End of Only One
SONYが自らブランドを失ってきた歴史

SONY Only One規格滅亡と、後継機不在の歴史

2001年7月 据え置き型 8mmビデオ規格 ビデオデッキ 全機種生産完了(最 期の機種:WV-ST1
失われたOnly One その1:小さな保管場所に、長時間そこそこの画質で保存録画

ソニー自身は当時、代替足りうる保存録画機を提示していなかった。
HDDレ コー ダーClip-Onは長時間モードでも一定の画質を確保していたが録画データをそのまま保存できず、
後継のCocoonHDDレ コーダーで は編集機能すら排除し、完全に保存を否定。
DVDレ コー ダーRDR-A1はPioneer社DVR-7000のOEM

8mmビデオが忘却された後の2005 年2月、松下が片面1層DVD4.7GBに4時間、実用的なFull-D1画質での録画を可能に。

2002年6月 据え置き型 標準DV規格デジタル  ビデオデッキ 全機種生産完了(最期の機種:DHR-1000,WV-DR9/7/5
失われたOnly One その2:家庭用最高画質・最高音質での保存録画 家庭での フレーム精度で編集点が乱れない編集

MiniDV規格は家庭用ビデオカメラのデファクトスタンダードとなり、HDV規格に も継承されているため、
当面、滅亡の危険は少ない。一方で、MiniDVと同じ記録方式で、物理的に下位互換性の無い大型カセットにより
長時間連 続録画を実現した標準DV規格(FullDVとも呼ばれる。長時間モード・薄手テープ無しにSPで最長4時間30分)は、
ソニーでも2世代・松下1機種(NV -DV10000)が 出たのみで全て生産完了となっており、
MiniDV規格とは対照的にメーカーから冷遇された。

ソニー自身は当時、代替足りうる保存録画機を提示していなかった。
ソニーが現在でも販売していて標準DV規格互換のある、業務用DVCAM規格ビデオデッキは
予約録画タイマー・入力セレクター・チューナー・LPモード録 画を搭載していないにもかかわらず、
家庭用より高価(ロー エンドのDSR-11でも26万円)であり、ハイエンドエアチェック用途の代替足り得ない。

Cocoonは保存を否定。DVD レコーダーRDR-A11はPioneer社DVR-3000のOEMで、RDR-A1から機能後退
ソニー自らDVD-Video規格の壁(約10Mbps MPEG2)を越える保存録画機、
BDZ-S77を発表したのは2003年3月の ことであった。

2002年 8月27日 Beta規格 ビデオデッキ 全機種生産終了(最期の機種:EDV-9000,SL-200D)
失われたOnly One その3:ユーザの命令に機敏に反応する家庭用録画機 家庭用高画質・高音質保存録画 
家庭でのフレーム精度編集

規格戦争の代名詞とされ、敗北規格の悲哀とともに語られる事も多いBeta規格であるが、
当時のソニーがBeta規格の存亡をかけて北米で勝ち取った判例(いわゆるBetamax訴訟)は、
家庭でのタイムシフトの自由を認めただけでは無い。
アメリカの最高裁は、「海賊行為など に使われる可能性のある技術でも、
著作権侵害にあたらない相当量の利用が認められる限り、その技術を禁ずることはできない」
として、
既存の著作権を根拠に、新規技術を部分的非によって否定する事を認めなかっ た。
これは、メーカーが新規技術市場を開拓する上で、ユーザーにとっても極めて 重要な考え方の確立であり、
日本国内を含め、現在までの家庭での録画録音に大きな影響を与えている。

ソニー自身はBeta生産終了当時、代替足りうる保存録画機を提示していなかった。Cocoonは保存を否定。
DVDレコーダーはPioneer社OEM。据え置き型標準DV規格デジタルビデオデッキであれば代替足り得たが、
Beta規格より後に出たにもかかわら ず、先に生産完了する始末。
ソニー自らDVD-Video規格の壁(約10Mbps MPEG2)を越える保存録画機、
BDZ-S77を発表したのは2003年3月の ことであった。
その後DVD+-RWコンパチブルという、
日本国内DVDレコーダー市場(HDD&DVD-RAM/RW/R)を無視したかのよう な、
単体DVDレコーダーRDR-GX7 を2003年4月に発表

アナログVTRの置き換えを本格的に狙ったHDD&DVD搭載「スゴ録」初代の発表は、
さらに遅れる事2003年9月 のことであった。

2003 年7月? Digital8規格 ハンディカム 国内向け生産終了(最期の機種:DCR-TRV240K)
失われたOnly One その4:既存8mmテープの再生と、高信頼DV規格新規録画を1台のハードで両立

