林檎追加ファイル#1

林檎を食った巨人に、リングジャッジ、ボディブロー?

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ZDNet News Page One特集記事「米司法省 vs.Microsoft」 ;「U.S. vs.Microsoft(反トラスト訴訟)

毎日Daily Mail Computing 10/30バックナンバー「マイクロソフトvs米司法省」 解説 

司法省寄りの解説 Microsoft裁判、今回はいよいよOS独占支配の維持が問題に

Yahoo!Japanトピックス AOLがNetscapeを買収 Yahoo!Japanトピックスマイクロソフト独禁訴訟


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1997年10月24日金曜日作成 MS一部敗訴仮決定司法省独禁法で提訴 1998年12月13日日曜日更新

 

またまたすごいニュースが飛び込んできた。

米司法省が20日、米マイクロソフトを「ウインドウズの独占を不法に利用し、独占を守り、さらに拡大しようとし、消費者の選択を奪った」と提訴したというのである。

IEをWindows95とセットにして販売しているMSのいわゆるバンドル商行為につき、OSのライセンス供与時に、他のソフトウェアを強制的に販売しないことに同意した、'95年の同意審決に違反しているとして司法省独占禁止局が、ワシントンDCの連邦地方裁判所対し訴えたもの。

毎日Daily Mail Computing10月21日配信によれば

要求内容は、▽同意審決に対する違反(IEのバンドル)をやめさせること▽ウインドウズ95のユーザーに他のブラウザーを利用出来ることを通知し、IEのアイコンを簡単に取り除く方法を提供する▽有罪の場合は違反を続けた期間に1日100万ドルの罰金の支払い▽ライセンス契約時の、当局の捜査の障害となる秘密遵守条件の緩和、となっている。

応答までに11日間の猶予があるMS側は猛然とWebサイトも利用して反論を開始、IEは別個のソフトウェアではなく、OSの一部でありその機能を改良拡大して行くために必要なものとしてバンドルしていると、さもありなんの論点を強調している。

というのは、当然の如く有料のNetscapeに対し、無償IE配布にはじまる周到なバンドル構想はMSのお家芸ともいうべく慣例になっていたもので何も今に始まったことではないからだ。こうした無償配布をすること自身、将来、競争相手をノックアウトして独占体制を敷こうとする深慮遠謀に基く不当なダンピング行為と認められないでもない。

しかし、だとすると、何故今の今まで米司法省は目こぼしをしてきたのか?

確かに今もデスクトップに居残る邪魔物MSNのアイコンとともに、こういう点が、お上品なNC連合には持ち合わせていないMSの(独禁法すれすれの)狡猾さを象徴しているのは事実である。

I.EにはそれまでのNetscapeユーザーの貴重なリソースであるブックマークを、乗り換えやすいように、そっくり「お気に入りメニュー」にインポートして取り込む仕掛けまでつけられている。さらに、I.Eのメニューボタンには初心者を巧みにMSサイトに連れ込む「ホーム」ボタンがデフォルトで付けられているのだ!

ほぼ一年前にWindows95購入した私の体験では、OSが古いうえ、ショップブランドだったからかもしれないがIE2.0はOSにはMSNアイコンのようにはデフォルトバンドルされず、私が別途に購入したWord Internet Packageに入っていたもので、インストールまたは削除はIEだろうとNetscapeだろうとユーザーの自由であった。日本のいわゆる大手DOS/Vメーカー各社の販売方法が現在どうなっているのか、不勉強ながら私は未確認である。

しかし、司法省の要求する「ウインドウズ95のユーザーに他のブラウザーを利用出来ることを通知し、IEのアイコンを簡単に取り除く方法を提供する」というところを見ると、おそらくこの10月からのIE4.0正式版リリースと同時に現行販売されているのアメリカWinオールインワンマシンにはプレインストールOSに伴ない、既にIEがMSN同様アイコンと共に入っており、もはや簡単にユーザーには削除できなくなっているという意味だろう。(おそらくコントロールパネルの「アプリの追加と削除」で実行できるとは思うが)

「他のブラウザーを利用出来ることを通知し」という点は正論だが、オールインマシンを買うということは、最初からインターネットを含めてカスタマイズできる自由をある程度放棄することを意味するのだから、逆に、それくらいの知識はユーザーの側でも予め勉強しておいて購入するべきだとも思う。

もちろん、現行ではどのWinマシンを買おうが、別ブラウザ乗り換えの通知も無く、既にOS内にIEが簡単には削除し難くデフォルトバンドルされているとするならば、司法省のOS、ブラウザ分離の論点は正しくこの限りではない。

そもそも、ひとつのブラウザを、PC雑誌付録CD-ROMの形で精力的に方々に無償配布したり「インターネットスターターキット」と称した「ソフト」を独立した製品として有料で販売する一方で、危ないと見ると「IEは別個のソフトウェアではなく、OSの一部でありその機能を改良拡大して行くために必要なもの」というのはかなり矛盾した言い訳ではないのか。

MSがこの要求を受け入れ、私が購入した時点には存在していたようなユーザーカスタマイズの権利を保証するのは技術的にはそう難しいことではあるまい。

OSとブラウザを明確に分離しユーザーがIEを自由に削除カスタマイズ出来るようになったとすれば、世界に無償で配布している商品(?)について、今後何らかの意味で独禁法の網が被せられることはなくなるだろう。

しかし、MacにデフォルトブラウザとしてIEをバンドルするというMSとの提携合意発表から優に2月も経っている、何故今ごろ米司法省はこんなことを言い出すのか。Windowsバンドルならだめで、Macバンドルは見逃すのか?

提携発表と即時に――あるいはそれ以前のCairo計画時点にでも――警告するべきではないか。ずっと続けられてきた慣例、構想の進展を今の今迄黙って見ていて、いきなり冷や水を浴びせ掛けるやり方は、贔屓目に見ても法を与るもののやるべき行為ではない。

考えられるのは、IEがCairo構想の実現によって、完全にWindowsやMacの事実上すべてのPC、OSに吸収統合され一体化しまってからでは――MSが現時点においてすらIEをOSとは別個の製品とは見なしていない反論をすることから見ても――もはや遅すぎるという判断からだとも言われているように、一種のMSに対する牽制行為だということである。

今回の提訴については、この10月7日のSunによるJava提訴に続き、今度はリングサイドにいて静観していた米司法省(ジャッジ)がやおら伝家の宝刀、独禁法を振りかざす素振りを見せ、林檎を食ったMSという巨人にボディブローを食らわしてきたとも言える。

勘ぐれば、いわゆる司法省まで捲き込んだNCJava連合の巻き返しの一環とも受け止められるが、とにかくこれら10月に入ってからの一連のめまぐるしい動きは、世界ネットワーク制覇を狙ったIEとJavaとの一騎打ちを震源としていることは確かであろう。

12月11日このアメリカ司法省による、MSの抱き合わせ販売提訴に対し、ワシントン連邦地裁トーマス・ジャクソン地裁判事は来年5月末まで抱き合わせ販売を禁止する仮決定を下した。しかし4件のうち残る2件に当たる'95年のMSと司法省の同意審決違反罰金として1日あたり100万ドルを支払うこと及びMSとPCメーカーのライセンス契約公開を要求する件については退けた。

毎日Daily Mail Computing12月12日配信によればワシントン連邦地裁のトーマス・ジャクソン判事の決定要旨は

◇提出された限りの記録では、マイクロソフトが同意審決に違反しているという「明らかに間違いない証拠」があると結論付けることは出来ない。

◇司法省が違反を立証するに十分な証明をしていないとしても、それは必ずしもマイクロソフト側の主張が正しいことは意味しない。

◇ウインドウズ95とIEは現在でも別々の製品として販売されており、これを分離することで、マイクロソフトには大きな損害はない。

◇違反状態がなくなるまで1日100万ドルの罰金を科すという訴えおよび、ライセンス契約時の秘密保持規定が政府の調査を妨害しているので無効とするべきという訴えは退ける。

◇コンピューターやサイバースペースの専門家であるローレンス・レッシング法学教授(ハーバード大学客員教授)を特別法定調査官に任命。98年5月31日までに事実関係を調査して報告書を提出させ、5月31日に最終決定を行う。

◇それまでの期間、インターネット・エクスプローラ(IE)の添付を、パソコンメーカーに対するOSのウインドウズ95をライセンスする条件とすることを禁止する。

私が、既に上で

MSがこの要求を受け入れ、私が購入した時点には存在していたようなユーザーカスタマイズの権利を保証するのは技術的にはそう難しいことではあるまい。

と記していた通り、ある程度予期できたことではあるが、**年掛るとかいう大方の予想をはずれて意外と決定が下されるのが早かったという感想だ。

「マイクロソフトが(1995年の)同意審決に違反している、という司法省の訴えが否定され、満足している」 「罰金を科さなかったことと、さらなる調査が必要という我々の主張が認められたことに満足している」と一部にせよ敗訴したMSが言うくらいだから、大喜びのSun、Netscape側はもちろん、ラルフ・ネーダー等消費者運動家からMSに対して甘いと言われる「情報スーパーハイウェイ構想」の立役者クリントン政権の面子もこれで立ち、八方めでたしということになる。

