1999年1月5日 後楽園ホール FMW
南側にやや空席が目立つ。それでも8割の入りか。時間とともに埋まってい
ったが、今のご時世、FMWも特別なカードを組まないと、後楽園を埋めるの
は難しいようだ。今年はプロレス界全体がますます厳しくなるのは間違いない
だろう。それでもプロレス団体が減ることはない。苦しい団体はギャラを出さ
ず、選手はアルバイトで食いつなぎながら、プロレスを続けていく。幸いFM
Wは選手達がプロレスに専念できる環境にあるが、大所帯ゆえ、一度コケたら
落ちるのも早い。10年目を迎えたドインディー出身の成り上がり団体のます
ますの繁栄を願いたいもんだ。
ハヤブサがたいへん簡潔に新年の挨拶。いつもは全選手が揃うところが、ち
ょうどチーム改変の時期とぶつかったので、ハヤブサ1人なのか。ディレクテ
ィービーでの放送開始以来、サクサク進むFMWの興行、すぐに保坂のテーマ
曲が響いて、試合が始まった。
第1試合 南条隼人、フライングキッド市原、山崎直彦、VS 保坂秀樹、吾作、佐々木嘉則
保坂の黒い新コスチューム、ヘビーデューティーな感じって言うか、ポケッ
トが多い。試合開始早々、市原がケブラーダで飛んだりして、正月らしいやね。
フェニックス側がキャリアの少ない佐々木に的を絞って攻める時間が続く。正
月からいいもの、山崎のフライングクロスチョップが2連発で炸裂! たまら
ず佐々木がタッチを求めたところ、保坂はこれを拒否。素晴らしいベタ。これ
から仲間割れしますよって宣言したようなもの。
佐々木と山崎のライバル対決は熱い。だが、体格で勝る佐々木が山崎を圧倒、
タックルで吹っ飛ばす。しかし、佐々木が上から押さえ込んだ一瞬の隙をつい
て、山崎が腕ひしぎ。保坂が一度も出ない間に佐々木がギブアップ。
ここで突然暴れ始める保坂。山崎、南条、市原を次々にビルディングボムで
叩きつけ、止めに入った吾作や佐々木も突き飛ばす。始まった〜。やはりチー
ム改変の時期が来たわけね。しかし、保坂って試合じゃ弱いけど、乱入とか暴
れる時はめたらやたら強かったりする不思議なキャラだよな。去年の水戸で大
仁田救出のために乱入した時なんて1人でTNR全員蹴散らしたんだから。そ
の元気を次は試合で見せてくれってば。
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| 下が相手だとやたら強い吾作 | チーム大VSチーム小 |
第2試合 リッキー・フジ VS スーパー・レザー
いきなり平岩リングアナを追っかけるレザー。そこへリッキーのトペが。こ
の試合は当然客席を暖めるために組まれたものである。観客は逃げまどいなが
ら同時に選手を追いかけるというよくわからないムーヴに入り、ウーロン茶を
浴びて、キャーキャー言うべきだ。で、南側で10分以上存分に暴れまくった
2人はリングに戻り、レスリング。おっと、その前にロックンロールコールを
忘れちゃいけないぜ。
リッキーはレザーの髪を掴んだままロープ上を伝い、イスへのフェースクラ
ッシャーを決めるという新技を披露。しかも「ハッピー・ニューイヤー」の挨
拶付きである。続いてレザーの巨大に決めたカミカゼは見事。一度だけグラジ
をフォールしたことのあるダイビングボディアタックも綺麗だ。レザーのスラ
ッシュバスターにも耐えて拍手を受けたリッキーだが、ネックブリーカードロ
ップからトゥームストンパイルドライバーでフォール負け。
試合後、しばらくリッキーが目をつぶっていたので、心配したのだが、やが
てむっくり起きあがると、くるくる回りながら帰っていきました。
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| 今年初のカミカゼ | これがフィニッシュ |
第3試合 外道、非道 VS 折原昌夫、小野武士
TMの入場時に外道、非道が花道で奇襲。小野を2人がかりで攻める。しか
し、凶暴な折原はさっそくイスを持ち出して挽回、TM2人で外道を潰しにか
かる。鉄柱を使った急所攻め。順番にダブルフットスタンプを落とし、編隊飛
