インディゴ・ブルース


山田先生の初期作品集。
読めば解るが、当時のトレンディドラマ的空気と、
山田先生的な世間への切り込み口が混じりあっている作品。
絵柄は(時期的に当然だが)Bバージン初期のそれに近い。
先生が「Bバージン」でヒットを飛ばしたため、日の目を見ることになった作品たちである。


絶版本であるため、中古で入手するしかない。
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発表時期は「Bバージン」より前なのだけれど、
ジゴロ的恋愛や、既に終わってしまった恋に悩む登場人物たちや、
生物ネタ、カメに乗って漂うキャラなど、いわば「プロト・Bバージン」的なところも多く、
これらの作品を詰め合わせて、よりエンターテインメント的になったのが、
「Bバージン」だと解釈しても良いと思います。


以下の作品の順序は収録順。発表順ではないのですね。



★「真夜中の蒸気船」 コミックモーニング(1987年12月)

夕暮れの光景がとても綺麗な、カラーページ短編。
色使いが実に山田玲司「っぽい」作品だと思う。
このあたりは実際に見てみないとわからないと思うけど。
男女の精神と、その描写がBバージンに通じるものがあるけれどラストはちょっと切ない。
短めだけど、俺は好きな作品です。解りやすいしね。



★「霧の降る夜に」 コミックモーニング増刊(1988年4月)

既に去ってしまった青春。だけどまだ終わっていない恋心を切なく、
しかし山田タッチできっちりと描いた作品。
生物ネタが微妙に絡んでいるところがクスリとさせられる。
ヒデさんと住田秋の中間あたりにいるような主人公だと思います。
ラストについてはなんとも言えない。「方向」は明確になっているので、
これ以上描かなくても良いという人もいるだろうし、
だけど俺はもうちょっと、はっきりと結末まで描いてほしかったかなと思う作品だ。



★「COLD」 コミックモーニング(1987年3月)

「NG」の芥川百虎を思わせるジゴロが主人公。
そっちよりはまだ若いし、青臭いんだけど、その青臭さが、
百虎と違ってハッピーエンドに向かった理由のひとつだろうか。

話そのものはわかりやすいし面白い。画面全体にベタが多いので、
暗いというか黒いというか、そのへんが惜しいというか、ちょっとわかりにくいと思わせる。
でも、オチまできっちりついている良短編ですよ。



★「駿河台ブレイクダウン」 マンガ宝島(JICC) (1990年5月)

全体的にジゴロめいたキャラや、大人の恋愛がメインであったこれまでの作品とは違い、
幼馴染同士の純愛と恋愛、いわゆる王道青春が描かれている。
青春の境目の戸惑う若者たちの純愛がとても心地よい。

いや、多分、これ「だけ」だと少し物足りないと思うのだけれど、
この単行本に収録されている他のマンガと比べてかなり世界的に純粋というかウブなので、
一種の清涼剤となっているのである。良いマンガですよ。ほんと。



★「不器用なテレフォンフィッシュ」 ヤングサンデー (1988年9月)

遠距離恋愛をしている人ならふとしたときに感じるであろう孤独な瞬間が描かれている。
最後はきっちり、希望と前向きな姿勢を見せて終わるのだけれど。
Bバージンのような、カメに乗って漂う主人公にはニヤリとさせられます。
かなり短いマンガです。ページ的にも構成的にも。
ごめん、いまいちコメントしにくい。遠距離恋愛したことないし。



★「インディゴ・ブルース」 (1989年未発表に加筆)

カラーページで是非見たかった作品。
この単行本のタイトルにもなっているあたり、山田先生も気に入っている作品ではないだろうか。

話は……説明しにくい。とにかく山田玲司の世界、としか言い様がない作品のひとつ。
マンガというより絵本というか絵付きポエムというほうがしっくりくる。
合う人はぐっと来るだろうし、合わない人にはたぶん絶対合わない。好みが分かれそうな作品。
ラストページはとにかく良かった。ぐっと来た。

毎度「Bバージン」に例えて恐縮なのだが、
この作品のラストは、「Bバージン」のラストである「楽しいよ……」の名場面に通じる何かがあると思うのだ。
きっと、マダガスカルで秋とユイが抱き合ったときの空の青さも、この青さだったに違いないのだ。



★「スタンディング・ウェーブ」 (1989年未発表に加筆)

ストリッパー的な世界に近い。とにかく短い作品。
意味はわかるが共感はできない、というか「ふーん」で終わってしまった。
最後の最後に辛らつなコメントになってしまって恐縮だが、
正直なところ、マンガとしても、絵としても、話としてもいまいちだと思う。




以上。
レビューというか感想というか、ネタバレを恐れるあまりに変な文章になってしまって申し訳ない。
というかネタバレってのもしにくいんですね。
話の流れそのものを文章にすると、それほど面白くないことに気付いたので。

(もっともこれはほとんどどのマンガにも言えるけれど。マンガの流れを文章で説明するのって結構難しい、
よほどうまくやらないと面白くはできないよ)

とにかくその、さんざん触れていますが「Bバージン」的なところが結構見られました。
ここから解釈や流れを半歩だけエンターテインメントにしたのが「Bバージン」だと思います。俺はね。
「Bバージン」好きな人は一度読んでみるといいと思いますよ! はい。



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