 

同じく私が、上に

OSとブラウザを明確に分離しユーザーがIEを自由に削除カスタマイズ出来るようになったとすれば、世界に無償で配布している商品(?)について、今後何らかの意味で独禁法の網が被せられることはなくなるだろう。

と記していたことだが、MSもこの仮決定を受け

「マイクロソフトは、ウインドウズ95に、インターネット・エクスプローラ3.0、4.0をオプションとしてOEM供給する限り、パソコンメーカーに引き続きIEを含んだウインドウズ95の提供を続けることが出来る」として、メーカーに強制しなければ、従来通りウインドウズ95とセットにできる、という判断を示した。

毎日Daily Mail Computing12月12日配信(ボールド引用者)

また、12月15日、MSはこの仮決定を不服として、ワシントンの連邦高裁に控訴、、高裁の決定が出るまでは仮決定に従うと述べる一方、閲覧ソフト機能を統合させたWindows98の開発は予定通り進めることをつけくわえたが、

12月16日には、開発が遅れていた期待のWindows98が第3 βテストに入ったとのMS報道が出た。

これはもちろん、今回の一部敗訴仮決定を受け、Windows98最大の売りであるIEとの統合環境実現についての不安を和らげるためとも見られる。

MSは予定通り1998年第2四半期に発売するとしているが、98の特徴を説明する記述からは、従来あったこの統合部分についてはなくなっている点が気になる。おそらくは現在の訴訟に関わる問題だけに記述は確定出来ないものの、ユーザーのオプションに任せられる販売形式を取らざるをえないのではないかと思われる。

この点に関しより詳しく「MSが「3つのWin 95選択肢」提示。同時に仮命令不服で控訴 」は、ZDNet News Page Oneで。

さらに今度は、このMSの態度に業を煮やした米司法省が12月17日、猶予を外し逆襲、即刻一日100万ドルの罰金支払いを求めてマイクロソフトを提訴。リングジャッジのボディブローはいよいよ本気で巨人の肥え太った腹にじわじわと効いてくるか?と言うところまで来た。

 

そこへ12月16日今度は、何と、Intelが宿敵Sunと特許に関する相互ライセンス契約を結び、将来のハイエンドサーバ市場を狙った自社秘蔵のIA-64 チップMerced用にUNIX Solarisを移植すると発表したのだ!!

DECのAlphaテクノロジー吸収のときも驚いたが、これはそんなものじゃない?!Intelは結局、Windows NTとUNIXSolarisとに二股を掛けて、社運を賭けたこの2社の死闘を高みの見物としゃれ込み、勝った側に就くという戦略か?

私が、10月のDEC提携のとき「林檎・・・」で記した

こうなると、いわゆるサーバ向け64bit市場は、WintelDEC、HP連合対UnixJava Sunmicro,MIPS(?),というかなり鮮明な色分けになってきたのではないか。

というMS vs.SMの構図観測は何だったのか?

とはいわないまでも、純益が少なく、OSに振り回される不安定なハードメーカーとしては、どちらに転んでも損にはならないよう今から掛けておく一種の保険提携とも考えられる。何と言ってもNTとSoralisとは、結局、ハイエンドサーバー市場を、個人SOHOと企業組織とで巧く住み分けるような共生へと落ち着くかもしれないのである。

相互ライセンス契約については、共同開発に伴ない生ずる特許技術の知的所有権侵害など、法的問題が相互に発生するリスクを事前に防止するためと見られている。

さらに、'98年1月6日、DECがアメリカのシークエント・コンピューター・システムズと共同で、64bitUNIXの開発を発表。1月9日付け毎日Daily Mail Computingによると、

64ビットOSであるDECのデジタルUNIXをベースにして、インテルが開発中の64ビットCPU「IA-64」上で稼動することを前提に、ウインドウズNTと高い互換性を持たせたOSとなる。
 新OSの開発発表に合わせDECは「今後、デジタルUNIXの名称を代えていくことになる」としており、今後新OSがDECの主力のOSになっていく。新OSはDECの「デジタルUNIX」とシークエントの32ビットOS「DYNIX/ptx」の中核技術を統合したもので、従来のデジタルUNIXなどとの完全互換性や、DECのAlphaチップ上での動作などを保証している。

ものだという。(ボールド引用者)

これは、32bitではなく64bitUNIXにおいてこそ勝利があるとしていたDECの意志の実現であると共に、'95年にDECが提携していたタンデム社、MS WindowsNTとのクラスタリング技術における戦略とも符合するものだ。

そしてここに、’98年1月26日、MSから、UNIX上で優勢なCORBACommon Object Request Broker Architecture)の対抗馬 としてのCOMをライセンスしたという、SMと並ぶサーバーのシリコン・グラフィックス(SGI)とアイオナ(Iona)社の動きが対応する。

そして、'97年8月末このタンデムと、翌'98年1月26日DECとそれぞれ合併吸収の動きに出たのがコンパックであった。

そうすると、ハイエンドサーバ64bitOS市場は、Sun、Intel、DEC、MSの思惑が入り乱れ、Unix Soralis、Dejital UnixとWindowsNTとの三つ巴で争われる方向に動き出してきたようである。

'98年4月9日、今度は富士通がIntelに対応したSunのUnix Solarisに関して技術提携、サーバー販売も協力すると発表。

同日付け毎日Daily Mail Computingによれば、

富士通と米サン、インテル対応Solaris共同開発

 富士通と米サン・マイクロシステムズは9日、富士通本社で会見を開き、米サンのUNIX-OS「Solaris」の開発で技術提携を行うとともに、国内での米インテル製CPUを搭載したサーバーの国内及びアジア・太平洋地域での販売で協力していくと発表した。Solarisは従来、米サンのCPU「SPARC」を搭載するサーバー向けのOSだが、インテルのCPU上でも動作するSolarisの開発を富士通、米サンで進めていく。

 提携に基づき、富士通はインテルの32ビットCPU「Deschutes」(開発コード名、0.25マイクロメートルプロセスで製造されるペンティアム2)にSolarisを搭載した新サーバーを今年後半にも発売する。新サーバーは、Solaris搭載サーバーのラインアップ「Sシリーズ」ではなく、NTサーバー・ネットウェアサーバーのラインアップである「GRANPOWER5000シリーズ」の中で展開していく考え。

 また両社はインテルが開発中の64ビットCPU「Merced」(開発コード名)に対応したSolarisの開発も共同で進めていく計画。サーバーにトラブルが起きた際にエラー部分の「切り分け修復」ができるなど、富士通の持つ独自のソフトウエア技術をインテル対応Solarisの中に盛り込んでいく予定。このため富士通は技術者を米サンに派遣する。

 会見の席上、日本サン・マイクロシステムズの本田敬吉会長はサーバー開発をスポーツ競技に例え、「Solarisは"SPARCリーグ"の中で育ってきたが、いよいよMercedリーグに参加することになる。世界選手権に乗り出す第一歩を踏み出した」と述べた。

 一方、国内でのSolaris搭載サーバーの最大のOEM先である富士通の前山淳次取締役は「Sシリーズの販売も従来通り続ける。ユーザーに対して提供する商品のラインアップが拡大した」と述べ、技術面よりも、販売、サポート面での展開に期待をうかがわせるコメントとなった。

 また前山取締役は、NTサーバーとUNIXサーバーの信頼性に関する議論について「過去の基幹システムでの実績から(UNIX-OSである)Solarisに一日の長がある。初年度は大きな売り上げにはならないと思うが、将来は(GP5000シリーズの中で)15%から20%をインテル対応Solarisサーバーが占めることになるだろう」などと述べた。

***

一方、同じく12月16日、漁夫の利を得たNetscapeは、このMSをめぐる裁判結果を巧く利用して行くつもりと公言、Navigator、Communicatorのプロモーションのため,「Freedom of Choice(選択の自由)」と題したキャンペーンを実施する計画を打ち出した。

いやみったらしくIEのアンインストールWebサイトまで設けて、乗り換えを迫る目論見だ。IE並みに、無償配布計画まで浮上している。

キャンペーンの一環としてNetscapeは,今週にも,自社や他社のWebサイトに「Customer Choice」ボタンを置いて,IEの削除とともにNavigatorのダウンロードが行えるようにする。Netscapeのセールスおよびマーケティング担当上級副社長,Mike Homer氏は,これは企業サイトにおける市場シェア獲得を狙った「Netscape Everywhere」プログラムの一部であると説明した。(12/17 ZDNET NEWS)

***

単なるコミュニケーターのダウンロードだけでなく、IEの代わりにコミュニケーターをデフォルトブラウザーに設定したり、IEをアンインストール(削除)する手順を説明しているのがミソ。ウインドウズ95/NT、マッキントッシュ用に、IE3.0、IE4.0のはずし方を解説しているほか、「お気に入り」や電子メールのアドレス帳のデータを入れ替えるソフトも紹介している。

 ネットスケープは多くのインターネットサイトに、自社のダウンロードページへのリンクボタンを掲載してもらうキャンペーンを行っているが、「カスタマー・チョイス」はそれを拡張したもの。これまでの「ネットスケープ・ナウ」ボタンに代わる「CHOOSE」が点滅するボタンも用意した。毎日Daily Mail Computing12月25日配信

「確かに今もデスクトップに居残る邪魔物MSNのアイコンとともに、こういう点が、お上品なNC連合には持ち合わせていないMSの(独禁法すれすれの)狡猾さを象徴しているのは事実である。」といえたのは過去のこと?

