ふゆさんからの御感想

・「漢訳ドイル作品論考」第一巻 樽本照雄 


 他のアジア諸国等ではホームズ物語はどのように受けとめられていたのか、どういう遍歴をたどったかという疑問をもっていたので、とても興味深く拝見しました。
 誰が・どのようにホームズ物語をとりあげたか、時代によってその取り上げ方はどのようにかわっていったかがわかりやすく丁寧に記述されていて、とても参考になりましたし、中国における推理小説の移入史という意味でもとても面白い論文でした。
 多くの人に読まれていたにもかかわらず、思想的に抑圧された状況下では推理小説の研究はままならなかったとのことでしたが、それを知って、広く当時の文学状況、翻訳文学の位置などについて詳しく知りたくなりました。
 そして中国のホームズパロディの豊かさ!
 いろいろ分析の観点はありそうですが、単純に「面白そう」というのが正直な感想です。あの話たちが翻訳され、わたしたちにも読めるかたちになってほしいものです。
 以前北京を訪れた際、記念にと思って読めもしない『福尓摩斯探案全集』を購入し、以来本棚にしまいっぱなしでしたが、ついひっぱりだして眺めてしまいました。 おそらく本論中に出てきた『福尓摩斯探案集』と同一のものだと思います。それだけで、買っておいてよかったと思えました。 
 この論考の二巻が刊行される日を心待ちにしています。

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・「実吉達郎全集第二巻」研究篇2
 


 実吉達郎氏は、漫画『西遊記』2巻の構成もなされてる方と同一人物でしょうか。画・東山鈴鹿のこの『西遊記』の独特の世界観が私は大好きだったので、同じく大好きなホームズ関連の書籍で同氏の名前を見かけたときは、なんだか嬉しくなりました。
 全集2巻でもいろいろな観点からの分析がなされているうえに、全集は10巻まであるというのだから、著者の広範な知識には驚嘆してしまいます。
 「ホームズと毒薬」で普段知る機会のない毒薬の知識、それが物語中、どのように利用されてきたかを知りました。「目にベラドンナをさしたら?」の読後、私も「ホームズの剛克さ」に驚きです(^^)。あんな風になってしまうんですね。
 それ以外にも毒薬や棺のトリックが、ホームズ物語以前・以後にどのように描かれたかという分布、あるいはその系図等もわかり、読んでいて面白かったです。
 「摂生時代の洒落者」では、言葉をひとつ理解するというのは、その国の歴史・文化に触れることだなと改めて思い、「ヴィクトリア朝時代のホームズ」では、きっとホームズはこんな風に言ったに違いないと思ったりしました。
  

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