行披露。かっこいいね、トンパンマシンガンズ。
短い場外戦から、非道と折原の頭突き合戦。打ち勝った非道がドロップキッ
クを見舞う。折原を非道が肩車したところに外道のフライングボディアタック。
しかし、外道のトーラスキックが非道に誤爆する場面もあって、場外で折原の
アックスボンバーが非道に炸裂する。どっかのもっさりに見せてやりたいとこ
ろ。TMの2人がかりのパワーボム、折原が抱え上げた非道に小野がスワンダ
イブ延髄ニー。外道組が順番にムーンサ
ルトを折原に見舞うシーンもあったが、外道のスーパーフライを小野がロープ
を揺らせて防ぎ、ロープに股間を打った外道が苦しんでいる間に、折原が非道
をイスへのみちドラでフォール。負けた外道組はイスを持って、引き上げたT
Mを追いかけていった。
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| TNRが奇襲 | 合体殺法 | 非道もちょっとはがんばりました |
第4試合 金村ゆきひろ VS 冬木弘道
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| 閃光ヒットマン保坂 | 必死の反撃 |
入場した金村をなんと保坂が急襲。イスで殴り、トンファーでメッタ打ちに
すると、金村大流血。あわてて冬木が駆けつけると客席から歓声が起きるが、
保坂はひらりと(重そうな)体を翻して、逃げる。いじる側だったTNR、こ
こんとこ妙にいじられているね。金村の流血がひどいため、ここで急に10分
間の休憩に入る。
みんなで集まってごちゃごちゃ喋ってたり、プロレスカード交換したりして
いるうちに、試合が再開となった。
金村は顔の血を拭かずに再登場。入場してきた冬木の顔面に奇襲ドロップキ
ックを見舞い、場外乱闘へ。リング内に戻ると、冬木は厚みで金村を圧倒し、
傷ついた額に指を入れて攻める。早くもラリアット、パワーボム、冬木スペシ
ャル。冬木のイス攻撃に耐えた金村はニールキック、ダイビングラリアット、
バク山スペシャル。しかし、突進したところ、冬木のラリアットをカウンター
で受け、ワキ固めなどで反撃したものの、不意を突いてのラリアットであっさ
りフォール負け。
冬木は中川、外道、非道をリングににあげて、マイク。
「新年あけましておめでとうございます。お陰様で冬木軍プロモーションも2
年。これだけメンバーも増えまして、明日で冬木軍プロモーションは終わりに
します。詳しい事はまた明日」やはり冬木軍、ついに解散なのね。
金村も叫ぶ。「何がFMW機構や。俺は機構の飼い犬にはならへん!」一番
飼い犬らしい奴が何を言うか。大仁田に一番従順だったのはあんただったじゃ
ないか。(^_^;ま、それはいいけど、このカードは去年5月の冬木軍のトーナ
メントでも実現しているが、その時も金村はベストコンディションではなかっ
たんだよね。今回は完全なものが見られると思っていただけに、チーム改変の
ダシの流れに使われてしまったのは、もったいない気もするが。
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| 美しい逆さ押さえ込み(笑) | TNRも新年の挨拶 |
第5試合 ハヤブサ VS 黒田哲広
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| 黒田が足を攻めれば | ハヤブサは腕を |
首都圏では初のシングルマッチである。それゆえファンの期待は高い。短い
グラウンドの後、いきなり飛び出した黒田のラリアット。黒田は定番のアピー
ル付きでハヤブサの足を鉄柱へ打ち付けてゆく。続いて、黒田が4の字固めを
決めると、ハヤブサは裏返し、去年の5・19ハヤブサVS田中のような力の
入った攻防に。ハヤブサは黒田の腕を鉄柱へ叩きつけ、ショルダー式のアーム
ブリーカー。長時間、黒田は腕を痛めつけられる。
スピンキックで黒田を場外に落としたハヤブサはケブラーダを仕掛けるが、