この点について、'98年1月6日のMacOS8.1マイナーアップグレードと共にアナウンスされたマックワールドエキスポでの新展開によると、今回AppleとMSとの提携によるデフォルトブラウザーとして搭載されるのはIE4.0ではなくて、IE3.01であり、同時にNetscape 4.04も添付されるという。

 MSが開発し、これまでβ版だったMac用IE4.0は、司法省との裁判で係争問題がこじれている状況も反映してか、Mac OS8.1への搭載には間に合わなかったようだ。同日発表した最終版IE4.0はMSサイトからダウンロード可能になっているとはいえ、Macユーザー市場はこのままだと当初予想とは違い、かなりNetscapeに水をあけられそうだ。

'98年1月12日、MSはWindows98のβ版出荷を発表。

'98年1月8日からアメリカで開催された家電業界の明日を占うCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)においても、それとほぼ同時の10日に、ケーブルTVのアメリカトップ、TCI網SetTopBox(STB)にWindows CEが搭載される見込みを明らかにした。STBというのはケーブルTVの端末受信部に当たるケースで、これにより将来アメリカの家庭で500万台以上がWindows CEにより将来のインターネットなど双方向多チャンネルマルチメディアデジタルコンテンツを享受することになるという。

これに対して、ライバルのSun Microも9日、同じくTCIがSunのPersonal JavaをSTBに採用、650万から1000万台に普及するはずと伝えたばかりだからまさにここでもMS vs.MSの熾烈な闘いが繰り広げられている。TCIとしては、Intelなどと同じくハード、OSの変動リスクを見越して、二股をかけて損はないという戦略のようだ。もしかしたらここでも、MSとSMは、仲良く住み分けをして行く道を選ぶのかもしれない。

さらに、CESでは、両会長共に自動車に搭載する小型移動PCを紹介、この市場でも争う構えだ。SMはもちろん、Javaベースの‘Network Car’、MSはWindowsCE2.0ベース;音声コマンド;無線通信可能の‘AutoPC’である。AutoPCはこの8日、さっそくクラリオンがそのプロトモデルを発表し、アメリカで6月に1300ドルで販売予定という。

このような家電業界展示ショーでの基調講演にまでSMのスコット・マクネリ会長とMSのビル・ゲイツ会長が現れ、互いに火花を散らすのが何ら不思議とは思われないという時代に我々は生きているのである。

また一方、日本でも'98年1月13日になって、ようやく動きが出てきた。公正取引委員会が、日本マイクロソフトに対し、独占禁止法違反の容疑で立ち入り調査に乗り出したのである。Word、Excelの販売に際し、一太郎やロータスI・2・3など他社のソフトと組み合わせないようにPCメーカーに要求、もしくは自由な組み合わせ販売を故意に妨害した事による「排他条件付き取引」の容疑。

公取委はNECや富士通などPCメーカーにも立ち入り調査を行い、MS社との契約書などの資料を押収した。アメリカでは中心となったIEの抱き合わせ販売方法については、各社契約がある本国 MSとの問題としてそちらに委ねる方針だ。

これについては、’98年11月20日、公取委は以上の容疑が事実と認定、独禁法第19条(不公正な取引方法の禁止)の第10項(抱き合わせ販売)違反による抱き合わせ排除勧告を行い、日本マイクロソフトは容疑事実を認めないながら、事実上争わない態度を表明することでこれを受け入れる方針である。 I.Eのネットスケープに絡む排他条件取引違反容疑についてはPCメーカーやISPに対する「マイクロソフトの法に違反するおそれのある行為があった」と指摘するだけの警告に止まった。毎日Daily Mail Computing98/11/20公取委、マイクロソフトに「抱き合わせ」排除勧告 によれば、富士通、NECの場合、圧力は次のように掛けられていた。

ジャストシステムのワープロソフト「一太郎」が市場シェア1位だった94年当時の状況を指摘。富士通が95年1月、エクセルと一太郎を合わせて搭載したパソコンの発売を希望し、マイクロソフトにエクセルのみをバンドル出荷する契約を要請した際、マイクロソフトは要請を拒絶し、ワードを合わせてパソコンに搭載して出荷する契約を受け入れさせたという。

 またNECについても、同社がエクセル、ワードを分離して本体バンドルする権利が認められないと考えたことからプレインストール契約の提案を受け入れた、としている。公取委は社名は上げていないが、他のメーカーがエクセルのみの契約を要請した際にも、マイクロソフトが拒絶したことがあったとしている。またマイクロソフトはその後、スケジュール管理ソフト「アウトルック」についても同様の手段をとったと指摘した。

***

この決定で、市場には従来のワード・エクセルと、一太郎・1-2-3モデルに加え、一太郎・エクセルバンドルモデルが出回ることでビギナー・ユーザーの選択肢が広まったとも言えるが、BTOのところで述べるように、そもそもユーザーの自由に任されるはずのPCに「プリインストール」という形を取る流通販売がこのような強制を招いた元凶であることを考えれば、自己責任でアプリケーションをインストールしてきたユーザーにとっては今更の決定であり、シェアを変動する程のことはなさそうである。

'98年1月22日には司法省は、MSがIEのアイコンを削除したOSを提供するなどの譲歩案を提示したことから、'98年12月17日の法廷侮辱の訴えを取り下げた。

仮決定命令に対し、IE付の最新のOS、IEを除いた機能しない最新版のOS、同じくIEを除いてはいるが2年前に発売した古いOSで機能するもの、の3種類を提供するとし木を鼻でくくったような態度で答えていたMSの傲慢さは、今回これ以上の司法省からの訴訟を避けるため軟化したものと見られる。

しかしながら、仮決定自体を不服として控訴中のMS姿勢は変わっておらずまた、もともとの裁判に関しても両者とも主張を変えていないため、この合意は、それ以前から、'95年の同意審決に違反したとして争われている裁判には影響しない。

機能する最新版でIEを使うことが出来ないOSおよび最新版でIEを含んでいるがデスクトップからIEのアイコンを削除し、スタートメニューからも起動できなくしたもの、の2種類を提供することに合意したためこの和解が成立したという。これで、最初から私が言っていた、インストールまたは削除はIEだろうとNetscapeだろうとユーザーの自由であった良き時代に少しは戻ったことになる。

MSがこの要求を受け入れ、私が購入した時点には存在していたようなユーザーカスタマイズの権利を保証するのは技術的にはそう難しいことではあるまい。

これを、OSの最新版でも常にユーザーに保証するのがメーカーの公的義務である。しかしMSの発表では今回用意するバージョンには、まだいくつかのIE関連のファイルがハードディスク上に残ったままともいう。

98/1/23毎日Daily Mail Computingによれば、

今回の和解の結果、パソコンメーカーは実質的に自由にブラウザーを選択できるようになった。ブラウザーで60%のシェアを持つといわれ、マイクロソフトの猛追を受けている米ネットスケープは、この機をとらえて同日自社のブラウザー、ナビゲーターとコミュニケーターを無料で提供することを発表。ブラウザー戦争に一波乱ありそうだ。

という。(ボールド引用者)

いよいよ来たか、という感じだ。しかし、そうなると、今までNetscapeをヴァージョンアップのたび有料で購入していたユーザーの結構な出費は、何だったのか?私のような、根っからのIE派にとっては、一丁無料になったNSをインストールして比較して見る絶好のチャンス到来といったところだが・・・。(しぶとくこの日を待っていて良かった!)

