|
熱中性3(裏)
By 大貫ユエ |
|
気付いてるの?
秀、解ってないでしょ? なんて表情で俺のこと見てるの? ズルイズルイズルイ。 俺としてる時の秀の表情。 カッコ良いクセに、色っぽい。 中学生がそんな顔して良いのかよ? その瞳に見つめられると理性とか羞恥とか瞬殺されちゃうんだってば。 「英二」 何て少し掠れ気味呼ぶ声は、文句無しに脳味噌直撃。 「今日は我慢出来そうにないっ!」 秀の部屋に泊まり込んで夏休みの宿題をやっつけ始めてから二日目。 静まり返った室内でペンを走らせる音や、テキストを捲る音しかしなかったことにちょっとイライラしてた俺はプリントの上にシャーペンを転がした。 「我慢って、何の我慢?」 秀が驚いたようにシャーペンを持つ手を止めてテキストから視線を外し、顔を上げる。 なのでなので、ここは一つこの表情で。 俺が上目遣いで見ながらお願いごとをすると、秀は苦笑したりしながらも頷いてくれる。 その確率は100%。 ごめんね、秀。我が儘大王で。でも、昨夜の仕打ちは無いんじゃないの? 俺、待ってたんだよね〜。 「……だから、我慢出来ないの!」 なのに、秀ってばさ。 「我慢出来ないって、何が? 部屋の中が暑いのか?」 お鈍……。 こんなに快適な室内の何処に不満があるっていうんかな? 「違う」 首を横に振った。 「じゃ、何? 喉が渇いたとか?」 「違う」 「お腹空いたとか?」 「違う」 何でわかんないんだよ!? ってか、これって思いっきりお子さま扱いじゃないの? 「眠いのか?」 「ちーがーいーまーすー!」 お陰さまで昨夜はグッスリ寝たので睡眠不足とは無縁だよっ。 秀は苦笑しながら、ちょっと考え込んでいた。 「で? 何が我慢出来ないのかな?」 と、思ったら直球勝負で来たよ。 俺の答えを待ちながら、ぬるくて薄まっているアイスコーヒーの入ってるグラスを口元に運ぶ秀を見て、タイミングを図って俺も直球勝負。 「セックスしたい!!」 「っ!!」 あ、やっぱりね。秀は盛大にコーヒーを吹き出してしまった。 「汚いにゃ〜」 サッと周りを見て発見したティッシュボックスを秀に手渡してやりながら、その反応に満足。 けれど。 秀ってば、まき散らしてしまったコーヒーを拭き取りながら首を横に振った。 「英二くんは、ここに何をしにきたんだっけ?」 あらら。やっぱり、そう来るか。 「宿題」 「なら宿題を終らせないとな」 「と、セックス」 「英二……」 「だって、だって、昨夜は真面目にやったよ?」 「それが普通だって」 「秀ってば力尽きて寝ちった俺を、ご丁寧にも朝まで布団に寝かせておいてくれたよね?」 「良く眠ってたからな」 昨夜、交代で風呂に入って先に部屋に戻って来た。入れ替わるように風呂に向かった秀が部屋 に戻って来るのを指折り数えて数えて……気付いたら朝だった。 しかも! 別々の布団にいた! 「襲ってくれるかと思ってたのに」 「……英二」 「ね? だからしよ?」 困ったように苦笑して即答出来ないらしく、しばし考えてからの答えがこれか? 「夜じゃ、ダメ?」 「今が良い。次はいつできるかわかんないじゃん?」 「宿題、まだ残ってるだろ?」 「だって、夜は昨日みたいになるだろうから」 だから、今のウチだよ。 ね? 俺は声に出して言わないけど思ってること、解ってるでしょ? 「宿題をやる気は有るんだ?」 「有るよ〜。だって、秀に付き合って貰ってるし」 あ、葛藤し始めたかな? うん、その顔は絶対にそうだ。 「それに……今なら誰もいないじゃん」 秀の家族は出かけてしまっていた。おじさんは仕事で、おばさんと妹はたぶんショッピングか何か。夕方には戻るって言ってた。 今がチャンスじゃない? 視線で訴えかける。ねえ、解るよね? 「あっ……しゅ…ぅ……」 何度抱き合ってもこの時はどうしても、慣れない。秀が俺の内に入って来る瞬間。当たり前だけど、指で慣らされても入って来るものの質量感が違い過ぎる。 ゆっくり息を吐いてそれをやり過ごしながら衝撃に閉じてしまった瞼を開くと、心配そうに俺を見てる目に気付く。 「キツイ?」 髪を撫でられて、「大丈夫」と掠れた声で答えた。 望んだのは自分だ。誘ったのは自分だ。 「ね……動いても、へいきだよ?」 「ああ……でも、もうちょっとこのまま」 「……なんで?」 「ちょっとでも長く英二の中にいたいから」 「ばっ……ばかぁ……」 恥ずかしいコト真顔で言うなってば。 それに、このままでいられるのは俺だってツライんだよ? 「しゅう……動いてってばぁ……」 だって、受け入れて得られる快感を知ってしまったから。 それでも秀は動こうとしない。 何で? 焦らされてる? あんまりそうされると、羞恥とか何処かに放り投げちゃうよ。 「しゅうってば……お願いだから……」 秀が俺のコト、見てる。 普段の穏やかな眼差しでは無く、凄く凄く熱を帯びた瞳で。 「そんな目でみられたらさ……」 言いながら、秀がようやく動きだす。 ゆっくりと腰を揺らされて、ザワザワと身体中に波が走る。自分でも恥ずかしいくらいウットリと秀を見ているに違いない。 「手加減出来なくなるよ?」 俺は今、どんな顔して秀を見ているんだろう? 「………い…」 浅い呼吸を繰り返しながらも、俺は自分の考えてる事を大好きな人の耳元で囁いた。 「じゃあ、遠慮無く」 すぐに強く抱きしめられて、俺は両足を腰に絡ませて先をねだった。 俺としてる時の秀の表情。 カッコ良いクセに、色っぽい。 中学生がそんな顔して良いのかよ? その瞳に見つめられると理性とか羞恥とか瞬殺されちゃうんだってば。 「英二」 何て少し掠れ気味呼ぶ声は、文句無しに脳味噌直撃。 なのになのに「手加減出来なくなるよ?」って、ナンデスカ? そんなこと言うなら、俺の気持ち知ってて? 「手加減なんか必要無い」 そして、俺は大好きな人に笑顔を向けた。
END
|