オープニング    By 大貫ユエ


 11月28日0時。
 いきなりケータイが鳴った。
 メール用の短い着メロだった。

「こーんな時間に誰だよ」

 小さい声で言いながら、送信主を確かめるべくベッドを降りて、机の上で充電中のケータイを手にした。
 受信フォルダを開いて見れば、目に飛び込んで来た名前は、


『大石秀一郎』


「んー? こんな時間に珍しいな。何だろ?」
 大石がこんな時間に連絡して来るなんて、今まで無かったぞー。
 メール受信画面を開く。ちょーっとばかり、緊張しちゃってるのは気のせいで済ます。
 そんでもって、何が書き込まれていたかっつーと……。


『誕生日おめでとう! 寝てたかな?こんな時間にゴメン。でも、伝えたくなって……」


 だった。
 うわぁ、俺の誕生日に日付が変わった途端に、来るなんて!
 しかも、何か遠慮がちでさ、大石らしい。
 嬉しいと思った。
 明日の朝練ン時に顔合わせるから、その時に直接言ってくれるって解ってるけど、凄く嬉しかった。

 大石のそんなトコも好き。

「へっ?」

 俺は自分で思ったことの意味に気づき、間抜けな声を上げてしまった。
 無意識だったから、
 思い切り、大きな声。だから、寝てる兄貴を起こしちったんじゃないかって、慌てて様子を伺うと兄貴は爆睡してて、俺はホッとした。

 んでもって、自分の思考回路を検証してみたりする。
 俺、『そんなとこも』って、思った。『そんなとこが』じゃなかった。
 マジで、ナチュラルに『も』だった。

 って、ことはさ……。
 って、ことはさ……。

 あ、でも……ペアを組むことになったきっかけはどうであれ(いや、どうでも良いんじゃ無いけどさ)、好きなヤツじゃなかったら、続かないよな? とは、最近思ってはいたんだけどさぁ……。
 俺の性格じゃね。

 でもさ……何か、何か、ドキドキして来ちゃったよー。
 これって、何で?


「…………」


 ケータイ手にしたまま、少し考えてみてもハッキリしない。
「う〜っ……止めた」
 今考えて、ハッキリしないなら、解るまで放置しちゃおっと。
 もしかすっと、明日の朝さ……大石の顔見れば解るかもしれないし。
 俺はとりあえず、有り難さんメールを大石に送信した。

 明日の朝、大石に会えることが、楽しみになった……。



END   




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