そうこう言っているうちに、'98年2月6日になると「依然続くNetscape身売りの噂WSJ紙が報道」のニュースが飛び込んで来た。金融業界内では4日から,「SunNetscapeを買収する」との噂が流れており,これを受けてNetscapeの株価は高騰していたというが、これはあくまでも噂で、確認は取れていない。

同見出し ZD Net News98/2/6によれば、

2月5日付けのWall Street Journalオンライン版が,「Netscape Communicationsは会社全体または一部を売却するためAmerica Online(AOL),Sun Microsystems,Oracle,およびIBMと交渉中である」と報じた。・・・
(中略)

Microsoftがブラウザを無料で提供し,またネットワーキングソフトウェアの市場でも攻勢をかけていることから,インターネットソフトウェア企業としてのNetscapeの将来を危ぶむ見方が生まれている。Netscapeが第4四半期の決算結果として1株当たり20セントの損失を報告したあと,同社の株価は13%も下落した。その後,Netscapeはブラウザの無償配布を決めている。

 この件について,NetscapeあるいはSunからのコメントは得られていない。(後略)

この噂は次のような形で実現するようだ。

98/11/23asahi.com AOLがネットスケープ買収へ、米誌など報道

 23日発売の米誌ニューズウィーク最新号や米紙ウォール・ストリート・ジャーナル電子版によると、会員数1400万人を抱える米パソコン通信最大手のアメリカ・オンライン(AOL)は、インターネット閲覧ソフトのネットスケープ・コミュニケーションズとの間で同社の買収交渉を進めている。買収は株式交換方式で、買収額は約40億ドルに達し、現地時間の23日にも発表される。

 同時に、AOLはコンピューター、ソフトウエア大手のサン・マイクロシステムズとの間で、サンがネットスケープの技術を使って企業向けソフト開発・販売を手掛ける見返りに、AOLに手数料を払うことでも合意する見通し。AOLと反マイクロソフト(MS)の急先ぽうであるサンの提携は、反トラスト法(独禁法)違反訴訟を抱えるMSへの打撃となる。

 買収が実現すれば、AOLはネットスケープのインターネットサイト「ネットセンター」を手に入れることで、ヤフー、エキサイト、ライコスといった検索サービス各社を取り込め、広告料収入の大幅増が期待できる。ただ、AOLは閲覧ソフトとしてはMSの「エクスプローラ」を今後も採用する方針という。(時事)

1400万人以上のインターネット会員を擁する「電脳空間の巨人」AOLによるNSのこの買収は、42億ドルで、24日正式に合意されたが、このSun(プログラムJava)=AOL(ネット通信)=NN(WWWブラウザ)による反MS体制を固める強力な布陣に対し、さっそくMSは「パソコン業界の勢力関係は急変しており、当社がネットスケープを排除したとする米司法省の訴訟は不必要になった」とのコメントを出し、この業界の自由競争が妨げられていない事実を強調した。次の報道はそれに勢いをつけるものである。

98/12/8asahi.comマイクロソフト訴訟、原告から南カロライナ州が脱退
 「マイクロソフトは違法なやり方でインターネット閲覧ソフトの販売を増やしている」と、米司法省と20の州政府がパソコンソフト最大手のマイクロソフトを反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで米連邦地裁に訴えている裁判で、原告団に参加していた南カロナイナ州が7日、提訴を取り下げることを発表した。

 同社のライバルのネットスケープ・コミュニケーションズがインターネット通信最大手のアメリカ・オンライン(AOL)と合併することが先月決まり、反マイクロソフト陣営が急伸する可能性がでてきたためで、同州のコンドン司法長官は同日、「AOLとネットスケープの合併は、この市場で競争原理が機能していることを立証した。企業の勝敗は市場が決めるべきで、もはや州予算を裁判に費やす理由はなくなった」と話した。

 原告団は「たいしたことはない」(ニューヨーク州)などと平静を保っているが、独禁当局が「今世紀屈指の独禁法裁判」と意気込んだ訴訟だけに、足並みの乱れは「原告側の勢いをそぐマイナス効果が少なくない」(司法関係者)と、裁判の先行きを懸念する声も出ている。

 この裁判はワシントン地裁で10月に始まった。独禁法違反になればマイクロソフトが分割されるとの見方もあり、注目を集めている。(赤字強調、ボールド引用者)

つまり、後でも述べる市場が、不当な圧力を声を上げて防御する健全さを持っていさえすれば、始めからリングジャッジ司法省の出る幕はないといえるのである。

Yahoo!Japanトピックス AOLがNetscapeを買収

また、同じくZD Net News 1998年2月9日版 において次のように報道された。

Webブラウザ使用実態調査でInternet Explorerがトップに

 日本ガートナーグループ・データクエストは2月6日、日本のインターネットユーザーの使用実態調査結果の速報値を発表した。

 それによると、全ユーザーがインターネットのアクセスにおいて使用しているブラウザは、マイクロソフトのInternet Explorerが53%でトップ。続いて、ネットスケープ・コミュニケーションズのNetscape Navigatorが45%、その他が2%となっている。

 この調査は'97年12月に、Yahoo!Japan、goo、ZDNet JAPANなど複数のサイトのアクセスログを集計して分析されたものだ。その他、興味深いデータとして、非WindowsプラットフォームにおいてはNetscape Navigatorが87%(Mac環境では、95%)、週末にかけてInternet Explorerのユーザー比率が上昇するなどが報告されている。

 なお、詳細な最終集計・分析については、同社の「情報システム産業分析誌」3月号に掲載される予定だ。(後略;ボールド引用者)

***

コンピュータ市場調査 日本ガートナーグループウェブブラウザ使用実態調査結果速報

これも、あくまでも噂だが、Netscape創設の立役者、M・アンドリーセンがNetscapeの持ち株の25%にあたる700万ドルを売却した、という話、またこの4月から無償配布とソースコード公開に踏み切ったNetscapeを同じフリーのPC用Unixで隠れた人気のあるOS Linuxに搭載して,IEと統合合体したWindowsNT5.0に対抗するとかいう話が随分以前から出回っている。

毎日Daily Mail Computing98/9/30 インテルとネットスケープが「Linux」に出資

 "UNIXライク"なOS「Linux」にツールやサポートをパッケージして販売している米レッドハット・ソフトウエアは29日(米国時間)、インテル、ネットスケープ・コミュニケーションズ、それにベンチャーキャピタルのグレイロックとベンチマーク・パートナーズの米企業4社が同社に出資することになったと発表した。出資額などの詳細は公開されていない。

 レッドハットは大企業向け部門を新設し、基幹業務向けのシステムやサポートを提供していく。ロバート・ヤング社長は「ユーザー数の増加が示しているように、既にLinuxは企業向けの大規模アプリケーションに利用できる段階になっている。レッドハットはLinuxでのリーダーシップを企業向け製品にも広げていく」と抱負を語った。

 Linuxはインターネット上で無償配布され、プログラマーのコミュニティが改良を続けているいわゆる「フリーウエア」のOS。世界で700万のユーザーがいるともいわれている。レッドハットは、インテルプロセッサー・ベースのパソコンをはじめ、現在は米コンパックに買収された米ディジタル・イクイップメントのAlphaや米サン・マイクロシステムズのSPARCベースのシステム向けに「レッドハットLinux」の配布とサポートを有償で提供している。

 OS自体が無料で、低価格のインテルベースのパソコンでも安定して動作することから、Linuxはウェブサーバーやプロバイダーなどに採用されているが、これまでは大企業向けの大規模なシステムに使われることは少なかった。しかし、今年初め、Linuxのモデルを取り入れたネットスケープが、自社の一部ブラウザーソフトの無償化とソースコードの公開を決めたように、企業からも「フリーウエア」への注目が集まっている。

 この夏には、オラクル、インフォミックス、サイベースなど、主要な米データベース会社をはじめ、米IBMなどもLinuxのサポートを始めた。Linuxは、インテルベースの低価格なサーバー用OSとして成長している米マイクロソフトのウインドウズNTの対抗馬となりつつある。ただ、他の商業製品のようなサポートが少ないため導入に踏み切れない企業も多いとみられている。今回の出資は、Linuxにサポートを提供しているレッドハットを強化することで、Linuxの普及を促進するのが狙いとみられる。

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'98年6月29日、富士通が自社「FMVシリーズ」、「FMV-BIBLOシリーズ」新モデルをNetscape Communicatorのプレインストールを中止して出荷していたことが報道された。これは、米Netscape側が無償化以降、雑誌の付録などと同様の契約内容であるとして、富士通に対するサポート打ち切りを通告してきたためで、富士通側は、どちらもバンドルしたいのは山々だが、「サポートを受けられない製品をユーザーに対して提供できない」として止むを得ぬ選択をしたという。この結果期せずして、'98年6月以降に発売される富士通製PCにバンドルされるブラウザーはI.Eだけという事態になった。


実に、「波乱含み」どころかレスリングで言えば、ジャッジも、トレーナー、リングサイド、私みたいな観客野次馬も入り乱れてのロイヤルバトルの様相になってきた。

'98年5月12日、この夏出荷(米6/25)を控えたWindows98への懸念されていたIE分離を求める連邦地裁仮命令について、米連邦控訴裁判所は、3人の判事の全員一致により、MSの申請通りこれを適用しないものとする決定を下した。上にも私が書いておいた通り、米司法省のMSに対する一連の訴えは

考えられるのは、IEがCairo構想の実現によって、完全にWindowsやMacの事実上すべてのPC、OSに吸収統合され一体化しまってからでは――MSが現時点においてすらIEをOSとは別個の製品とは見なしていない反論をすることから見ても――もはや遅すぎるという判断からだとも言われているように、一種のMSに対する牽制行為だということである。

ここに来て、米連邦控訴裁判所がもう遅すぎと認めたというところか?

