ぼくたちの甲子園 高校野球名勝負列伝・選手権大会編
No.3 2003.4.21


90年代夏の甲子園・名勝負コレクション


★90選手権2回戦 山陽5−4葛生
 ゲームセットの瞬間まで勝敗は分からない、とはこの試合のことを言うのでしょうか?
この試合、9回裏だけ見てました。(別に見る予定もなかったのですが・・・偶然に、です。)9回表地点で4−1と葛生リード。そして勝利濃厚。9回裏の山陽の攻撃も2死ランナー無し。しかし、ここから山陽は連打連打であっという間に葛生を追いつめます。1点差に追い上げなおも満塁。打者は3番打者だったと思います。(名前は忘れました)打球は1,2塁間を抜け2人の走者が還って逆転サヨナラ。本当にあっという間の逆転劇でした。
 ちなみに、この日の甲子園は第1試合は中川の秋田経法大付が戎の育英に延長サヨナラ勝ち。第3試合がこの試合。そして第4試合は星林が中標津にサヨナラと、サヨナラゲームの連続でした。


★91選手権決勝 大阪桐蔭13−8沖縄水産
 甲子園の決勝で、ここまで壮絶な打ち合いは無かったのでは?
初回に大阪桐蔭は萩原が2ランを放ち先制。一方の沖水は桐蔭・和田を攻略し3回までに6点。しかし、既に右ヒジが限界を超えていた沖水・大野に大阪桐蔭打線を抑える力は残っておらず大量失点。桐蔭は和田をリリーフした背尾が踏ん張り初出場初優勝。
 右ヒジが伸ばせない状態まで傷んでいながら投げていた大野が痛々しかった、という印象が強く残っています。大会前に各校投手の肩・肘のチェックを実施するようになったのはこの一件が原因ですね。


★92選手権1回戦 沖縄尚学5−4桐蔭学園(延長12回)
 30?年ぶり出場の沖縄尚学と副島、高橋由などのタレントを揃えた桐蔭学園。独特の雰囲気を持つ開幕戦ということもあり桐蔭が勝つのやろな・・・と思ってました。
 しかしゲームの方は両者互角の好ゲーム。沖縄尚学は9回2死の土壇場で同点に追いつき延長へ。12回裏、走者を2塁においてライト前ヒット。ライトからの好返球で走者は3塁に止まるものの捕手が返球を後逸してしまいサヨナラゲーム。大熱戦にケリを付けました。
この試合、沖縄尚学のしぶとさ、粘り強さは本当に圧巻でした。


★92選手権2回戦 明徳義塾3−2星稜
 明徳野球を語る上でも、そして、ゴジラ松井を語る上でも避けては通れない何かと物議を醸した1戦です。
試合内容は割愛します。例の事件についてのみです。私個人の意見として、あの敬遠が是か非かと聞かれれば、「是」です。野球のルールに則ったものである以上、あそこまで非難されることはないだろう、と言うのが私個人の見解です。敬遠すると言うことは無条件に走者を出しているのですから、それだけ失点のリスクを背負っているのも事実です。実際、5度の松井の打席のうち4回はチャンスに回ってきているのだからある意味明徳の作戦は正解であり、星稜もそれは十分承知していたのではないだろうか?要するに後の打者で返せなかったのが最大の敗因では無かろうか?
 ただ、1つだけ疑問を投げかけるとすれば7回の松井の打席。この場面は2死走者なしであり、ここでも完全に勝負を避けたところか。おそらくこれがあったからあそこまで非難されたのであり、この打席の時にクサいコースに2球ほど放っておけばあそこまでの騒動にはならなかっただろうな・・・。


★92選手権3回戦 東邦1−0県岐阜商
 愛知ー岐阜の隣県対決。両校とも何度も練習試合を行い互いの手の内をよく知っている相手同士。そんなこともあって、”騙し合い”の一面も垣間見られる試合でした。
 試合は県岐阜商がやや押し気味。何度も走者を出すものの東邦は相手のウラのウラを読むようなディフェンスで何とか凌ぎます。一方、東邦打線は県岐阜商・高橋投手の緩急を駆使した投球に翻弄され音無し。0−0で迎えた9回裏、東邦はこの回先頭の9番・山田貴が右中間へ3塁打を放ち初めてのチャンスらしいチャンス。ここで、県岐阜商はリリーフエースの高井へスイッチ。満塁策を取って打者は3番・萩尾。萩尾の打球はセンターの頭を僅かに超えてサヨナラヒット。
 相手をよく知っているからこその作戦の読み合い・騙し合いが多々見られ、ある意味見応えあるゲームでした。


★93選手権3回戦 鹿児島商工4−0常総学院(降雨ノーゲーム) 常総学院 1−0鹿児島商工(再試合)
 2回戦では降雨コールドで勝った鹿商工が今度は”恨みの雨”を経験する羽目に。
悪天候の中開始されたこの試合、降りしきる雨で常総・倉は制球を乱し、バックも乱れ序盤で4失点。完全に主導権は鹿商工が握っていましたが、回復しない空模様によってノーゲーム。
 ノーゲームの後の鹿商工監督のコメント。「常総は10回やって1回勝てるかどうかの相手。それが今日だった・・・」その言葉通り?再試合は常総学院が制しました。



★95選手権2回戦 日大藤沢4−3観音寺中央(延長11回)
 まさか、「アレ」が甲子園であるとは・・・。
かつて、東邦が愛知大会でやった内野6人の奇策が見られるとは・・・。そして、今回の観音寺中央もこの奇策も実らずサヨナラ負け。また、この試合の勝者の日大藤沢も89神奈川大会決勝でこの奇策を実行したものの、これまた敗北。
 某野球漫画では功を奏していたこの奇策だが、本当に有効なものなんか・・・?


