中古でMD探すなら

MD機器の特異点を探る


中古でMDデッキを探すなら

 限られた予算の有効活用のため、インターネットオークションを含め、中古でMDデッキを購入しようとお考えの方に。MDはピックアップが消耗品で す。店頭での消耗程度の把握は不可能です。もしピックアップの劣化が症状(録音・再生時に発生する音飛び)として出た場合、修理費用は確実に万単位となり ます。よって、保証が完備している場合以外MDを中古で買っても予算の節約にはなりません。

が、それでも「見つけたら無条件即買い」の機種がごく少数だけ存在します。

ケンウッド:DM7080('96.12登場、生産完了)

マランツ:CM635(2000年カタログ落ち)・CM1040(2001年カタログ落ち)・CM6200(2005年カタログ落ち)

ソニー:MDS-DL1・MDS-PC3

です。


DM7080で最新の「録音専用MD」とコンビを組むと、息をのむ世界が・・・

 これは実際にCD-R/RWレコーダーとの瞬時比較試聴までした上での「脱帽」という結果を反映しています。現在でのDM7080の入手ルートは 中古販売店か個人売買のみです。相場は2万円前後と格安です。ただし、中古はピックアップの消耗程度が不明なので、ピックアップ交換するまで、「真の姿」 であるかどうかは判断できません。

 メカはケンウッドオリジナル・ATRACはソニー製Version3と時代を感じさせる部分もありますが、DAC部分の出来が他を超越していま す。具体的にはATRACの20Bit精度出力をNPC社の8fs、20Bit精度のデジタルフィルターと「D.R.I.V.E.」と称する自社製自動可 変デジタルフィルターでオーバーサンプリングし、フィリップス社の「DAC7」と呼ばれるビットストリーム型(1Bit方式の一種)DAC(18Bit入 力のSAA7350GPと、TDA1547の組み合わせ)でアナログ信号に戻しています。

 前述したように、DM7080のATRACは旧式です。よって、本領を発揮するにはTYPE-RやARTISTといった最新のATRACを搭載し たMDデッキが「録音専用」に必要となります。自己録音再生の場合には、MJ-D5の方が良いと思われます。MJ-D7で録音したXA-PRO60「宇多 田ヒカル・First Love」をDM7080で再生した際のクオリティーは出色のもので、実売2-4万円のCDPで録音元のCDを再生してもかなわないと言ってよいです。曲 によって丸くなったり、かすれを伴ったりする声の表情、特にその消え際のビブラートが消えて行く様の美しさは格別です。

「D.R.I.V.E.」とDAC7はともに、MD規格の弱点とされる「微小音」の再現性を改善する技術です。具体的には、「低音部の量感」「弦や ピアノの音色」などにDAC7が、「音の消え際の余韻」に「D.R.I.V.E.」の効果が認められます。

 なお、DM7080にはトラック分割の際の「リハーサル機能」とサンプリングレートコンバーターがありませんので、注意が必要です。DACモード がないことも今となっては惜しまれます。ヘッドホン端子は32オーム負荷時24mWとそこそこです。


悪条件収録ディスクの「救済」はDM7080しかない。

 良い状態で録音されたディスクから、可能な限り情報を引き出す。これは高額MDデッキでも可能です。では、DM7080が「特異点」とされるわけ は?それはMD規格の弱点を補完するキャラクターを持つ、ほとんど例外的な機種だからです。

 「低音の量感」・「滑らかさ」・「奥行き感」といった要素はMD規格が再現を苦手としており、最新世代のATRACと振動制御された記録ディスク のコンビを持って、初めて満足できるようになるのが通常です。しかし、昔収録したディスクはどうするか?という問題にメーカーは、ほとんどなんの解決策も 提示していません。

 DM7080のアナログ音声出力では、これらの不足しがちな要素がいわば「補完」されており、「昔録ったMDも聴く気になる」点が他の高額MD デッキとの決定的な差異です。


 「録音重視」でもDM7080はまだ侮れません。それはアナログ入力録音がよいからです。ADCの質の良さ(残留ノイズが少なく、サ行が突っ張ら ない、空間情報まで封印できる)とメカニズムの防震対策が効いているのか、再生側ほど積極的に魅力を伝えてくるわけではありませんが、現行機種と比べても 意外に健闘します。デジタル録音でもディスクによる録音の質の差が小さく、安定感では現行機種、少なくともXA-PRO非使用時のパイオニア機を上回りま す。