一方、Sunも'98年5月12日、このWindows98に対し例のPure Javaの立場からする以下のいずれかの選択肢を取るよう仮処分申請をサンノゼ地裁に行った。すなわち、

(1)Javaプラットホームと完全に互換性があるものとして出荷する

(2)完全に互換性のあるJavaソフトを開発するようにならない限り、マイクロソフトのJavaプログラム開発ツールを出荷させない

MS側は、「訴えの利益がない」「的外れ」と以前の態度を貫き、静観の構えだ。この申請はWin98の出荷に影響を与えることはなさそうである。

これについては、次の仮命令が出されたが、ある意味でこれはMSの望むところに落ち着いたものとも言えよう。

毎日Daily Mail Computing98/11/18サンのJava訴訟で、マイクロソフトに製品修正命令

 Javaの使用にあたり、米マイクロソフトが商標権を侵害しているなどとして、米サン・マイクロシステムズが提訴した裁判で、米連邦地裁サンノゼ支部は17日(米国時間)、マイクロソフトに対し、同社のJava利用ソフトを90日以内にサンの互換性テストに合格させるよう求める仮命令を出した。マイクロソフト側はこれに対し、受け入れを表明した。

 同訴訟は昨年10月に提訴されたもので、サンはマイクロソフトがJava互換性テストに合格していない製品にJava互換ロゴを使用し、ライセンス契約に違反しているなどと主張。具体的には、マイクロソフトの「インターネット・エクスプローラ4.0(IE4.0)」と開発キット「ソフトウエア・デベロップメント・キット・フォーJava(SDKJ)」の2つの製品が挙げられた。同地裁は今年3月、該当製品から「100%ピュアJava」のJava互換ロゴを削除するよう求める仮命令を下している。

 マイクロソフト側は、修正の仮命令を遺憾としながら「仮命令に従うために必要なすべての措置をとる」とする声明を発表。コンシューマーには、ウインドウズ98を引き続き支障なく利用し、開発者にはツールが使えるよう保証していく、としている。仮命令によって互換テストに合格しない場合は「非互換」を明記することになる。一方、サンも仮命令を歓迎するコメントを発表した。

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一段落する暇もなく、'98年5月18日、今度は、米司法省とワシントンDC及びNY始め20もの州検察当局がいよいよアメリカの伝家の宝刀反トラスト法(特にシャーマン法)をMSに対し抜き、独禁法違反による本格的提訴をワシントン連邦地裁に出してきた。Windows98の出荷ぎりぎりまで妥協案などを検討し続けられていたMSとの最後の和解交渉も16日には決裂したという事のようだ。

 

司法省の訴えと仮処分の内容は次の通り。

【司法省の訴えの要旨】

◇マイクロソフトは、パソコンメーカーがウインドウズ95のライセンスを受ける際に、ブラウザーである「インターネット・エクスプローラ」をともにインストールするよう不法に要求した。

◇マイクロソフトは、ウインドウズOSの独占状態を不当に利用し、パソコンメーカーに対し、同社が決めた統一された「ブートアップ」または「ファーストスクリーン」を採用するよう要求した。またメーカーによる変更を禁じた。

◇マイクロソフトは、大手のオンライン・サービスプロバイダー、インターネット・サービスプロバイダーに事実上、反競争的な合意を結んだ。合意によって、プロバイダーのサービスチャネルは、マイクロソフトのインターネット・エクスプローラを優先的、排他的に配布し、競合するブラウザーについてはプロモーション、または言及できないように求めた。

◇マイクロソフトは、インターネット・コンテンツプロバイダーと反競争的な合意を結んだ。合意では、「チャンネル」のコンテンツプロバイダーに対し、競合するブラウザーのプロモーションをしない、またこれらのコンテンツプロバイダーのコンテンツがインターネット・エクスプローラで見た場合、最も効果的に表示されることなどを求めた。

【仮処分】

◇ウインドウズ98への同社製ブラウザー組み込みを行うなら、消費者の選択のため、ネットスケープ・コミュニケーションズのブラウザー組み込みも義務付ける。メーカーには、どちらかのブラウザーを削除できるオプションを保持できるようにする。

◇パソコンの最初の「ブートアップ・シークエンス」をパソコンメーカーが自由に変える権利を保証する。

◇新しいパソコンについて、パソコンメーカーがブラウザーのインストール、削除を自由に行えるオプションを提供する。

◇インターネットやオンラインサービスプロバイダーらに対して、ウインドウズデスクトップに載せる代わりとしとして競合ブラウザーの配布や販売を制限させるような契約規定を強要することを禁じる。

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これに対し、Windows98のメーカー向け出荷予定の15日をこれまで譲歩していたMSは交渉決裂と見て提訴と同じ18日に開始、ビル・ゲイツは「政府側の要求はコカコーラの6本パックに、ペプシ3本を入れて売ったり、コカコーラの缶からその名前を消すことを求めているようなものだ」と直ぐ 6月25日に迫った消費者向け発売にも予定を崩さない強気の攻勢で応じた。

司法省が訴えに揚げているメーカー、プロバイダに対する、OSシェア独占を引き換え条件に故意に自由な選択を妨げるさまざまな圧力を掛けたという疑いの事実認定については、私のようなものの論評出来るものではない。もし、そのような事実があるとすれば、MSはそれを公式に認め謝罪し何らかの賠償をすべきであり、以後そうした圧力をやめるようにする改善は不可能ではない。

しかし、少なくとも以下のZDNet News に掲げられた「証拠」を見る限り、全体の文脈とは切り離された状況証拠の断片にしかならないという印象が強く、社内ではどこでもライヴァルに対してはこの程度の会話は交されているのではなかろうかと思わせる内容だ。

さらに、独占しようとする動機の存在だけでは、起訴するに十分な対象にはならないということも考えて置かなくてはならない。資本主義社会では、どの会社でも、シェアを独占しようとする動機があるからこそ競争が生ずるといえるからである。

司法省は動機ではなく、実際に圧力をかけた等、独占を裏付ける事実を証拠として採用しなければならないのである。

ZDNet News 98/5/22

司法省が提示した証拠:Microsoft社内文書 当局側の「動かぬ証拠」はどれだけの意味を持つか

結局、残るところ、求められているWindows98への仮処分についてのこの対立は、私の言えるのはメインファイルでも述べていることだが、すぐにでも改善できる「ブートアップ・シークエンス」とかの細かい点〔これについては、MSは既に各社が自由に変更していること、また購入した消費者が簡単に変更できることを主張している〕を除けば、独占という本質的な問題については次の2点を分離して考えなければ解決しないのではないかと思われる、ということだけだ。

@OSのシェア独占

Windowsは言うまでもなく、PCのOSシェアの少なく見積もっても90%以上を「結果的に」独占している。「結果的」というのは、自由競争の結果、Mac,Be,Linux,Unix等などの他のOSよりもエンドユーザーの大多数が市場でWindowsを選んでいる、ということだ。

統一規格の推進が何よりも優先必要不可欠な情報通信の分野においてこの独占そのものは、ある程度必要なものであり、他の製造業におけるように独占禁止をそのまま適用することが妥当なのか、という問題の方が大きいと言わなければならない。

もし、情報通信産業のシェアがいつまでたっても個々バラバラで、各社規格の共存並立戦国状態が続くとするならば、情報スーパーハイウェイの実現どころではないのである。いつかは、情報は言語、ルールと同様一つの規格に統一されなくてはならない。

実際、Windowsの結果的独占で、反トラスト法の禁ずる「消費者の利益、選択の自由」、あるいは競争による技術革新コストダウンが損われていると感じるWindowsユーザーは、ほとんどいない。彼らは、選択した結果、Windowsを購入し、そのWintel PC97、98のような規格統一の恩恵、かつてのハイエンドマシンが一年で半額近いエントリーモデルに落ちてくるような機能、価格サービスを現在も受け続けているからである。

要するに、結果的なMSによるOSシェア独占による不利益が、その規格統一解消によって必然的に被ると考えられるユーザーの不利益に優るといえるのか、ということである。

ここでより問題になるのは、MSよりもむしろ、OSにおける最大のライバル、Macを持っているAppleの企業としての不甲斐なさではないだろうか?もし、Macが、そのシェアをもうあと10倍程度、つまり全体のシェアの30%位を保持する健全な経営を続けていたならば、MSがこんなにも司法省の標的にされることはなかったはずであろう。

実際、私としては、いずれは統合される方向に向かうにせよ、もう少しはかつてのようにMacとWindowsとが半々位のシェアで競争してくれることを願っているのである。逆に、互換機の存在しないAppleがPCシェアを90%以上独占していたとするならば、事態は現在あるよりも良くなっていたかどうか考えて見るといい。OSの結果的独占どころか、ハードとソフトの両面におけるMacカルト独裁と競争相手のいない技術革新コストダウン阻害に陥っていたのではないのか?

そしてまた、このファイル冒頭にも書いたが、司法省が独占禁止法を本格的に持ち出すにしては、現在のこの時期が、Windows98出荷を目前に控えたMSを激昂させるに十分な位最悪で、余りに遅すぎたということだ。もう一度下にコピーする。

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しかし、だとすると、何故今の今まで米司法省は目こぼしをしてきたのか?

