ぼくたちの甲子園 高校野球名勝負列伝・地方大会編
No.1 2003.4.14


愛知県大会 名勝負コレクション



83愛知大会決勝 中京3−1享栄
 中京・野中、享栄・藤王の最後の対決。
 初回に享栄は野中キラーの3番・伊藤紀が先制本塁打。中京は2回に併殺崩れ?(だったと思います)で1点。その後は野中と享栄・平田との投手戦。1−1で迎えた9回、中京は1塁に野中を置いて6番・長嶋がレフトオーバーの2塁打。1塁から野中が長駆生還しついに勝ち越し。さらにこの回もう1点追加し3−1。その裏、野中が最後の打者・伊藤紀を三振に斬って取りゲームセット。
 藤王はネクストバッターサークルでゲームセットを迎えたわけですが、その前、7回裏の野中ー藤王対決でのラストボールは強烈に印象に残っています。左打者の膝元へズバッと力のあるストレート。藤王は全く手が出ず見逃し三振。主審のコールを聞く前にボックスを離れました。そして、これが野中ー藤王の最後の対決であり、藤王の高校最後の打席となりました。


★85愛知大会決勝 東邦8−4愛工大名電 (延長12回)
 東邦は選抜出場校ながら春以降チーム力が下降気味、夏も苦戦を強いられながらの進出。一方の名電は全国レベルの強力打線を前面に、準々決勝では本命と見られたの享栄を下し、準決勝では中京に逆転サヨナラと昇り調子。名電やや有利との評判でした。
 試合は予想通り名電が優位に進め7回終了時点で3−1とリード。しかし東邦は8回に連打で3点奪い4−3と逆転。名電もその裏1点返し4−4。最大のヤマ場は9回裏でした。この回名電は2連打で無死1,3塁とサヨナラのチャンス。ここで東邦は続く1番・細川(この大会大当たり)を敬遠し満塁策。2番・吉田を遊ゴロ。3番・纐纈を浅い中飛。そして、4番・杉浦にはカウント0−3になりながらも2−3まで持ち直して最後は遊ゴロに打ち取りピンチ脱出。12回に東邦は沢田の走者一掃のタイムリーとスクイズで4点を勝ち越し。そのまま逃げ切りました。
 この試合、やはり9回裏が全てでした。


★87愛知大会5回戦 中京6−5享栄 (延長10回)
 享栄は中京先発の加藤を早々と攻略し2回途中でKOし3−0とリード。しかし、その後はリリーフした木村が何とか踏ん張ります。一方の中京は享栄・坂東に対し4回に2点を返すのみ。7回までは5−2と享栄リード。しかし8回、坂東に疲れが見え始めまずこの回に1点。そして9回、1点返してさらなるチャンスに4番・後藤。後藤の打球はファースト正面へ。しかし、これがイレギュラーしライト前への同点打。続く10回、2死から中京は1番・三谷がレフト前ヒット。これを享栄のレフトが後逸し三谷は一気に3塁へ。2番・高梨がしぶとくライト前へ運びついに中京が1点リード。そのまま逃げ切りました。
 中京は2回途中からリリーフした木村が最後まで投げきりました。享栄も坂東ー北野ー各務と繋ぎまさに”総力戦”。3時間50分の大熱戦でした。


★88愛知大会準決勝 愛工大名電4−3東邦 (延長15回)
 東邦はこの年の選抜で準優勝。一方の名電は秋、春とも県大会序盤で敗退しダークホース的な評価でした。
 東邦は今田、梅屋などの中軸の活躍で3−1とリード。しかし8回裏、名電は四死球に東邦の守備の乱れに乗じて(そんな感じでした)3−3の同点に追いつき、延長へ。そして15回裏、名電は1死満塁とサヨナラのチャンス。ここで東邦はセンターの加藤を投手と遊撃手の間に守らせ、内野6人の奇策を打ってきました。(95夏の甲子園で観音寺中央がやったのと同じです)打者は2番・岡崎。そして打球は皮肉にも2人しかいない外野、それもライト定位置あたりへ飛び、右中間にいた山中が懸命に追うもののあと一歩及ばずサヨナラヒット。
 この夏の名電ですが、5回戦の滝戦で「8回」に逆転。この東邦戦は「8回」に同点、決勝の名城大付戦でも「8回」に同点、そして甲子園初戦の高知商戦でも「8回」に逆転と、何かと8回にゲームのポイントが来てました。