据え置き型MDデッキの到達点

 デンオンDMD-1550、ソニーMDS-JA22ES,JA33ES、ケンウッドDMD-9090といった「最高レベル」とされるMDデッキ群 を試聴する機会がありました。結果、「減点法評価」をする限りにおいては、DATと肩を並べる情報量・周波数レンジ・歪みの少なさ・安定感が得られまし た。特に、瞬発音歪みは「正しく録音された」MDメディアである限り、ほぼ認識不能となっていました。曲が盛り上がってくると各楽器の表情が不安定にな る、という問題もほとんどなくなっていました。

 しかし、これらのMDデッキを私が勧める気になるか、買うか?といわれたら「それはできない」と答えざるを得ません。実売2万円のマランツ製 CDP、CD5000でも音楽に体が反応しますが、これらの「最高レベル」とされるMDデッキ群ではだめでした。

 これを「音楽性の欠如」と表現してしまうのは簡単です。が、なるべく多くの方にご理解していただくために、少しでも具体的に述べたいと思います。

 私は、音楽を構成する各楽器に均等に注意を払って聴いているわけではありません。魅力的な部分に意識を偶発的・もしくは意図的に集中させていま す。この部分・要素が「おいしいところ」であり、音楽の魅力の大半を実は、ごく限られた部分から得ています。ピアノの「プア〜ン」という響き、弦の量感、 宇多田の声のちょっとかすれている感じ、などなど。丹下桜の場合には、もっぱら声と、それによって表現されている「メッセージ」が全てとなります。

 しかし、これらのMDデッキでは、「響き、弦の量感、宇多田の声のちょっとかすれている感じ。声が消えていく際の震えといった「空気情報」「量と してはごく微小な要素」が消えています。量としては本当にわずかな要素なので、「歪み削減」や「周波数レンジの拡大」の方が優先されたのでしょう。

 が、弱点を減らして平均点を上げる、という開発方法が果たして音楽再現手段に適当かどうか?考え直す必要があると思います。音楽家同様、万人受け を狙ったのではある線を超えられない、という言い方もできます。減点法の減点対象になってでも、説得力をもつ抑揚を優先できるか否か。設計者の文化レベル が問われることになります。MDの場合は圧縮後に「残される=記録される」音が限られる分だけ、DATやCD-R/RWよりも「音のどの要素を重視する か」が厳しく問われることになります。

 ここで、具体的な判断材料を提示しましょう。マランツのCD/MDデッキCM1040です。カタログを見ると、便利機能しか記載されていません。 が、CM1040を聴いてはっとするかどうか。よい意味で驚きを覚えた方は、私の判断がご参考になるかと思います。


マランツCM1040/635

 マランツのCM1040は内蔵ヘッドホン端子がないためSR1041経由で試聴しました。CM1040はDACに、DM7080同様「ビットスト リーム型」を採用しています。再生能力に関しては、やはりDM7080をほうふつとさせる面があります。それは滑らかさや奥行き感の再現といった点で、 MJ-D7においてMDjackに録音した「悪条件収録試験ディスク」でも奥行き感の再現が感じられました。「昔録ったディスクも、聴きたくなる」能力を 持っているのは、現行機種ではCM1040だけだと思われます。DM7080とはっきり差があるのは低音の量感で、これは構造上やむなしといったところで しょうか。

 日本マランツへの問い合わせ他により判明した、マランツのMDデッキのAD-DAコンバーターの一覧を以下に示します。

CM1040,CM635:

TDA1309H(フィリップス社製18Bit入出力AD-DA)を16Bitモードで使用

CM6000:AK7712(旭化成製20Bit入出力AD-DA、DSP)

CM2020:AK4512(旭化成製16Bit入出力AD-DA)

 CM1040にはシャープ製ATRAC Ver4が搭載されているとの情報があります。CM635はCM1040と内部はほぼ同一です。CM635にはヘッドホン端子が内蔵されていますが、ライ ン出力の品質と比べますと表情や奥行き感が出ません。CM635はヘッドホン試聴だけでは真価を判断できないことになります。

http://www.minidisc.org/atrac_versions.html

 機能面ではCM1040はDM7080ほど古くはなく、サンプリングレートコンバーターやモノラル2倍録音機能がついています。ただし、 「DIVIDE」機能にてリハーサル(分割点の決定前微調整)できないことには注意が必要です。

 デジタル接続録音(内蔵CDPからのダビング含む)では、正直言いまして録音能力は高くありません。中高域が荒い印象を受けます。設計が古い以 上、予想されたことではありますが・・・