提携発表と即時に――あるいはそれ以前のCairo計画時点にでも――警告するべきではないか。ずっと続けられてきた慣例、構想の進展を今の今迄黙って見ていて、いきなり冷や水を浴びせ掛けるやり方は、贔屓目に見ても法を与るもののやるべき行為ではない。

考えられるのは、IEがCairo構想の実現によって、完全にWindowsやMacの事実上すべてのPC、OSに吸収統合され一体化しまってからでは――MSが現時点においてすらIEをOSとは別個の製品とは見なしていない反論をすることから見ても――もはや遅すぎるという判断からだとも言われているように、一種のMSに対する牽制行為だということである。

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要するに、私の言いたいのは、今さら本気でMSという会社を分割したり、全世界に対するWindowsの出荷、開発を差し止めようと考えているものは誰もいないと考えられる以上、米司法省による一連のこの提訴劇のアメリカ社会に持つ意義は、実際の判決にあるのではなく、「いい気になってつけ上がるな」という警告をMSに発して(もしあるならば)事実上の高圧的商慣行に自省改善を促し、固定したPCの流通を緩和、またそれによって国内反MS陣営の溜飲を下げる心理的効果をもたらすことにあるということだ。

ただし、公平を期す意味で、次期の主力を担うWindowsNT市場戦略について、以下のSPAによるMSへの独占禁止法違反取り調べの要請が出されている記事を合わせて掲載しておく。

毎日Daily Mail Computing98/6/22米ソフト企業団体がNTでMSへの反トラスト法調査求める

 米国のソフトウエアメーカーの業界団体「ソフトウエア・パブリッシャーズ・アソシエーション」(SPA)は19日(米国時間)、「Competition in the Network Market:The Microsoft Challenge」(ネットワーク市場の競争:マイクロソフトの挑戦)と題するリポートを発表した。ウインドウズOSを軸としたマイクロソフトのネットワーク・コンピューティング市場への戦略を分析し、米マイクロソフトがウインドウズ95/98で獲得した独占的地位を、反競争的な商慣行でサーバー市場へも拡大しようとしている、と指摘。「同社のNT市場での活動を当局が調査すべきである」と結論づけている。

 リポートは約40ページの詳細なもので、SPAは、まず「ネットワークサーバーと、そのアプリケーションは情報化時代の基礎」と位置づける。マイクロソフトは、この市場へのウインドウズNTサーバー、NTワークステーションの普及を進めており、NTをウインドウズ98の後継OSとして確立し、"デスクトップの独占状態"を通じたネットワークのコントロールを行おうとしていると指摘。具体的には、バンドル、略奪的価格設定、価格拘束、技術標準の操作、などで公正な競争を妨げているという。

 さらにリポートでは、マイクロソフトが製品の事前発表、「発表はされたが未完成のソフト」、サードパーティー製品の非サポート、などで競争を無効にしていると指摘する。同社が製品の発売を予定している分野に他のデベロッパー、ベンチャーが手を出す気をなくさせることによって、市場を"凍結"させ、この結果、他社の開発はマイクロソフトが提供を予定していない分野の製品に限られてしまうという。また、マイクロソフトがサードパーティーの製品のサポートを拒否することで、他社の製品の優位を覆している、としている。

 このSPAのリポートに対し、マイクロソフトは19日、ロバート・ハーボールド執行副社長兼COO(最高業務責任者)名で反論書を送付、同時に自社のウェブサイトで公開した。この中でハーボールド副社長は「ウインドウズNTは、よりよい製品を低価格で提供するというマイクロソフトの力で伸びているのであって、リポートの主張には根拠がない。サーバー市場向けの新製品に新しい特徴を統合することは、業界ではあらゆる企業が行っており、その結果、消費者の選択の幅が広がっている」と述べ、同リポートとSPAを非難した。

 SPAは、オラクル、ノベル、IBM、Adobeなど1200社のコンピューターソフト関連企業が参加。マイクロソフト自身も加盟している。(ボールド引用者)

 

 

AブラウザとOSとの統合

MSは、@の結果的OSシェア独占を基盤にして、それをさらに強固にする戦術を編み出した。それが、IE4.0に始まる、WWWは勿論、PCローカルのOSすらも自社のブラウザ上で稼動させ、インターネットとPCの間にあった障壁を一気に乗り越えようとするCairo=Sweeper構想であった。

この点については、ライバルのMacが、CyberdogOpenDoc始め独自のインターネット構想開発に失敗し、 Rhapsodyでも大きく遅れをとった結果、事実上、このSweeper構想に対抗できるOS勢力は一社も存在しないという、独占状態がいわば自動的に発生したのである。

〔Mac OSは、次期予定されているMac]においても、Rhapsody移行予定を大きく後退させ、従来型をベースにしたヴァージョンアップに止める雲行きだ。ZDNet News98/5/26 AnchorDesk で,Rhapsodyはどうなった?

ブラウザでの良き先行者にして対抗馬Netscapeも、Sunmicroのプログラム言語Javaすらも、自社の、Windowsに対抗するに値するOSを独自に競争開発する能力が欠如しているという、この一点において、如何にクロスプラットフォームとPureJavaの錦の御旗を立て、市場シェアが風前の灯火のMacOSと束になって攻勢を掛けようが、MSのこの戦略の前には論理上ことごとく無駄な努力なのである。

OSの90%を越すシェアを既に握ってしまった者には、またそのユーザーにとっても、既にクロスプラットフォームは何の価値も、利益も存在しないからである。

そして、このような自社ブラウザと自社OSとの統合戦略をその会社が先験的に推進してはいけないという法律は存在しない。それをする先行投資能力があったのが、何処でもない、唯一MSだけであったという厳然たる事実は司法省といえど変えられないのである。

もし変えられるとしたら、それはOSをプリインストールして販売しているPCメーカー、あるいは、多数のエンドユーザーが、出荷時からブラウザと統合されたWindowsをボイコットし、それ以外のWindowsを選択するメーカー、消費者の権利を自由市場の声として突きつけ、自ら要求した時なのであって、市場調査位はしても、そうした権利の保証までをOSメーカーであるMSのほうから果すべき義務ではない。

事実、他社のブラウザであるNetscapeまでをWindowsOS内にIE同様組み込むよう求める仮処分命令には、コーラの例を引いたビル・ゲイツならずとも、各社間の自由競争を阻害する司法省の越権行為として怒りたくなるのは当然である。

「ネットスケープのために、ウインドウズへの『ただ乗り』を要求するもので、この訴訟は米国の消費者の利害というよりも、単一の競争相手の利害を守るもののように見える」とし、ゲイツはこの条項が訴訟を回避の協議が決裂した原因となったことを明らかにした。

DOS/Vベンダーはもとより、既にAppleの経営危機まで、'97年8月の提携によってMSは支えてきている観がある。

周囲より一人だけ先見性と戦略とに優れ、一人勝ちした強すぎる責任;もしくは相手が弱すぎる責任まで、その強者が敗者救済のハンディとして負わなければならないのだろうか?それは既に国家のすべき公共福祉救済事業であって、私企業の枠を超えている。

尤も、現在のMSは、核競争均衡と宇宙開発に継ぐ国家目標として新たに情報スーパーハイウェイ戦略をぶち上げたクリントン=ゴア政権下のアメリカ国家及び米司法省という枠すらとうに超えてはいるのだが・・・。

 

***

そして、以上のような状況によって、PC市場におけるソフトメーカー 、ハードメーカー、エンドユーザーの3者がどのような利益、不利益を被っているのかを、冷静に分析してみなければならない。

A.ソフトメーカー

a.OS :明らかに、MSのみが利益を得、その他のOSは、存続さえも危ぶまれる。特に、Macは、MSに提携を求めなければならなくなるまでに追いつめられた。その結果、競争の波に洗われているDOS/V市場で一人WindowsOSだけは価格が下がらないという事態をもたらしている。

b.WWWブラウザ:Netscapeは赤字に転落、4月から無償配布とソースコード公開に踏み切った。それ以外のブラウザについては推して知るべし。'98年6月からは、サポートを打ち切られた富士通がNetscapeのプレインストールバンドル販売を止めた。

c.プログラム言語:Javaは、Windows以外のOSが並立共存するサーバ市場やNCのような簡易データベースダム端末でしか成功普及しないだろうと言われている。ここでこそクロスプラットフォームの意義と価値が発揮されるからである。

d.その他のソフト:現有するWindowsのシェアが、激減することによって利益が得られるメーカーはほとんどいないのではないか。但し、ジャストシステムのような日本に限られた会社は、MSのWordと争ったワープロ「一太郎」を筆頭にブラウザ JustView、プロヴァイダ JustNetなどの事業展開でも赤字を計上してきており、'98年6月2日、MSと提携したソニーに第三者割り当て増資されるところまで来ている。

B.ハードメーカー;プロバイダ

いずれにせよ、事実上の標準、統一規格を掌握したソフトメーカーに共存、消極的な追従すること以外に、情報機器開発は存立する余地はないし、利益もそのフラッグシップソフトメーカーの市場開拓と快進撃があればこそである。DECはそのAlphaテクノロジーを、WintelCompaqに売却せざるを得なかったし、Appleも既に、「プライドを捨て」AGP、USB、ZIFソケットのWintelPC98規格導入を決定している。Cnet Briefs 98/5/16 アップルがインテル技術を採用

'98年6月16日には、韓国のサムスン電子が、MSとCompaqのサポートを得て、このAlphaのためのマーケティング、販売、技術サポートを行う子会社「アルファ・プロセッサー」を設立した。

これで、DECや、Appleの利益が損われたとは言えないだろう。会社としては救われている面も大きいと言わなくてはならない。MSのシェアなくして、intel、Compaqの存続繁栄は有り得ない。

今度は、米司法省は、このintelに対し独占禁止法の適用、提訴を準備中であるというが、AMDなども伸びて来てDOS/V intel互換で規格統一されているCPU市場の この時期に、そこまでして本当に、消費者の利益が増進すると言えるのだろうか?