8mmビデオの再生可能機種自体は、CCD -TRV126(ただしS端子無)GV-D800で、
かろうじて現状でも販売継続されているものの、これもいつ生産完了となるかはソニーの一存に左右される。

2005年2月 家庭用  据え置き型DAT 全機種生産完了(最期の型番:DTC-ZA5ES
失われたOnly One その5:CD以上の音質での、1媒体に2時間以上の連続録音

DAT規格自体の歴史は、「DAT 博物館」(旧サ イト)が詳しい。
結局、1987年のDAT規格(懇談会仕様)発売開始から17年、
最後のDAT新機種発売(1997 年7月)からでも7年もの長きに渡り、
家庭用録音機ではDATの代替規格・代替機種は現れなかった。

最大の音源がCDである以上、CDプレーヤーで基本的に再生できる、CD-Rは究極の録音媒体の一つと言える。
だが、エイベックス社がCCCD導入時に行った、
音質 の変わらないクローンCDができあがる。家でCD-Rへコピーし、
元のCDを中古店に売るというケースが増えてきている。バックオーダーがズドンと落ちてしまう。
」という
主張に代表されるように、事の因果関係の立証(CD-R”だから”起きる事か?他者を縛って、その分儲かるのか?)抜きで
国内ではレコード会 社らが、CD-R規格自体に否定的である。
ソニー自身もMD規格策定に際し、「CDをレコーダブルにしたら、レコード産業は全部我々の敵になってしまう」という
大賀氏の政治的判断によって「CDより音質がある程度悪くなければならない」(小学館文庫「ソニーの法則」276ページ)、
MD規格を決めた経緯がある。

1992年発売のMDの日本国内における爆発的ヒットは、その直前のDAT の商業的失敗と合わせ、
レコード産業に睨まれたら規格競争には勝てないとして、もはやメジャーレー ベルを抱えていた
ソニー自らを後々まで呪縛することとなった。


その後、1998年から2001年のわずかな期間、家庭用音声専用CDレコーダーが一時、各社から一斉に発売され、
DATの一部用途を代替するかに見えた。

家庭用CDレコーダーは、専用メディアにSCMSといった制約つきの家庭用音声専用CD-Rすら、発売が難航した経緯がある。
音楽ソフト業界からの圧力の強さを示す一例としては、
1998 年発売の国内一号機であった、PHILIPSのCDR870強 制SRC挿入により、
オリジナルと同一データの複製が不可能な仕様
スペック表へ)でありなが ら、
当初、デオデオ経由の限定販売として市場投 入されたことが挙げられる。
後に、1998年末の私的録音補償金制度成 立 を待って、CDR880Sらの一般販売が始められた。

ソニーは特に、従来MDで築いた市場を奪われると考えたのか、それともSMEらに代表されるレコード会社による危惧からか、
家庭用音声専用CDレコーダーには最も否定的であった。
具体的には、家庭用音声専用CDレコーダーの仕様で、販売は業務ルートという目立たぬ形で、
しかも、2000 年11月になってからCD-RW33を発売している。
また、CDプレーヤーやDVDプレーヤーでのCD-R再生対応も、主要メーカーでは最も遅かった。

しかし、CD-Rは当然ながら79分以上の連続録音はもちろん、誤って録音したトラックの削除も出来なければ、
録音後に頭出し点を修正する事も出来ない規格であった。
一発勝負の録音に使うには、あまりにも不便であり、一方で既存CDのコピーだけならPCで済むとされた。

PCは汎用機で多用途に使える分割安感が強い。しかもオーディオより遥かに早い頻度で、
買い替え対象とされ、それに伴い急速にCD-RドライブやPC用CD-Rメディアは価格が下がっていった。
PC用CD-Rは2002年にはコン ピュータ市場でCD-ROMドライブから、
わずか3年の短期間で光ディスク装置市場を引き継ぐに至り(リンク先PDF 22ページ参照)、

これにより、単機能の音声専用機の普及の可能性は完全に潰えた。

ある意味、最も惜しまれる事は、
ソニーがこの時期にPC用として出荷したCD-Rドライブが、
音質上の理由も根拠に、業務用や趣味用に現在でも支持されている事である。
1995年に最終生産された、定価130万円のCDW -900Eは、今でも音楽CDのプ リマスタリング用途で現役とされ、
1999年に出荷された、定価15万円のCDU948Sは、今でも熱心な支持者がい るRF/クロック/ ジッタの測定例)。
この、CDU948S とmarantz CDR620(CDR640以前の機種)で作成したCD-Rは音質的に良い勝負という評価もある。