 CM1040とCM635はADCもビットストリーム型であり、アナログ録音の場合には弦楽器のつやや、奥行き感の再現などに独特の長所が認めら れます。ただしCM635ではTDA1309Hをモードピンにて16Bitモードに設定しており、 ATRACとのデータのやりとりは16Bit精度で行っています。これは、TDA1309HをCDP部分のDACとしても使用しているためだと思われま す。


CM6200:欧州向け音調を継ぐもの

日本マランツへの問い合わせ他により判明した、マランツのMDデッキのAD-DAコンバーターの一覧を以下に示します。

CM1040,CM635(生産完了):

TDA1309H(フィリップス社製18Bit入出力AD-DA)を16Bitモードで使用

CM2020(生産完了):AK4512(旭化成製16Bit入出力AD-DA)

CM6000(生産完了):AK7712(旭化成製20Bit入出力AD-DA、DSP)

CM6200:UDA1345(フィリップス社製24Bit入出力AD-DA)

 CM6200は、出たばかりですが実売で5万円切っています。CM6000と比べるとリモコン端子や同軸デジタル入力端子の撤去、筐体やリモコン の流用など、極力音質に関わる部分を温存しつつコストを下げた形跡が見られます。とはいえ、CM6000と比べるとトランス2次側配線に付けられていたコ アリングがなくなり、定電圧電源部のレギュレーターが小型化するなどコストダウンの影響は内部にもうかがわれます。また、アナログ入力信号はアナログボ リュームを介すことなくADCに接続されており、アナログ録音レベル調整はAD変換の後、デジタルボリュームで行われています。CD(VAM1202) /MDとも再生中のメカの動作音は結構目立ちます。

 音質の方向性という意味では貴重であるとは思います。低価格帯で一般的な中高域を目立たせた音ではなく弦楽器やピアノをそれらしく聴かせるあたり が美点です。ビットストリームDAC復活の効果は確かに認められます。しかし、混濁感がCM6000に比べると増している点が残念です。これは倍速コピー 用にCDメカからMDメカまでデジタル信号がシールドされずに配線されている影響が大きいようです。

 UDA1345はビットストリームAD/DAで96kHz/24bitまでの入出力が可能です。高精度32bit処理ATRAC DSPの正体はSHARP LR37816Aです。ビット・アロケーションは、このシャープ製第8.3世代?ATRAC に指令を出してビット配分の係数を変えるもののようです。32bit処理というのは半ば数字競争であって、MD-LPのATRAC3が要求する高精度処理 能力を満たしている、というくらいの意味合いだと思います。このATRACはビット配分に問題があるように思います。暗騒音が異様に目立つように変質して 録音されてしまうことがあります。ビットアロケーションを「MODE 3」に設定すると高音が抑えられますが、暗騒音が変質して目立つ点は変わりません。

 CD再生能力はDACのキャラクターの分だけCM6000より魅力が増しています。MD部も再生する分には収録時のような問題はありません。



ソニーMDS-DL1・MDS-PC3

 ソニーMDS-DL1は「ダウンロード」を意味すると思われる型番が示すように、内蔵のiLink端子を用いてスカイパーフェクTV!の特定番組から ATRAC圧縮処理済みの音声データを直接受け取ることができることが「売り」でした。しかし、ソニーは音楽配信手段をインターネットに変えることとし、 スカイパーフェクTV!からのMDへのダウンロードサービスは打ち切ることを決めました。結果、MDS-DL1は当初の存在目的を失い2000年5月現 在、実売価格が3万円以下に暴落しています。ATRACはなぜか、最新のTYPE-Rを搭載しています。

 MDS-DL1はACアダプター駆動となっているため、本体に一切手を加えることなく電池駆動できます。実験する機会がありました。

 DL1付属のACアダプターは定電圧回路がないようで、無負荷時には11V程度出ています。しかし、本体表示はDC9Vと書かれています。おそら く本体内部に定電圧回路があるのでは?と予想し、ソニー製のDC6V(実測でも6V)のACアダプターを使用してみたところ、あっさり動きました。

 そこで、アルカリ単3型乾電池を4本直列してMDS-DL1の外部電源入力端子に接続したところ、数時間は動作できるようです。驚いたのは、この 電池駆動時の音質向上ぶりであり、特に電池駆動してデジタル接続録音してできあがるディスクの録音品質は驚異的なものがあります。この際光ケーブル以外の 電線はMDS-DL1から全て外しておくことが重要です。

 聴感上のノイズの少なさと歪み感の減少は驚くべきものがあり、ポータブルからDMD-S10までのいかなる再生機で再生しても恩恵が認められま す。逆に、DL1を電池駆動して内蔵ヘッドホン端子で聴くのも良好でした。