★90愛知大会2回戦 中京7−5享栄
 この年の享栄はエースに高木、打線の方でも湯浅、草間、藤江などの強者を揃え秋の東海大会をブッちぎり強さで制するなど一目置かれる存在。(選抜は2回戦止まりでしたが)対する中京は秋の決勝リーグで享栄に4−21と5回コールドの大敗。翌日の新聞には「中京の看板に泥を塗った」などとかなり厳しく書かれてました。それだけにこの試合に懸ける中京の意気込みは相当なものだったと思います。
 初回に中京は大塚、稲葉の連続タイムリーで2点先制。その後、両校1点ずつ奪い3−1で迎えた7回に稲葉が3ランを放ち6−1と大きく引き離しました。享栄は草間、高木が一発を放ち追い上げるものの及ばず。この試合、4番・湯浅が大ブレーキだったのが響きました。
敗れた享栄よりも勝った中京ナインが涙を流していたのが印象に残っています。


91愛知大会準々決勝 愛工大名電5−3中京
 前年決勝と同カード、そして互いに意識をしてきた(と言われている)名電・鈴木(以下イチローと書きます)と中京・木村との最後の対決。
 試合は中京が中盤までリードしますが、終盤7回、名電はイチローが逆転2ラン。そのまま逃げ切りました。
 余談ですが、「投手・イチロー」はこの試合が最後だったはずです。


★93愛知大会準決勝 享栄2−1豊田大谷
 豊田大谷はプロ注目の平田を擁しほぼ危なげなくベスト4進出。享栄も下馬評はそれほどではなかったものの投の谷川、野手では福留を軸に勝ち上がってきました。
 試合は豊田大谷が1点先制するものの、谷川投手が踏ん張って何とか追加点を与えず、平田投手も享栄の粘り強い打撃に苦しみながらも何とかゼロに抑え1−0のまま9回裏へ。享栄はこの回先頭の川原がサードへ内野安打。これがサードの悪送球もあって一気に3塁へ。続く谷川がベルト付近のストレートを叩きレフトへ逆転サヨナラ2ラン。
 ゲームセットの挨拶が終わった後、ベンチへ戻る途中で平田がうずくまって動けなかったシーンが印象に残っています。


★94愛知大会2回戦 岡崎1−0中京
 「中京」の名での最後の夏はあっけなく終わりました。
 初戦だったため、ゲームの詳細は分からないのですが、驚いたのは翌日の中スポに「中京初戦で敗れる」と1面記事になった事です。改めて「中京」と言う名の影響力の大きさ?みたいなものを感じました。


★96愛知大会準決勝 愛産大三河7−4中京大中京
 この年の愛知大会は享栄が初戦敗退、東邦、名電、豊田大谷などの有力校も序盤で姿を消すなど大荒れの大会でした。その中、中京は弱投を猛打でカバーして勝ち上がり、一方の三河は3回戦で完全試合を達成した神野投手を軸に勝ち上がってきました。
 試合は中京が初回に1点先制するものの、その裏三河は3点奪い逆転。4回に中京は杉浦の本塁打で1点。しかし、6回に三河は中京の守備の乱れに乗じて4点奪い7−2とリード。そして、この試合最大のハイライトは8回に来ます。この回中京は代打・林のタイムリーなどで2点を返しなおも2死満塁。ここで打者は2番・伊藤亮。伊藤の打球はレフト線への飛球。しかし僅かに切れてファール。結局伊藤は三振でチャンスを逃し、愛産大三河が逃げ切りました。
 ゲームに「たら、れば」は禁句ですが、8回の伊藤の打球がフェアになっていたらこの試合の勝敗は分からなかったように思います。愛産大三河は決勝で愛知を下し甲子園初出場。私学5強以外では80年の大府以来16年ぶりと、ある意味、歴史を塗り替えました。そう言った意味からすると、あの打球はこの大会最大のヤマ場だったのかもしれません。


★98西愛知大会決勝 愛工大名電16−13東邦
 この試合、「名」勝負ではなく「迷」勝負なのかもしれませんが・・・(^^;)
名電は初回に制球の定まらない東邦・朝倉から4つの四死球で1点先制。東邦は2回、朝倉が3ランを放ち逆転。その後も名電・石堂を打ち崩し4回までに7−3とリード。しかし、朝倉の制球が定まる様子はなく、朝倉およびリリーフした加納、早坂を攻めて名電は中盤に大量点を奪い逆転。東邦も終盤、石堂をリリーフした笠原から井川、湊川らのタイムリーで追い上げるものの名電は再びマウンドへ上がった朝倉を打ち込み突き放し、大乱戦を制しました。
 この試合が、後々朝倉を紹介するときに使われる「17四死球の大荒れ」のゲームです。


(2003.4.14 written by t.k)


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