かわされて、ラリアットを受ける。南側通路で黒田の長距離走ラリアット。し
かし、ハヤブサは仰天の一発、南側階段でのフランケンシュタイナー! 黒田
はスタントマンばりの階段落ちである。さらに場外パワーボムの後、イスで生
き埋めにした黒田に、南側の仕切り板を使ったケブラーダ! ハヤブサ、今日
はエクストリームだぜ。夢中でシャッターを切っていた俺は吾作に注意される。
「それ、カメラか?」
「デジカメです」
「デジカメって何?」
まるバカか、てめえは。吾作ごときのせいで、良いシーン撮り損ねた。リン
グ内は沸騰点に近づいてゆく。ハヤブサはフィッシャーマンバスター、タイガ
ードライバー、雪崩式ネックブリーカー。黒田がジャーマン、ドラゴンスープ
レックス、哲っちゃんカッター。ハヤブサは投げっ放しドラゴンスープレック
スで叩きつけてから、掌底を入れ、ついにファイヤーバードスプラッシュ。こ
れを返した黒田に、さらにタイガースープレックス、しかし、コーナーに上っ
たところを黒田に捕らえられて、パワーボムを受ける。黒田のロコモーション
ジャーマンは3発目のドラゴンが崩れて、フォールに結びつかず。
黒田、あとはラリアットを無闇に放っていくが、徹底的に腕でブロックされて、垂
直落下式くどめドライバーの餌食。最後はファルコンアロー。ハヤブサの完勝
である。場内の盛り上がりは凄まじかったが、黒田者のTさんは不満そうな様
子。確かに黒田はハヤブサの域までは、まだ遠いと感じてしまったのが正直な
ところか。今日のベストマッチながら、あえて言えば、もう少し黒田がハヤブ
サを追いつめることができれば、という部分で食い足りなさは残る。
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| ハヤブサの技って本当にエグい | コーナー上のハヤブサを捕らえてPB |
セミファイナル 田中将斗 VS 中川浩二
「アメリカECWでの修行の成果、とくとご覧あれ」
どっかのバカみたいなこと言ってんじゃないよ、平岩。田中に場内は爆発的
な声援。期待感が会場に満ちる。外人さん達からはECWコール。彼ら、2日
の大日本にもいたはず。海外にもダメファンがいたのか。ダメファンは世界共
通の合い言葉である。
しっかし、田中、その体は? ただの分厚さじゃない。もう誰も奴をインデ
ィーの若手なんて目では見ないだろう。そんな大きくしちゃって大丈夫なのか。
ダイナマイト・キッドの前例もあるだけに、ちょっと不安にもなる。
田中、持ち込んだイスでいきなり中川を一撃すると、中川が突然出したエク
スプロイダーも軽く受け流し、コーナーの中川に迫力満点の弾丸エルボー。リ
バーススイングDDTの体勢で「ダイヤモンドカッター」とアピールしてから、
前方に一回転。中川の顎を砕いて、そのままフォール。3カウント! まさに
秒殺だ。観客は驚きと歓喜を持って田中に声をかける。
田中はかつてのシャイな感じなど微塵もなく、自信たっぷりにアピール(な
ぜか関西弁)。アメリカで手に入れたものは巨大なボディだけではないようで
ある。
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| 中川の今後は・・・? | 筋肉の鎧 |
メインイベント ミスター雁之助 VS 大矢剛功<オーバー・ザ・トップ決勝戦>
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| 力の入ったレスリング | 今日も猪木か |
「男の中の男」Tシャツを着て入場の大矢。Goodデザインね。じっくり組み
合う2人。丁寧なグラウンドの攻防へ。場内も水を打ったようである。大仁田
FMW時代、さんざん大矢に遊ばれた雁之助だが、今でもこうした攻防では大
矢がリードしているようだ。雁之助もよくついていってはいるものの、大矢が
余裕を持って切り返し、上になっていく。腕を取って締め上げ、時には時分の
肘を相手の顔に押し当てるパンクラッシュな攻め。これ、やってみるとわかる