モトローラは'98年6月、ついにMac用パワーPC開発のために'92年から続いていたIBMとの合弁会社サマーセット・パワーPCマイクロプロセッサー・デザインセンター解消を受け、パワーPC821をベースとして組み込んだWindowsターミナルクライアント開発用レファレンス・デザインWinCept100;110を発表し、Mac専用から「組み込み用パワーPC」への移行姿勢を明確にした。

NECの独自の日本語環境PC-9800からDOS/V機への大転換はいうまでもあるまい。その他の周辺機器メーカーについても同様である。ゲイツが胸を張るように〔intel Pentium CPUとWindows OSを除いては!〕技術革新やコストダウンを阻害したとは言えないはずである。

また、もし、司法省の指摘するとうり、どうしてもWindowsというOSまたは、IEというブラウザの自主選択の権利がMSからの有形無形の圧力によって奪われているというなら、各PC販売メーカーは、これまでのMS言いなりのOSプリインストールいう販売形式から、ユーザーのOS予約を受けてからその都度製造するビルト・トゥ・オーダー(BTO)システムに変更するなどの対抗措置によって権利確保をし、MSに対しさまざまなバージョンのWindowsを平行して創るよう堂々とユーザーをバックにした自分達の注文を、下からどんどん出していくべきであろう。

もしMSの現在の態度を変えられるとしたら、それはOSをプリインストールして販売しているPCメーカー、あるいは、多数のエンドユーザーが、出荷時からブラウザと統合されたWindowsをボイコットし、それ以外のWindowsを選択するメーカー、消費者の権利を自由市場の声として突きつけ、自ら要求した時なのであって、そうした権利の保証はOSメーカーであるMSのほうから果すべき義務ではない。

もし、これらのPC組立販売メーカー;ベンダーが、MSからOSを購入する際に、同時にIE以外のものをバンドルするような場合にはWindows 卸販売を打ち切るとする二者択一の圧力が掛けられているとするならば、それを訴える義務を持つのはこれらのPC組立販売メーカーの側である。

それこそ、大多数のWindowsユーザーにとっては、事実上の不利益は存在しないとしてMSの自己正統性を主張する最大のよって立つ根拠を突き崩す武器になる事は間違いない。Windows98や、その後に続く、NT5.0の出荷の遅れは、その意味でこれらのユーザーの利益を最も損うことになるというMSの主張は、司法省の今回の提訴以上に妥当性のないものではないからである。

すなわち、司法省のいうような要求及び選択の権利は、MSではなく、本来、ソフトメーカーとエンドユーザーとの中間に位置する、こうしたハード&ソフト仕入れ組立てをするPCメーカーが中心となって、実現、保証するようにして行くべきなのである。

ここでより問題になるのは、MSよりもむしろ、言いなりになるこれらPC組立販売メーカーのDOS/Vベンダー企業としての不甲斐なさではないだろうか?もし、彼らがMSに対して、DOS/V下請け企業のような卑屈な黙認態度をとらず、独立対等な組織として市場要求を日常的に続けていたならば、MSがこんなにも司法省の標的にされることはなかったはずであろう。

つまり、DOS/V市場が、不当な圧力を声を上げて防御する健全さを持っていさえすれば、始めからリングジャッジ司法省の出る幕はないといえるのである。

 

98/5/28asahi.comゲートウェイがマイクロソフト製以外のブラウザも搭載へ

 米パソコンメーカー大手のゲートウェイは27日、ユーザーが希望すればインターネットソフト大手のネットスケープ・コミュニケーションズのインターネット閲覧ソフトを搭載したパソコンを販売する用意があることを明らかにした。

 これまでパソコンメーカーに対し、競合するインターネット閲覧ソフトの搭載を禁止していたとされるパソコンソフト最大手のマイクロソフトが、反トラスト法(独禁法)の提訴を受けて方針を変更、他社ソフトの搭載を許諾したものとみられている。

 ゲートウェイは、ユーザーの希望する部品やソフトをパソコンに搭載するカスタムメード販売を開始。ユーザーの希望にしたがって、マイクロソフトの「インターネット・エクスプローラー(IE)」とネットスケープの「ナビゲーター」のどちらの閲覧ソフトでも搭載できるようにした。ゲートウェイは「(ナビゲーターを搭載可能にしたことは)独禁法訴訟とは関係ない」と話している。

 米司法省と20州の司法当局は18日、マイクロソフトが基本ソフト(OS)市場での独占的立場を利用してOS購入の条件としてパソコンメーカーにIEの搭載を強要しているなどとして、マイクロソフトを提訴した。(時事)

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プロバイダについてもIEに対し、これに準ずる措置を取ることが許されている。IE4.0以降では満足に表示されないWebページがあるなどの不利益をプロバイダが受けているわけではあるまいが、黙っているのはこれでいいとMSに事後承認と増長させる口実を与えるものであるということに気づかないのだろうか?

これらの関係は、日本で特徴的なアプリケーションバンドル(抱き合わせ)モデル販売形式についても言えることである。

C.PCエンドユーザー

大多数のWindowsユーザーにとっては、事実上の不利益は存在しない。これがMSの自己正統性を主張する最大のよって立つ根拠である事は間違いない。Windows98や、その後に続く、NT5.0の出荷の遅れは、その意味でこれらのユーザーの利益を最も損うことになるというMSの主張は、司法省の今回の提訴以上に妥当性のないものではない。

WindowsとIE4.01との統合したアクティブデスクトップによって、WWWからリアルタイムでニュースを収集しこのファイルを作成している私自身、もう、以前のIE3.0のような分離スタイルに戻るつもりはない、というくらい利益を上げている一方で、統合を選択したことによる損失はない。

もし、Windows98というOSにMSが提示した以外の選択の権利を求めるのなら、ハードメーカーとユーザーは、また並み居るPC雑誌メディアは、彼らが揃いも揃って新しいOSへの理解能力に欠けるというのでもない限り、何時でもそうすれば良いのである。しかし、そのような声は上がっているとは言えない。黙っているのはこれでいいとMSに事後承認と増長させる口実を与えるものであるということに気づかないのだろうか?

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さて、そこで、上掲二つの論点、@OSのシェア独占、AブラウザとOSとの統合 に戻って考えてみよう。もし、@のOS独占という前提が存在しなければ、独占禁止に関してはそもそも、ゲイツが怒りを露わにしたようにAの統合は何の問題も呼び起こさなかったはずの点である、ということこそが重大である。

Windows98日本語版の出荷を控え、次の毎日Daily Mail Computingに載った日本公取委の見解は@については判断を避けたものの、ある意味においてAについてはそれを追認したものともいえよう。

98/6/17公取委「ウインドウズ98は独禁法違反にあたらず」

公正取引委員会の矢部丈太郎事務総長は17日の定例会見で、マイクロソフトの「ウインドウズ98日本語版」について、「ウインドウズ98の場合、(ブラウザーとOSが)一体となっており、(独禁法上の)抱き合わせ販売にあたらない。エアコンが標準装備された自動車でエアコンが抱き合わせ販売されたとはいえないのと同じことだ」と述べ、独禁法違反にあたらないとの見解を示した。

 公取委は今年1月、独占禁止法違反の疑いで、マイクロソフト日本法人に立ち入り検査を実施。マイクロソフトが国内のパソコンメーカーに対し、自社のワープロソフト「ワード」をウインドウズ95搭載のパソコンに一緒に組み込むよう指示、またインターネットエクスプローラ(IE)搭載パソコンに、ネットスケープ・ナビゲーターなど他社製品のブラウザーを組み込まないよう圧力をかけたなどの疑いによる。

 同日の矢部事務総長の会見では、98に限ってブラウザーとOSの一体化が問題ないとの見解を示したもので、ウインドウズ95やその販売方法については言及しなかった。

(ボールド引用者)

しかし、司法省は、@についてはかなりの間及び腰であったか、黙視傍観していたかの態度をとり、Aが初めて実現するWindows98を出荷するその直前になって、こうした独占禁止適用の提訴を持ち出してきたのである。これは、当局の明らかな無能か、怠慢なのではないのか。

もし、独占禁止法をこのまま適用するにせよ、情報通信産業のシェアがいつまでたっても個々バラバラで、各社規格の共存並立戦国状態が続くとするならば、情報スーパーハイウェイの実現どころではないのである。いつかは、情報は言語、ルールと同様一つの規格に統一されなくてはならない。

OSを結果的に独占しようという前に提訴して防いでおけば、細かい点を除けばAは問題にすらなり得なかったと考えられるからである。しかし米司法省はそれをしなかった。全世界のユーザーの期待も高まりAが実現しようというときに、一月前は大昔に属するPC情報業界に法律家がそんな話しを持ち出してきてもすべては手遅れなのである!