 ただ、ヘッドホンアンプの都合上、ヘッドホンは選びます。低音の出ないヘッドホン、負荷の軽いヘッドホンですとハイ上がり・飽和感・音量調整が荒 すぎる、等々で聴けませんがオーディオテクニカATH-W10VTGの長期使用ものですとうまい具合に合います。

 なお、このMDS-DL1の電池駆動はメーカーが想定していない使用方法であり、保証対象外となる恐れがありますので、ご理解の上でお試しくださ い。もっとも、この電池駆動抜きではMDS-DL1の録音能力はかなり低下してしまいます。

 MDS-DL1は単独では文字入力・削除とトラック単位の削除・ディスク消去しか編集機能が実行できず、手動でのトラック分割やトラック結合は実 行できませんので、注意が必要です。また音声入力端子が光兼用ステレオミニプラグとなっており、アナログ接続録音とデジタル接続録音を切り替える際には ケーブルの配線変更が必要であること、かつ、デジタル音声出力端子がないことにも要注意です。

 MDS-PC3は10月10日発売開始予定、定価は49000円です。この機種もACアダプター駆動です。MDS-DL1同様に乾電池減電圧駆動 が可能であると思われます。機能面ではMDS-DL1にあったiLink端子がない代わりに、MD LPへの対応を果たしており、端子周りが大幅に改善されています。


付録1:パイオニアの「ARTIST-SYSTEM」搭載機種について

 パイオニアのMJ-D5(MJ-N901)の魅力は、最高クラスのATRACエンコーダーである「ARTIST-SYSTEM」に尽きます。これ は、どの音を残すべきかを追加DSP(AK7712AVQ)が判断してシャープ製のATRAC-DSP(LR376481)に教えるという方法で、 ATRAC-DSPを自社開発できない弱点を見事に克服したものです。ちなみに、このAK7712AVQはAD-DA内蔵で、もともとAVアンプの音場創 製用に開発され、パイオニアのDSPカセットデッキにも搭載されています。MJ-N902では、24Bit処理へと進化しているようです。

 メカが振動に弱いためか、録音用ブランクMDを非常に選ぶ傾向がありTDKの「MD jack」やソニーの「プリズム」では高音が歪んだ救いがた い低音質で録音されてしまうという泣き所はあります(同一商品名でも現在はディスクの改良が進んだため、えり好みの問題は解消されています。)。しかし、 録音用MDを上手に選べば、他社同クラスを圧倒する魅力的な録音済みディスクができあがります。実測で20000Hzまで記録された高音域の伸び、刺激音 の少なさ、いずれを取りましても、現在最高レベルの録音能力です。他のMD機器(初代MD、ZS-M1など)で再生しても、このエンコーディングのうまさ は十分に味わえます。ただし、くれぐれも「合わないブランクMD」で録音しないこと。これが重要です。最低でもマクセルのMD XL、できたらTDKのXA-PROに録音することで「真の姿」を堪能できます。

 この価格帯で数少ない「デジタル同軸入力端子」を持つことも、録音能力の面では有利です。しかし、MJ-D7のアナログ音声入力部には問題があり ます。「サー」というノイズが大きく、明らかに音源よりS/Nが落ちてしまいます。FMやレコードの録音には向きません。「デジタルNR」は録音時にも使 用可能なので、これを使えばノイズは録音されませんが、音も変わります。MJ-D5では、このADCの残留ノイズ問題を直してあるようです。


付録2:マランツ MD-19について

MD-19が搭載するDAC、ADCのチップは

PCM1716(バーブラウン社製の24Bit入力マルチレベルシグマデルタ型DAC)

AK5351VF(音声差動入力、旭化成製20Bit出力マルチレベルシグマデルタ型ADC)

 です。MD-19の搭載ATRAC ICはCXD2652ARであり、Ver4.0であると考えられます。

 MD-19はADCもDACもアナログ回路部分に注力しており、ADC側は差動回路、DAC側はHDAMを搭載した全段ディスクリート構成となっ ています。

 再生音質傾向はレンジ感が広くて歪み感を抑えてあり、20BitMDソフト再生ではさらに情報量が増えます。中低音のしまり具合や位相の正確さは 相当なものであり、ソニーやデンオンのより高額な機種を現時点であえて選ぶ必要性は感じません。また内蔵ヘッドホン端子の質はソニーのJA22ESよりは 上、JA555ESと比べても基礎体力差で劣るくらいであり、この良質さも見逃せません。