ソニーはパソコンがCD-ROMを中心に搭載していた、この1995年から2000年にかけて、
家庭用高額オーディオではMD一辺倒だった。
MD デッキのATRAC のバージョンを小刻みに上げ続け、
1995 年06月発売?:MDS-JA3ES(Ver3.5)
1996 年12月発売?:MDS-JA50ES(Ver4.5)
1998年 07月発売:MDS-JA22ES(TYPE-R)
1998年 12月発売:MDS-JA33ES(TYPE-R)
1999年 11月発売:MDS-JA555ES(TYPE-R)
2000 年10月発売:MDS-JA333ES(TYPE-R/MD LP)
毎年のように、定価10-20万円クラスのESシリーズMDデッキのモデルチェンジを繰り返し、買い替えを誘っていた。

一方で、ソ ニーはCD同等の1メディア650MBを実現した「MD DATA2」規格準拠のMDビデオカメラDCM-M1を、
1999年12月に発売している。

従来MD規格のままMDデッキのマイナーチェンジを繰り返すぐらいなら、上位互換で構わないから、
MD DATA2規格準拠のリニアPCM記録MDデッキを出してほしいと思ったのは筆者だけではないだろう。

もっともCD-Rがデファクトスタンダードとなった今となって思うに、
違法目的コピーを促進するとの誹りを避ける意味でも安易に買えない程度の価格設定で、
ハイエンドオーディオとしての、業務用CD-Rドライブ搭載の音声用CDレコーダーを早期に商品化していたら、
ソニーにとっても、後々、MDデッキ郡よりも遥かに長く評価される機種を生み、普遍的な価値を提案出来たのではないか。

オーディオメーカーによる 数年の一過性ブーム作出の後、
CD-RはPCの一機能に吸収合併され、音声専用機としては、わずかな数の現行機種を残すのみである。
家庭用音声専用CD-Rメディアの需要は、 2005年でも録音用ミニディスクの約1/4との国内推定需要実績もある。
縛りすぎて客を異業種に取られるという失敗を、国内メーカー各社はアップル社のiPod相手に繰り返す事となる。

家庭用音声専用CD-R時代の末期(2001年9月)になって、
ようやくYAMAHAから待望のHDD& CD-R/RWレコーダー(CDR-HD1000,HD1300,HD1500)が発売され た。
しかし、ソニー製DATの様な生録・エアチェック用途に合わせた
操作体系(1ボタン曲分割)・機能装備(録音日時記録&タイマー予約録音機能内蔵)は無 く、
CD音源のジュークボックスを主用途としていた。

ソニー自身に至っては、CDドライブにHDDを組み合わせたHAR-D1000 を2002年2月に発売していた。
しかし、録音方式はATRAC3のみ、CD作成機能はおろか、デジタル音声出力すら無しという仕様であり、
最近のミニコンポ内蔵機になるまで、2号機が出る事も無かった。
仕様からして、DATの代替を狙っていたようには思えない。

2005年 11月、ソニーは impress社の記事において、DATの代替製品の一つはHi-MD(2004年1月発表)であり、
ユーザーの代替製品への移行が進んでいると説明している。


しかしながら、DATのOnly OneであったCD同等音質で1媒体 に2時間連続録音が、Hi-MDでは出来なくなっていた
DATからのデジタル音声(SPDIF)出力により実現していた録音データの汎用性に至っては、
SMEらソフト販売業者に遠慮したのか、ソニー自ら Hi-MDでは汎用性を縛っていた。

これら制約下では、Hi-MDは機能的にDATの代替足り得ない。
Hi-MDからの自己録音データの取り出しに必須であるPCソフト、SonicStageにおける
後のデータコピー制限緩和は評価できるが、遅きに失した感がある。
さらに、連続録音時間制限は1GBという現行Hi-MDのディスク容量自体に由来するため、
規格変更無しに対処する事は不可能である。

加えて、Hi-MD関連新機種の投入にソニーが既に消極的になっている事を考えると、
発 表当時公言した、Hi-MDでMD市場規模を従来の10倍に拡大したいという野望を、
ソニー自身すでに、断念しているようにも見える。
案外、コンパクトカセットテープがDATよりも長寿規格になったように、
従来MD規格の方が、Hi-MD規格よりも長生きする事になるかもしれない。
その従来MDすら、録音用ミニディスクの 2005年推定需要実績が国内前年比24%減との報道もある。