けど、けっこう痛いんだよ。
なんと雁之助は前からの急所蹴りで反撃。場外でイス攻撃だ。もう悪い坊主
になったのであろうか? 大矢、流血である。リング内でも額の傷口にパンチ。
対して、大矢は闘魂が宿ったナックルパートを連発し、腕ひしぎを決める。大
矢の延髄斬り2連発、バックドロップから試合が動き始めるが、さっぱり盛り
上がらない館内。雁之助の動きがどうにも悪すぎる。どちらかと言えば、雁之
助を応援していたのだが、今日の調子の雁之助には優勝してほしくないと思う。
大矢はダイビングニーから、弓矢固め。大矢の延髄切りをよけて、雁之助は
ラリアット、卍固め、バックドロップ、ノーザンライトスープレックスを決め
る。しかし、とにかく重い。それに比べて、大矢のバックドロップに入る時の
早さ。雪崩式バックドロップも見舞い、腕ひしぎ、脇固め。雁之助のスクール
ボーイも一瞬のうちに裏十字で切り返し、実質的に試合はこれで決まっていた。
雁之助の雪崩式ブレーンバスター。続いて、ファイヤーサンダーをかけよう
としたところ、かわされて、大矢のグラウンドコブラで冷や汗をかく。去年を
締めた大矢のジャーマンスープレックス! これをクリアーした雁之助は涅槃
に行くが、ロープに逃げられ、この技、ついに破られる。しかし、ファイヤー
サンダー、念仏パワーボムと技を重ね、力づくで涅槃。大矢、これでギブアッ
プ。流れも何もない強引な勝利じゃないか。はっきり言って、プロレス的には
大矢の完勝である。
「田中ー!」雁之助はマイクを握り、かねてからの意中の人の田中に呼びかけ
た。しかし、出てきたのは金村。反対側から雁之助の背後に襲いかかる。する
と、また保坂。トンファーで金村を殴り、雁之助と2人がかりのパワーボム。
救出に入った冬木をも弱点の腹をトンファーで打つ。ハヤブサと大矢が飛び込
み、ハヤブサがマイクで全員を一喝。
「ふざけるな、お前ら。個人闘争と個人的な遺恨をいっしょにすんじゃねえ」
そして、がなる大矢に向かって、「必ずあんたときちんともう一回決着をつ
ける」。その隙をついた黒田がハヤブサにラリアットを見舞う。
「ハヤブサ、いつまでもきれい事いってんじゃねえ。この俺が時代を変える。
みんなのために。FMWを引っ張るのはこの俺だ」
今度は田中まで登場して、黒田に向けてマイク。
「黒田。お前、おもしろいこと言うやねえか。そういう気持があんのやったら
な、俺と一緒にやってみへんか。どうだ? あの6人でやってた頃、思い出せ。
ここ、面白くするんやったら、おれとお前が組まんといかんのとちゃうか?」
黒田へのラブコールだが、黒田は「お前も敵だ」と拒否。田中はハヤブサに
も「江崎さん、あんたが出来なかった事をここでやってやるからよ」。ハヤブ
サはふてくされたように引き上げていった。
今日は田中が締め。「FMWを面白くしたいのなら、俺についてこい。今年
は俺が引っ張ったるからよお」
新年から混沌のFMW。いつもながらFMWはこういうの好きね。
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| これはきつい。今日の大矢は強かった | フィニッシュの涅槃 |
メインが重かったけど、全体的に力の入った興行で個人的には満足。ハヤブ
サVS黒田がとても良かったし、田中はいろんな意味で衝撃的だった。メイン
は今までFMWの本流にいなかった2人が勝ち上がり、しかも雁之助が未だ病
み上がりの感があったことで、決勝戦の重みみたいなものがどこかに吹っ飛ん
でしまったように思う。勝ち抜いて優勝した雁之助にほとんどハクがついてい
ないということが一番の問題である。今の雁之助が冬木に挑戦して勝てる感じ
がするかというと、首を傾けざるを得ない。
試合後は天狗で酒。こんなにしょっちゅう来るなら、会員割引とかないかね。
でも、ここ、店員の態度があまりよくないし。馴染みの店みたいなのを水道橋
で探すべきなのか。やはり、バー由美? ううん、それはちょっと。
プロレスファン向けのおいしくて安くて落ち着く店、求む。