 ただし、あくまでディスクに記録された情報をそのまま反映する性格であり、録音のよくないディスクはそのまま出てきます。また抑揚の幅、奥行き 感、静けさといった点では限界があり、CM1040の方が聴かせ方のツボを押さえているような気もします。減点法評価にはMD-19の方がCM1040よ り強いとは思います。

 デジタル接続録音における音質傾向は不安定感こそ少ないものの、MDS-DL1の減電圧(9V定格のところを、5.5V駆動)駆動録音比では録音 品質差が明らかに認められます。複数の声を重ねている部分がMD-19収録ディスクでは一つの声のように聴こえてしまいます。MDS-DL1の減電圧駆動 録音ディスクでは、重なっている複数の声それぞれの感情まで感じられます。

 MD-19はモニター機能で単体ADCやSRC経由DACとしても使えます。が、あくまで録音機として使うことを想定して各部の音の性格が決めら れているようです。ADCは家庭用音楽専用CD-R各機種を軽く上回る広いレンジと低歪みできれいに磨かれており、低域もあまり緩みません。SRC経由 DACは逆に解像度志向が感じられます。これらの性格は、MDによる録音・再生系による変化を考慮しているようです。

 MD-19は録音時記録日時の表示機能と、DIVIDE編集機能におけるリハーサル機能がついている点が機能面での特徴です。CD-TEXTの表 示・記録機能もありますが、対応CDソフトが少ないため実用性には疑問符がつきます。


付録3:CM6000

 正直言いまして、DACとADCは前作のCM1040/635の方が好感を持てます。フィリップスから AKMへの部品供給元メーカー変更に伴い、CM1040/635で感じられた卓越した抑揚表現・揺らぎ・奥行き感はかなり減少してしまいました。しかし、 基本的な音質哲学は継承されています。弱音部における聴感上のノイズが少なく、静けさの表現は上手です。また、ありがちな中高音域の強調感がみられない点 も共通しています。

 コピー禁止家庭内複製済みのCD-Rからのダビングを可能とするために、DA-AD経由での録音に用いる切り替えスイッチがADC部分に追加され ています。これもCM635・1040と比べて音質的に不利な点です。

 CM6000のATRAC-ICはシャープの「LR376484」であり、シャープ第6世代の据え置き用であると思われます。635はデジタル接 続録音の質がいまひとつでしたが、その点は改善されています。ただし、高音域の質感はソニーのTYPE-Rに比べるとまだまだです。

 機能面では「リハーサル」「録音レベルマージン表示」「モニター機能」とエアチェック用にも使える機能が揃っています。ただし、モノラル2倍録音 モードの設定が電源切りはもちろん、リモコンによるスタンバイを行っても簡単にステレオ録音に戻ってしまう点は注意が必要です。また、15分操作せずに放 置するとデモモード(動作と関係のない表示が次々現れる)かスタンバイのいずれかになってしまいます。従って、停止状態で15分以上放置した場合、「必 ず」録音モードはステレオに戻されます。

 また、入力切り替えとヘッドホンの音量調整がリモコンからのみ可能である点も不便です。デジタルボリュームが44.1Khz入力時しか使えないの は、MJ-D7と共通する欠点です。

 CM6000のCDメカはCD-17Da等と同じVAM1201であり、ファイナライズされていればCD-R/RWとも再生できます。サーボ・デ コーダーICもフィリップスのCD7(SAA7372GP)が搭載されています。CM635のときはCDM12.1でしたがサーボ・デコーダーICは松下 製でした。

 CM6000のヘッドホン端子はAV7712AVの4chDACを利用しています。ライン出力に用いるDACとは別系統の出力を用いており、音量 調整はAV7712AV内部でデジタル方式によって行われています。ヘッドホンアンプの質はCM635よりは高いものの、ゼンハイザーHD580を鳴らす のは低音の制動の面でやや辛い面もあります。


ポータブルでは?

 2002年9月シャープから「モバイル1ビットデジタルアンプ」を搭載し、飛躍的に内蔵ヘッドホン端子を用いた再生能力を改善したポータブル再生 専用MDプレーヤーが発表されました。このため、保証の切れた旧機種をわざわざオークション等で入手するメリットは無くなりました。ただし、

ソニー:MZ-1・MZ-2P

シャープ:MD-D10

といった「初号機」の完動品を運良くお持ちの方は、強力なヘッドホンアンプを積んでいますので捨てずに活かすことをお勧めします。

二号機以降では、ソニーよりシャープの方がヘッドホンアンプの出力・S/Nが良質なようです。


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