2005年になってから、業務用途ではTASCAMの DSD対応DVD録音機、DV-RA1000等、
ようやく音質・録音時間面で、DATの代替足り得る据え置き録音機が現れている。
しかし、こ れとて家庭用SACDプレーヤーやDVD-Audioプレーヤーで再生できるメディアを直接作成できる訳では無く、
あくま で素材作成のみを担う機器である。

しかもTCD-D100発売後の7年の間に、業務ではパソコンによるDTMが普及し、
家庭でもレンタルCDからMDへのダビングに代表された、
AD変換を伴わない録音・編集作業は、
iPod(CD同等音質での再生も可)らの普及に伴い、既に汎用機であるPCに吸収される傾向にある。

2006年1月 には、「ポータブルオーディオではMDメディア減少のトレンドは避けられない」との
ソニーマーケティング関係者の発言もあり
、今後はHi-MDへの積極的なテコ入れは無くなるのでは、とも思えた。

ところが、2006年4月になり、ソニーは従 来MDからもPCに音楽データを取り込めるという
新機 種、MZ-RH1を発売した。

過 去に録り溜めた音楽資産を、現在のPCベースの利便性に取り込みつつ、
機器としてのアナログ回路の造り込み等でもHi-MDをオンリーワンとする、

ソニーの変革の実が現れ始めた事を表す商品企画と言えよう。


2005 年11月25日 家庭用DAT 全機種生産終了(最期の型番:TCD-D100
失われたOnly One その6:バッテリ駆動による、CD以上の音質での、1媒体に2時間以上の連続録音

ソニーは impress社の記事において、DATの代替製品の一つはPCM-D1であり、
ユーザーの代替製品への移行がTCD-D100出荷完了の理由の一つであると説明している。


そのPCM -D1だが実売価格はTCD-D100登場当時の2倍であり、それだけの値段を払う仕事ユーザーであれば
現 に、北米ではPCM-D1は業務用途として販売されている。)前提として要求するであろう、
業務用途接続端子(XLR/標準ピン)が無い。
業務用DATのライバルであったTASCAMブランドからは、早速、値段、端子構成共、より現実的なHD-P2が 発表。
一方で、低価格を欲するライトユーザーは、比較的安価なローランドR-1の類に流れる であろう。


2005 年11月 MICROMV規格デジタルビデオカメラ 生産完了(最期の型番:DCR-IP1K  実使用時 約280g)
失われたOnly One その7:MPEG2規格を用いた、1媒体に高画質で1時間撮影できる、世界最小ビデオカメラ

MICROMV規格発売当時(2001年8 月)、
既に次世代と目されるDVD ビデオカメラ、日立DZ-MV100発表(2000年6月)から1年以上経過しており、
テープで新規格を発売しても短命に終わるのではないかとの疑問が、当時から示されていた。
後に据え置き型ビデオデッキの代替に急成長した、HDD& DVDレコーダーの発売が始まる時期であったことからも、
当然生じる疑問であろう。

この疑問に対し、ビデオSALON誌(2001年11月号)に掲載された記事では、
「テープは小型で大容量が得られる、これに尽きる
MICRO MV規格の60分テープの場合、その容量は10GB。」と小型高画質化のために、
あえて新製品が軒並みディスクメディアになる中、テープ媒体を選択したと説明されていた。

しかしながら、日立が重点開発を続けた 8cmDVD(片面1層1.4GB)ビデオカメラが予想以上に好調となり、
ソニーもアメリカ市場で先行発売したDVDハンディカムが好評となると、
態度を一転 させ、DVDハンディカムの国内発売に踏み切る(2004年2月)一方で、
MICROMV規格ビデオカメラの新商品(2003年9月 のDCR-IP1Kが最後)が、その後発表される事は無かった。

さらには、デファクトスタンダードであるMiniDV規格でも、ソニー自ら
世界最小を謳い、真っ向からMICROMVと競合する機種、DCR -PC55(実使用時 約360g)を(2005年2月)発表。

加えて、DVDレコーダー市場で鍛えた低レートMPEG2録画技術を応用し、
デジカメ用途で大容量化著しいSDメモリカードという、小型化のみならず稼働部皆無という点でも携帯機器にとって
究極の記録媒体を採用した(2GB SDメモリを付属)、
3CCD搭載SDメモリビデオカメ ラ、SDR-S100,S300(実使用時 約285 g)が松下電器から発表された(2005年9月)。

