24.仮面の告白


俺 汚れたと言うな! 磨かれたと言おう!
私 落ちてるって言うな! 上っていると言おう!
俺 せつねーなぁ
私 風俗嬢がそんな風に言うんだって前に聞いたんだよね。
俺 そのときは、別になんとも思わなかったけどな。
私 自分が業界に足を踏み入れてみると、その言葉の重みがリアルに感じられるね。

俺 こっち側に来て初めてわかるものってあるよな。
私 外からは見えない境界線が、業界に入ってみるとはっきり見えるもんね。
俺 なんか水中から水面を見てるみたいだよ。
私 なんなんだろうね。この劣等感は。
俺 こういう仕事をバカにする人がいるってのをわかりすぎてるからな。俺にしても。
私 そんなことに価値を置く人間はくだらない人間だってわかっててもね。
俺 でもなんかムカツクってーか情けない。

俺 なんかすげーころがり落ちてないか? 俺。
私 多分ハタから見るとそんなことないように見えるんだろうけどね。
俺 もしかしたらエロを仕事にした人間しかわかんない感情だなこれ。
私 すごいカルチャーショックだよね。
俺 誰にでも言える商売じゃないってのが、こんな恐怖と悲しさを覚えさせるものだとはな。
私 金のために楽な道選ぶような人間って思われるんじゃないかって
俺 すげー思うよ。いや、金のためだってのは間違いないんだけどな。楽ではないぞ。
私 しかも自分の場合金になるかどうかもわかんないもんね。
俺 でも、この仕事で金になんなかったら、すげー自己嫌悪おちいるぞ。
私 すでにそろそろ、その意味での自己嫌悪にも陥り始めてるもんね。

俺 こっから這い上がれるのかね。俺。
私 まあ、普通の人なら無理なとこまできてるだろうね。
俺 自分なんか普通以下だぞ。どう考えても。
私 なんでもできるけどね。
俺 そう、なんでもできるけど全部中途半端。
私 全てにおいて気が回らないしね。
俺 小さいミス、忘れ、すげー多いからな。
私 一緒に仕事したくないタイプだよねぇ・・・
俺 なんでわかってて直らないね。
私 甘いからでしょ。
俺 だめじゃん。

俺 でもあっという間だったよなぁここまで。
私 選択の余地のないままにどうにもならないとこに来てしまったね。
俺 どっからだろうな。間違ったのは
私 あの先物は大きなきっかけだったよね。
俺 あの時もうっかりしているうちに選択の余地がないところで初めてしまったもんな
私 でも断ることもできたんじゃないのかな。今から思えば
俺 数万円損しても断るつもりだったんだよ。
私 ところが数万円じゃすまなくなってしまって・・・
俺 あれは一つのきっかけだったなぁ

俺 どこまで落ちて行くんだろうな。
私 さぁ? でも、ここ数ヶ月で一気に落ちきったからねぇ
俺 数ヶ月で這い上がれるかもしんないな。
私 それは無理でしょ。
俺 もーやだ。マジに。普通の生活がしたい!

俺 とりあえず、金を使うことは全部断っておこう。
私 オフとかもう行けないねぇ。
俺 申し訳無いけどな。もうダメダメだ。
私 たまにはみんなウチに来てね。遊びに。
俺 ウチで飲む分にはお金かかんないからな。
私 びんぼくさ・・・
俺 ゴキブリいるしな。
私 この前うっかり踏んじゃったし。
俺 そんなこと言ってたらだれも来ないだろ。いよいよ。