時空のゆがみ




すべてはここから始まった....?



今回ご紹介するのは、60年代のイギリスで実際に起きた事件。

1967年の8月21日、イギリス・ドーセットシャー州に住むウォール一家は、その日、 7歳になった一人娘のキャロンを祝い、誕生日パーティーを開いていた。   近隣に住む友人や、親戚らも招いたパーティーは和やかなムードに包まれていた。

ところが、お祝いに沢山のプレゼントをもらい、すっかりと舞い上がってしまっていたキャロルは、ふとした弾みに、 テーブルの端に置かれていたワイングラスを倒してしまった。 テーブル上に流れ出したワインは、 敷かれていたテーブルクロスのみならず、キャロンの美しい白いドレスをも赤黒く染めてしまったのである。

お気に入りのドレスを汚し、呆然と立ち尽くしていたキャロルにすぐさま母が駆け寄り、彼女の手を引くと、 洋服をしまってある部屋へと急いだ。  だが、部屋に入り、おもむろに洋服ダンスを開けた2人は、そこで衝撃的な光景を目の当たりにした。

 驚いたことに、タンスの中には、収められているはずの衣装など影も形も無く、 代わりに、何か得体の知れない煙の様な物が立ち込めていたのである。  驚きの余り2人は声も出ず、その場に立ち尽くしてしまった。 

目をよく凝らして見ると、煙の中には何か大きな建物らしきものが映し出されているようだった。 『これは、一体....』 目の前の信じ難い光景に身の危険を感じた母は、とにかく一刻も早くこの場を離れようと、 傍らに立つキャロンの手を引こうとしたその時だった。

なんと、キャロンの身体がまるで、目に見えない何か大きな力によって引っ張られるかのように、 タンスの中へと引きずり込まれていくではないか。

 『キャロン!!』 婦人の悲鳴を聞き、夫や親戚たちが駆けつけた時には、既にキャロンの姿は無かった。  慌てふためく母親の様子から状況を察した彼らは、タンスの中に向かって必死に呼びかけ続けたが、彼らの意に反し、 煙は次第に薄れ、瞬く間に掻き消えていった。

 それでもなお、彼らは残された何の変哲も無い洋服ダンスの中にキャロンの姿を求めた。 だが、 狭いタンスの中に、子供とはいえ、人間一人が身を隠す場所などあろうはずも無い。  通報を受け、駆けつけた警察も、少女がタンスの中へと消えたとあっては手の施しようも無く、 その日結局、彼女を見つけ出すことは出来無かった。

だが翌日、悲しみに暮れる両親の元に一本の電話が入った。  なんと、電話の主はカナダのトロント市警で、お宅の娘さんと思われる少女を保護していると告げてきたのだ。   これに驚いた両親は、すぐさま事の詳細を問いただした。



 
廃ビル のイメージ 



警察によると、彼女はキャロンの失踪とほぼ時を同じくした、トロント市内のあるビルにおいて発見されたという。  古ぼけたそのビルは、既に解体処分が決定され、工事を依頼された業者の作業員数名が、そこで作業にあたっていたのである。  やがて彼らはビル内の一室から、女の子の泣き声が聞こえてくることに気が付いた。

 『ここには、もう誰もいないはずだが....』 少々薄気味悪く思いながらも、泣き声の聞こえてくる部屋のなかを覗いてみると、 そこには確かに、一人の幼い少女が佇んでいた。

 『どうして、こんな所に一人でいたんだい?』 『名前は?』  あれこれと尋ねてみるが、こちらの言葉が通じていないのか、全く要領を得ない。  また、少女が身にまとうドレスも、解体寸前のビルにあっては、およそ相応しからぬ出で立ちと思えた。

その後、警察に保護された少女は、そこでようやく身元が判明したのだった。  発見された時、赤い染み跡の残る白いドレスを身につけていたというその少女が、娘のキャロンであることに、 もはや疑う余地は無かった。 数日後、両親は無事、キャロンとの再会を果たした。

この奇怪な事件は、後にイギリス中で報道され、大きな反響を呼んだ。




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