あるあさ、れんれんがさんぽをしていると
むこうから天使がとことこ歩いてきて
れんれんの目のまえで
ぱったりところんだ。
「うえーん、いたいよー」
れんれんはちょっととまどいながらも
ないている天使をおこして
きずぐちをあらって
ほこりをはらってあげた。
(はねがあるんだから
飛んでいけばよかったんじゃないの?
とは、とりあえずいわなかった。
なきやんだ天使は
つえをとりだしてひとふり。
すると6本のびんがあらわれた。
びんにはそれぞれちがった色のふたと
数字がついていた。
「たすけてくれてありがとう。
おれいにこのびんをあげます。
これからおひるのあと、1時から6時までのあいだ
1時間ごとに、空の下で
このびんのふたをじゅんばんにあけてください。
なにかきっといいことがあります。では」
それだけいうと、
天使はぴゅーっと飛びさっていった。
(やっぱり飛べるんじゃないの?とか
ふたをあけるとどうなるの?とか、
たずねるまえに見えなくなってしまった)
1時になった。
さいしょのびんをあける時間になった。
なにが、おこる?
れんれんは、よくはれた青い空の下、
あかるい日ざしのなかで、
1時のびんのきいろいふたをゆっくりとあけてみた。
すると・・・
ころんと音をたてて、
きらきらきいろにかがやくドロップがひとつ
びんのなかに飛びこんできた。
いったいどこから?
れんれんがまわりをきょろきょろみまわしてから
ぱっと上をみると、
おひさまのてらしている方向からつぎつぎに、
おひさまとおなじ色のドロップがおちてきて
ころん、ころんとびんのなかにあつまっていった。
ひとつたべてみると、
レモンみたいにきゅーんとすっぱくて
はちみつみたいにじわっとあまくて
きっとこれは、
おひさまの光をいっぱいあびてそだった
南の国のくだものの味。
1時の日ざしからとれたドロップ。
れんれん、にっこり。
天使のくれた6本のびんは
今日いちにちの空もようをあまいおやつにしてしまう
ふしぎなびん、だったんだ。
もどる すすむ
2時になった。
あいかわらず青い空には
ふんわり雲がうかんでいる。
れんれんは、
2時のびんの白いふたをあけてみた。
びんのなかには
ぼうが2本入っていた。
ふたをあけたとたん
ぼうがひゅっと飛びだして、
空たかくへあがっていった。
そして、うかんでいる白いくもを
くるくるとからめとりはじめた。
くもはわたがしになって、
れんれんの手におりてきた。
たべてみるとほんのりつめたくて、ふわふわのこなゆきみたいにすーっととけて
うっすらあまい味がした。
2時の白いくもからとれたわたがし。
れんれん、ふんわり。
3時になった。
そういえば、なんだか空もようがかわってきた。
はいいろの雨ぐもが、じわじわもくもくやってきて、
あたりがくらくなりはじめた。
れんれんは3時のびんの
とうめいなふたをあけてみた。
ぽつん!
そのときとうとう空から
ひとつぶの雨のしずくがおちてきた。
そしてそのさいしょのひとしずくは、
れんれんがもっている
3時のびんのなかにぽとんとおちた。
それからつづけてしずくが2つ3つ4つ、
ぽつぽつびんのなかにおちてきた。
れんれんはあつまったしずくを
そっとなめてみた。
きれいなわき水みたいに
さらりとのどをとおりぬけて、
あとにはさわやかな、
花のみつみたいにほのかなあまさがのこった。
3時の雨のしずくからとれたシロップ。
れんれん、ほんのり。
雨はだんだんとつよくなり、
それからしばらくのあいだふりつづいた。
れんれんもひとまずあまやどり。
4時になった。
雨はもうすっかりよわくなって、
すこしかたむきかけた
お日さまの光がまたさしてきた。
れんれんはまたおもてにでて、
4時のびんのマーブルもようの
ふたをあけてみた。
そのとき、ちょうど雨あがりの空に
大きなにじがかかったところだった。
うわぁっ。
れんれんもそのきれいなにじをみあげた。
7色のにじのおびの、いちばんたかくてふといところから
ねもとのひくくてほそいところへだんだんと目をうつしていくと
いちばんはしのにじのあしもとは、なんとれんれんがもっている、
4時のびんのなかへとつづいている。
にじがきえたあと、
びんのなかには7つのにじいろにきらめく
すきとおったゼリーがのこった。
ぷるん、とすくってたべてみると
つぎつぎに、7つの色の
いろいろなくだものの味がして、めがさめるよう。
赤いいちご、もも色のもも、
だいだい色のみかん、
きいろのグレープフルーツ、
きみどり色のメロン、青いブルーベリー、むらさき色のぶどう。
4時のにじからとれたゼリー。
れんれん、ぱっちり。
5時になった。
もうあたりは夕ぐれ。
おひさまももうすぐ
西のかなたにしずんでしまうころ。
れんれんは、5時のびんの
こん色のふたをあけてみた。
空の色がだんだんと、
よるの色にふかくふかくそまってゆく。
するとれんれんが空にかざしていたびんが、
とぷん、と音をたてた。
びんのなかにはいつのまにか
夕ぐれの空とおなじ色の
こいこん色ののみものがはいっていた。
はなを近づけるとほんわかあまいかおり。
ひとくち口にいれたら、したがとろんととろけそう。
これは、赤やむらさきのくだものが、
じっくりねむってゆめをみて、おいしいお酒になった味。
5時の夕ぐれ空からとれたリキュール。
れんれん、うっとり。
6時になった。
あたりはもうすっかりくらやみ。
星がひとつ、またひとつ、
よるの空にかがやきはじめた。
れんれんは、これでさいごの6時のびんの、
うすいぎん色のふたをあけてみた。
すると、空の星がつぎつぎに、
ながれ星になって、ひゅーっ、ひゅーっ、と
光りながらおちてきた。
ひとつがれんれんのもっている、
6時のびんのなかへ
いきおいよくおちてきて、
こつん、と音をたてた。
星はびんのなかにはいると、小さなこんぺいとうにすがたをかえて、
ぽぉっ、とまだよわく光っていた。
あっちにも、こっちにも、星はどんどんおちてくる。
れんれんははしりまわってこんぺいとうをいっぱいあつめた。
こつんこつん、びんのなかにおちる音が
たのしくて、れんれんはくくっとちいさくわらった。
びんがいっぱいになると、
れんれんはふたをきっちりしめた。
そしてまだほんのりと、
ほたるみたいにひかっている
こんぺいとうのびんを
だいじにもってかえることにした。
6時のよるの空からとれた、星のこんぺいとう、
あしたみんなにわけてあげようとおもってね。
・・・おしまい・・・
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