★96選手権決勝 松山商6−3熊本工(延長11回)
 この試合のポイントは、9回裏以降に全て凝縮されていると言っても過言ではないと思います。
3−2で迎えた9回裏の熊本工の攻撃も2死。松山商優勝まであと1人。ここで打者は1年生の沢村。沢村は松山商・新田から初球(確か)をレフトへ同点本塁打。(ガックリと跪く新田を今井が抱え起こしているシーンも記憶に残ってます)流れは熊本工に。続く10回、熊本工は1死満塁とサヨナラのチャンス。(この回途中で新田から渡部に交代)打者は3番・本田。打球はライト頭上を超えようかという大飛球。逆風で戻されるものの犠牲フライでサヨナラ、と誰もが思ったが、この回途中から守備についたライト矢野からのこれ以上ない好返球でタッチアウト。これで流れを引き戻した松山商は11回に3点を勝ち越し6−3で勝利。27年ぶりのV。
 あの返球、投げた瞬間は大暴投かと思えました。しかし、これが風の影響なのか?絶好の好返球になりピンチを救いました。「もう1度やれといわれても出来ない」とのコメントも印象的でした。


★97選手権準々決勝 前橋工5−4敦賀気比
 まさかの幕切れでした。
 試合の方は、立ち上がり不安定な敦賀気比・三上を攻めて前橋工が先行。しかし敦賀気比が追いつき4−4で9回裏へ。前橋工は1死2塁のチャンスに4番・寺内。寺内の打球はボテボテの捕ゴロ。捕手が1塁へ送球し2死3塁・・・。と思った時、本塁ガラ空きの隙をついて2塁走者が一気に本塁へ。慌てたファーストからの返球を三上がダイビングするが届かずサヨナラ。
 こんな幕切れは滅多に(というより前代未聞?)見られないし、三上投手をはじめ敦賀気比ナインの茫然とした表情が印象に残ってます。


★98選手権2回戦 豊田大谷3−2宇部商(延長15回)
 これまた、想像出来ないようなサヨナラ劇でした。
 中盤、宇部商は豊田大谷・上田投手から2点を奪いリード。豊田大谷は6回に古木のタイムリーで1点。そして、9回土壇場、大井、古木の2人が足を絡ませダブルスチールを敢行し同点に。延長に入ってからは両校エース共に疲労が見られ、何度もピンチを迎えますがバックが良く守り目の離
せない攻防が続き15回へ。この回、豊田大谷は無死満塁とサヨナラのチャンス。そして、宇部商・藤田投手の212球目・・・のはずが、212球目はありませんでした。捕手のサインを見直した藤田投手のボークでサヨナラ。
 私自身、長い野球観戦の中でサヨナラボークという結末を見たのは初めてです。


★99選手権1回戦 桐生第一2−0比叡山
 桐生第一・正田と比叡山・村西と、評判の高い投手同士の対戦。予想通り両投手による投手戦になります。
両投手共に前半から飛ばしているようで、どちらも三振の山。しかし、2巡目3巡目になっても全く合わせられない比叡山に対し、桐生第一の方は徐々に村西のボールに順応していき8回ついに2点先制。正田は比叡山打線を1安打(7回二死までパーフェクトピッチ)、2塁も踏ませない完璧な投球で無四球完封。村西は選抜の沖縄尚学戦同様、好投しながらバックの援護がありませんでした。(奇しくも春夏共に優勝校に敗戦となりました。)
余談ですが、この日はT.Mさん企画のオフ会の日でしたが、私が球場に到着する時間が遅くなってしまい参加出来なかった日です。(^^;)


★00選手権準々決勝 智弁和歌山7−6柳川(延長11回)
 試合の流れ、いや、それだけでなく球場全体の空気を変える「一発」から試合は大きく動きました。
選抜でもベスト8で激突した両校、この時は智弁・白野、柳川・香月の投げ合い。香月は智弁から14奪三振ながらも僅か1点が命取りとなり1−0で智弁和歌山に軍配。しかし、夏は序盤から柳川が主導権を握りました。2回に柳川は智弁の守備の乱れなどもあり3点を先制。智弁和歌山も池辺のタイムリーなどで2点返すも、中盤にもボークなど悪い形で失点を重ね7回までは6−2と柳川リード。智弁は完全に負けゲームでした。そして、その「一発」は8回裏でした。3番・武内が目の覚めるような一発をライトスタンドへ運び1点返します。まだ3点ビハインドでしたが、これで智弁和歌山は息を吹き返し、何か球場全体の空気も変わったように感じました。この一発の後、さらに香月を攻めて6番・山野がレフトへ3ランを放ち同点。敗色濃厚のゲームは振り出しに。そして、延長11回、智弁和歌山・後藤の打球がライト線を破りサヨナラ。
 敗れはしましたが、香月も終盤、指を痛めて満足行くボールが投げられない状態でしたが幾度となく訪れたサヨナラにピンチにストレートで押していき意地を見せました。そしてそんな香月を好プレー
でバックアップした野手陣、ここで敗れるには惜しいチームでした。


★01選手権準々決勝 松山商4−3平安
 古豪対決は、見応えのある息詰まる攻防が続きました。
 3回に松山商は弓削が2ラン本塁打で先制。平安は4回に市来のタイムリーで1点。6回に池田のタイムリーで同点に。終盤8回、松山商は岩井の2点タイムリーで勝ち越し。平安も1点返すが及ばず。5回の松山商のチャンスでは平安・林の好返球で本塁タッチアウト。6回、平安同点の場面では松山商の上手い中継プレーによって逆転の走者は刺すなど、本当に古豪らしく両校共に素晴らしいディフェンスによる「守り合い」でした。

(2003.4.21 written by t.k)


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