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君としたい (4)
By 大貫ユエ |
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「おっはよ〜! 不二っ」
朝練が無かった翌日。 登校した英二は教室に入ると、自分に席に座って本を読んでいた不二のところまですっ飛んで行った。 「あ、おはよう。 英二」 開いた本の文字の羅列から視線を外して不二は顔を上げると、微笑みながら応える。 「あれ? 英二」 「ん?」 不二は英二の顔をマジマジ見ると、フフフッと笑う。 「な、何だよ?」 「英二、お仕置きは中止?」 「えっ!?」 「昨日、大石と一緒に帰ったんでしょ? ちゃんと仲直り出来たんだ?」 「別にケンカしてたワケじゃないって」 「そうだね。 やっぱり一日ももたなかったね」 「何が?」 「ホント、英二って大石に弱いんだから。 ま、英二と大石の場合はお互い様か」 「はい?」 「ま、とにかく英二が平和なら、僕も平和だしね」 英二を見てると本当に面白いんだよね……特に大石絡みだと。 悩んでる姿を見ると可哀想な気もするけどね。と、不二は心の内で呟いた。 「英二、ちゃんと隠さないとね」 不二は自分の首をチョンと指差して見せる。 「んあ? 隠すって何……ええっ? ついてる!?」 意味が解った英二は瞬時に顔を真っ赤にして、襟足から除いてる首筋を手で押さえた。 「冗談冗談。でも……」 「不二っ! からかうなよ〜」 不二はクスッと笑う。 「な、何だよ?」 「昨日、イケナイことしたんだ? 欲求不満も解消されたみたいだね」 「えっ? ええっ?」 「じゃなきゃ、そんなに慌てて隠そうとしないよね?」 「…………。」 「沈黙は肯定してるって思われるよ?」 英二は顔を真っ赤にしたまま無言で自分の席に着くと、 沈没。 「あんまりいじめちゃうと、大石に怒られるかな?」 英二の姿を目で追っていた不二は、小さく呟くと読みかけの本に視線を戻した。 机に突っ伏したままに英二は耳まで赤くなっていた。 欲求不満……。 当たってるかもしれない。 だって、二週間も大石の側にいられなかったし。 部活で姿見てたよ? でも、そういう問題じゃないじゃん。 あ。 まさかまさか、こんなの俺だけじゃないよなぁ……? 「俺が欲求不満になるかって?」 放課後の部活終了後。 二人並んで歩きながらコンビニに少し寄り道した後、唐突に隣を歩く恋人から「大石は欲求不満になる?」なんて、訊かれて大石は苦笑する。 眉を寄せて自分の顔を覗き込む英二の表情に、 「なるよ」 と、返事をすれば、質問をぶつけてきた本人はあからさまに安堵する。 「や、やっぱ……そだよね?」 「ああ、本当はさ」 大石は意味有り気に言葉を切ると立ち止まり、マジマジと英二を見つめた。 「何? どしたの?」 二〜三歩前を歩いていた英二はつられて立ち止まると振り返り、首を傾げる。 「本当はね」 そんな英二の横に追い付いた、大石はフワリと微笑んで。 「俺的には毎日でも……って感じかな?」 「ま、毎日って!?」 「うん、だからさ。 本当は毎日でも英二としたい」 「うっ……」 爽やかな笑顔とセリフのギャップに、意味を理解した英二の顔がたちまち赤くなる。 「ま、さすがにそんなことしたら英二が大変だからな」 街中で、二人が立ち止まってるのは往来で。 「お、大石……」 「勿論、英二のことが好きだからなんだけどね。って、解ってるよな?」 「う〜っ」 英二は咄嗟に周囲を見回して、至近距離に誰もいないことを確認する。 「今回のことで、増々そう思った」 「はにゃ〜〜」 ダメだ……。 そんな顔して言わないでよ。 英二は大石と目を合わせると、いきなり手を伸ばしてデコピンをした。 「英二?」 ビックリした大石に、 「もう、煽るなってば!」 こんな街中で。 やっとの思いでそれだけ言って、クルリと大石に背を向けた英二はスタスタと歩き出す。 後ろからでも耳が赤くなってるのが見える。きっと顔は真っ赤になってる筈。 大石はそんな後ろ姿を愛おしそうに見つめると、英二の後を追った。 「英二、ウチに来る?」 「今日は行かない」 「ウチ、今夜遅くまで誰もいないんだけど……」 「えっ? マジ?」
END
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