'98年6月23日、この見方を裏付けるように、米連邦控訴裁判所が、抱き合わせ販売について司法省とは相反する判決を出した。毎日Daily Mail Computingによれば「今回の議論の対象になった仮決定はウインドウズ95をめぐるもので、今週発売予定のウインドウズ98や、司法省がマイクロソフトを反トラスト法(独禁法)違反で別途提訴した訴訟と直接は関係しないが、マイクロソフトに有利な雰囲気を作ることになりそうだ。 」という。

98/6/24asahi.com米連邦控訴裁判所、マイクロソフトの主張認める
 パソコンソフト最大手のマイクロソフトが、パソコン用基本ソフト(OS)「ウィンドウズ95」とインターネット閲覧ソフト「インターネットエクスプローラ」を違法に抱き合わせ販売しているとして、米司法省が同社を訴えていた問題で、米連邦控訴裁判所は23日、同社の抱き合わせ販売を禁じた昨年12月の地裁仮決定を覆す逆転判決を下した。「ウィンドウズと閲覧ソフトを一緒にパソコンメーカーに売るのは問題がない」としてきた同社の主張を認める内容で、同社は従来通りの抱き合わせ販売が認められたことになる。

 地裁の仮決定を受けて同社はOSと閲覧ソフトを別々に販売する対策をとってきたが、控訴裁判決でその必要がなくなり、従来通りの販売や製品戦略を続ける見通しだ。独禁法違反の疑いで先月訴えられた次期ソフト「ウィンドウズ98」の販売方法や、パソコン業界の勢力関係にも影響を与えそうだ。 (ボールド引用者)

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しかも、この反トラスト法提訴によるMSからの7ヵ月の準備期間の申し入れの効果もあり、公判開始は、'98年9月8日になってからだというのである。公判開始前にまで、または、少なくても判決が出る**年後までにはWindows98及びNT5.0は、予定通り'98年6月25日、'99年春にそれぞれ何の問題も無く全世界に向け出荷され、十分普及してもはや動かしがたい既成事実を構成しているはずである。

Windows95発売の時ほど当初は爆発的に売れないだろうと予想されているWindows98だが、たとえそうでも、TVコンテンツの衛星受信はもちろん3DブラウジングChrome;デスクトップを始めとするローカルフォルダオブジェクトの3D化までを可能にするIE5.0を搭載、あるいは一体となった次期WindowsNT5.0が乗った世界制覇する「第三の波」の勢いを誰もせき止めることはできないのだ。

IE+NTはすべてのWWWに接続されたクライアントマシンを、一々プロバイダサーバにアップロードしなくとも、直接互いのローカルディスクリソースが利用可能となる一つの統合された巨大なテラマシン=電脳地球の各シナプス(脳神経細胞接合部)へと進化させるであろう。

このIE5.0+NT5.0こそMSあるいはWintelDECompaq4社連合の社運;あるいは大きく言えばそれに止まらず人類の未来が掛っているOSなのである。

要するに、私の言いたいのは、今さら本気でMSという会社を分割したり、全世界に対するWindowsの出荷、開発を差し止めようと考えているものは誰もいないと考えられる以上、米司法省による一連のこの提訴劇のアメリカ社会に持つ意義は、実際の判決にあるのではなく、「いい気になってつけ上がるな」という警告をMSに発して(もしあるならば今回のゲートウェイの反応に如実に現れたように)事実上の高圧的商慣行に自省改善を促し、固定したPCの流通を緩和、またそれによって国内反MS陣営の溜飲を下げる心理的効果をもたらすことにあるということだ。

イラクや、今回のインド=パキスタンへの拡散に対する国家的威信はほとんど無視されたともいえるアメリカだが今回の世界PCネットワークへ向けて発せられた警告あるいは実際の判決もそれ以上に市場から無視される可能性が高い。

ZDNet News特集「もしWintel帝国が崩壊したら...

尤も、現在のMSは、競争均衡と宇宙開発に継ぐ国家目標として新たに情報スーパーハイウェイ戦略をぶち上げたクリントン=ゴア政権下のアメリカ国家及び米司法省という枠はとうに超えてはいるのだが・・・。

ZDNet News特集「U.S. vs.Microsoft(反トラスト訴訟)」

私のMS寄りに対して、どちらかといえば司法省寄りの解説については

インプレス 後藤弘茂のWeekly海外ニュース Microsoft裁判、今回はいよいよOS独占支配の維持が問題に

何が消費者の利益に叶っているかを最終的に判断するのは、一国の司法省ではなく、全世界のエンドユーザーだからである。

'98年6月8日、米連邦取引委員会(FTC)がインテルに対し反トラスト法の審理を開始することを決定した。FTCの審理は行政訴訟の手続きをとるもので、審理開始は事実上の"提訴"」という。

FTCによると、下記3社に対するインテルの不法行為は次の通り。

 (1)DECの「Alpha」プロセッサーは、ウインドウズNTを動作させる唯一の非インテル技術プロセッサーで、インテル技術に比べ、パフォーマンスで優れていると認められている。DECは97年3月、インテルが10件のDECの特許権を侵害しているとして提訴したが、これに対しインテルは自社の技術情報の提供を中止、マイクロプロセッサーの供給停止を"ちらつかせて"圧力をかけた。この状態は両社が和解するまで続いた。

 (2)ワークステーションメーカーのインターグラフは、93年以前に「Clipper」プロセッサーを開発していたが、同社は92年にウインドウズNTベースのワークステーション、サーバーを開発する初のメーカーとなった。96年にはすべての製品にインテルのプロセッサーを採用している。

 インテルはこの年、インターグラフに技術情報を提供する代わりに、Clipperの無償ライセンス供与を要求。この要求をインターグラフが拒否すると、インテルはグラフィックに関連する重要技術の提供を中止。このためインターグラフのグラフィックワークステーションの開発に重要な遅れをもたらした。さらに97年、インターグラフは再度インテルの要求を拒否したが、これに対しインテルは技術情報とプロセッサーのプロトタイプの提供を中止した。

 (3)コンパックはインテルの最も大口の需要家である。コンパックは94年、米パッカードベル・エレクトロニクス(現パッカードベルNEC)が、自社のマザーボードの特許権を侵害しているとして提訴した。この際、パッカードベルにマザーボートを納入していたインテルは、パッカードベル側につき、コンパックに対する技術情報の提供を中止。コンパック、インテル間でクロスライセンスが締結されるまでこの状態が続いた。

(ボールド引用者)

これら容疑の事実が存在したか否かはともかくとして、もしあったとしたら、すみやかにそれを認め謝罪した上で何らかの賠償、経営改善を行うべきだろう。しかし、直ちにそれが明らかな「独占禁止法違反」ということになるかといえば、対MSの時同様、その適用はかなり微妙なところと言わざるをえない。

実際、「NDA」(情報非開示契約)に基づきプロセッサーの発表以前にPCメーカーに技術情報の提供を与えているintel側の、MPU情報等自己の「知的所有権」防衛行為が絡んでいるこれら対3社間との〔DECが1997年5月に、インターグラフが同年11月に、コンパックコンピュータが1995年に知的所有権訴訟を起こした〕問題において、intelの反論通り、

FTCの決定は反トラスト法に新たな理論を付け加えるもので、本来、反トラスト法では「競争が阻害された事実」を証明しなければならないが、「FTCはどんな市場でも、競争が阻害された事実を証明することは出来ない」

また、FTCの理論に従うと「インテルのような大きな市場シェアを持つ企業は、その中核となるビジネスに対する脅威への対抗手段としても、また競争の阻害がない場合でも、知的所有権を行使できないということになる」

からである。

FTC側から見れば、要求に従わなければNDA関係を打ち切る、ないしは打ち切ると脅すことによって自社MPUの独占的な立場を、intelがこれら3社に対して不当に利用したと言われても、訴えられたintelに言わせれば、自社特許情報を守る為には許容される正当な「切り札」的行為と言うことになるのであろう。

MSに対する司法省提訴の時の分析同様、

@intelによる80%以上の結果的MPUシェア独占、ADECとCompaq、Wintelとの統合が進んでいるPCハード市場において

とにかく部外者には、どちらが実質的に特許を侵害していたのか分かるはずもない以上、DECをCompaqが買収Wintelと融合し、DEC Alpha技術は、intel IA-64 Mercedに組み込まれようとするこの時期になってから、如何にFTCだろうとMPU専門家であろうと、いまさら提訴してももはや手遅れではないか、提訴の利益はあるのかという程に決めがたくなっているのである。

IEがWindows と融合して、どちらがOSなのか分からなくなっているように。

勿論、司法省やFTCが、取返しがつかないまでに巨大化し独占的な地位を築いたWintel連合に対しても、このような果敢な提訴をし続ける行為それ自体は、アメリカという社会の健全さを世界に証明するものであり、十分価値のあるものであると付け加えておかなければならない。

 


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