放送規格に入力部が決定づけられない分、家庭用ビデオカメラ市場では規格の更新が早く 進む結果となっており、
缶コーヒー1本の半分程 度の重量体積差に、こだわって独自規格というリスクを選んだソニーとユーザーは、
わずか4年程度でMICROMV規格生産終了の憂き目に遭う事となった。



like no otherだけで生き残れるのか

 筆者は失われたOnly Oneその1-6までの理由により、他社を選択する事が”できずに”、ソニー1社のみ発売を続けた、これら6規格を使用してきた。
 しかし、現在据え置き録画録音機は全て東芝のRD-Styleに集約し ている。全録画レートリニアPCM音声切替可・フレーム/GOP精度ユニティエディット・HDDとDVD間のVR,DVD-Video規格の壁すら越え る、高速無劣化ダビング・LP Full D-1録画と、RD-Styleは、かつてソニー製品群がOnly Oneとしてきた特徴の数々を、現実解としてのソフトウェアによって実現している。また、RD-Styleの最終保存先はDVD-RAM (VR)もしくは DVD- R(DVD-Video)規格であり、少なくとも、DVD-Video規格の滅亡は当面考えなくて良いだろう。
これでようやく、ソニーの猫の目のように変わる、自社規格の生産終了の危惧から逃れる事が出来たと考えている。

 一方でユーザーから見れば、この間、まるで自慰のような示威行為をソニーは繰り返しており(Cocoon,PSX,Walkman A・・・)、業績回復の見通しはなかなか立たなかった。ソニーはトラブル時のサポートが悪くて顧客支持を失ったとも言われるが、実のところ修理品 が完治せ ずに再修理といっ たことは筆者も昔から経験しており、今に始まった事では無い。それでも特に画質・音質要求が強い特定用途では、ソニーのハードウェアはOnly One足り得たために、選ばざるを得なかったという事である。

 しかしながら、ソニーがかつてOnly One足り得えていたのは、「超小型の精密メカニズム」の力に支えられていたのではないか。保存媒体がHDDやDVD、フラッ シュメモリに替わり他社でも同等部品を容易に購入(OEM)できる現状では、もはや凝っ た外装を夢見た後、そ れを特殊メカで実現し特殊メカに支えられた独自 規格で囲い込むという、過去 の勝利の方程式は通用しない。むしろ、量産効果で汎用記 憶部品を安価に入手できるようになってきている先行メーカーに、遅れを取っている現状を反映し、顧客から分かる形(特に、他社デファクト規格の取 り込み)で、謙虚な態度を示す必要があ るだろう。
 なお、その後2006年に入り、当初のプロ ジェクト名が”RAMを食う=ジンギスカン”と名付けられていた、スゴ録DVD-RAM 再生対応する等、ソニーの自社規格縛りは急速に撤廃されつつある。

 2005年11月現在、ソニーは「like no other」という標語を掲げている。他社を意識しつつ、他社には無い価値を提案すると言いたいのかもしれない。しかし、現実には特に ユーザは各社の規格に縛られており、メーカーに生殺与奪を握られている。自作の困難な複雑な規格の絡む、録音・録画装置等はその代表格である。メーカーは 少なくとも、旧規格・旧製品を製造停止する前に少なくとも1年は前もって、用途を代替できる新機種なり、少なくとも旧規格を捨てない新規格を提示し続ける 事で、ユーザーの 「希望」は繋ぎ留めなければならないのではないか。

 ソニーはユーザーが代替と認める機種が出る前に、自社独自規格製品を、 ひっそりと打ち切る愚 を何度も繰り返している。これでは、それまで修理代を払い続けてきた優良顧客であっても他社に流れるのは必然であろう。

 その点、松下電器の市場要求(端的には低価格化や、ボタン数削減と いった分かりやすい要求)に答えた上で、自社規格へと誘導する(ブルーレイレコーダーでもDVD -RAM録画再生可能, 台数の出るDVDレコーダーに当 初はPCカードスロット、今はSDカードス ロット搭載)マーケティングは、ソニーのオレ流トップダウンマーケティングとは好対称を成しており、特にソニー関係者は何が利益確保の成否という 差を生 むのか、検討してみる必要があるだろう。

 2006年に入り、液晶に的を絞った「BRAVIA」ブランドでのTV受像機シェア回復や、子供をハイビジョンで残せるならと、他社の NTSC規格専用DVカメラの倍額でも売れるHDVビデオカメラ、Hi-MDのMZ-RH1など、ソニー復活の動きが少しずつではあるが、形を見 せ始めている。2ヶ月待ちだと言う、『MZ-RH1』 ソニースタイル限定ブラックは予想を大幅に超えるご注文をいただいております。予約状態になりますと、次回ご購入いただけるのは6月中旬(予定) になります。といったオンリーワン商品に対する反響が、ソニー自身にとっても好循環に繋がる事を期待したいと思う。

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