正・昭和前期雑誌記事索引集成」で峯太郎を調べていると、ふとしたことで乱歩の名前が目についた。この「集成」はさまざまな戦前雑誌の復刻をふくんでいるのだが、私がみていたのは「宝塚文芸図書館月報4巻2号、付録」で、それまでに出版された本や雑誌、放送されたラジオ番組、演劇などの情報が掲載されている。その一つにこういうのがあった。

ラジオドラマ「山彦」江戸川乱歩、7/27-9、古川利隆他

乱歩のラジオドラマというのである。しかも題名が「山彦」。いったいなんだろうか?乱歩自身がラジオドラマの脚本を書くとは思えない。では乱歩の小説をだれかシナリオライターが脚色したのだろうか。だが「山彦」という題名である。これから思いつくのは神話の「海彦山彦」くらいなもので、乱歩作品でそれと何か関係があるものはさっぱり思いつかない。まったくの謎である。惜しむらくはこの「宝塚文芸図書館月報」の発行年を控え忘れたことで、それがわかればもう少し手がかりがみつかるかもしれない。ただ国会図書館か都立図書館に行かなくてはいけないので、年内は無理だろう。改めて調べ直して見たいとはおもっている。

(2000/12/19)