Vol.79
「芸能交流時代の提言 〜アジア芸能交流7」

*海外旅行者と語学学習者のマッチング
人的往来、年間200 万人。そんな「大・往来時代」にあわせて提言したいことがある。
ポイントは海外旅行者と語学学習者の出会いだ。ビジネスマンはともかく、一般的に旅行者たちが接する現地人といえば、ガイドさんや店員どまりというのが現状である。私自身、現地に友人ができるまでは、出会いの機会を求めて若者の街をうろついたものだ。幸いにソウルには既に新村に日本語カフェがあり、日本語学習中の女子大生と言葉をかわすことができたのだが、日本にこのような場はないものだろうか。「アジアの文化交流ができる場所になることを願う」として東京の白金に2006年、オープンしたのは、かのペ・ヨンジュンがプロデュースするレストランだ。理念に大いに共感するのだが、こちらの店は人気がありすぎて、開店2 ヵ月先まで予約がいっぱいだとか。もう少し時間が必要である。何か日本の韓国ファンが気軽に訪れ、実際に韓国人に出会うことのできる場というものはないものか。
そもそも語学学習者も、海外旅行者も、お互いに相手の国に少なからぬ関心がある。語学学習者はネイティブスピーカーを求めて。海外旅行者は現地人の友達を探して。そんな二つのニーズをつなげれば。たとえば日韓交流のウェブサイトが掲示板を設け、日本人の韓国語学習者と韓国人の旅行者の相互に開放できないものだろうか。
*IT交流時代のリンク集
インターネットというツールは、国際交流の次世代を担うものとして、見逃すことができない。エアメールや国際電話代も必要とせず、語学の壁さえ越えられれば、一気に両国の距離を縮めることができるためだ。
そんなIT交流時代。さきのような掲示板に並んで、もうひとつ望まれるのが「日韓2 ケ国語リンク集」である。既に日韓には、2 ケ国語版をもつ国際交流サイトは点在しており、活用価値が高いものの、日韓の一般市民を結ぶチャンスとなるほど、力がひとつに集まっていない。何か、あるウェブサイトに接続すれば、一気に母国語で相手の国をネットサーフィンできるというものはないものだろうか。あえてこう提案申し上げるのは、翻訳ソフトには限界があり、また相手の国のウェブサイトを閲覧できるほどの語学習得者には限りがあるためである。
作業としては、両国とも2 ヵ国語を持つサイトをピックアップする。これらにメールで一括に連絡をとり、リンクの許可を得たうえで、リンク集を作ればいい。ここまでは作業の半分であり、たいせつなのは、これを両国に関心のある一般市民に知らせるべく、大手メディア、たとえば新聞のウェブサイトなどで紹介記事を書いてもらうということだ。読者が気軽に接続できるようになれば、飛躍的に交流の幅が広がることだろう。
余談だが、「IT・情報化」これは韓国人のイメージする母国の第2 位に入るものであり、また外国人がイメージする韓国としても第3 位にあげられるものだ。「IT」−−こうした絶好の条件を、国際交流も活用しない手はないだろう。
*韓流は韓国の顔
ところで先ほど述べた韓国のイメージについて、もう少し紹介してみよう。「中国・日本と比べたとき、韓国のイメージはどんなものか」(韓国イメージコミュニケーション研究院調査)という質問に対して「韓流」は、韓国人が筆頭に挙げている(33%)。外国人全般は「分断国家」(42%)を第1 に挙げたものの、第2 位に「韓流」(24%)をイメージしている。アジア系外国人に限れば、この「韓流」は、第1 位に挙げられたようだ。もはや韓流とは、韓国の海外に向けた顔とも言えるものとなった。
こうした影響もあり、特にアジアの中でも我が国の韓国に対する印象は、きわめて明るいものとなった。日韓によるサッカー・ワールドカップ共催の2002年、世論調査(内閣府発表)によれば、「日韓関係が良好だと思う」と回答した人が、過去最高の58%を記録。「韓国に親しみを感じる」人の割合も過去最高の54%となっている。
その後「日韓友情年2005」にかけて、日韓交流事業は隆盛をみた。日本では437 件、韓国では196 件、両国開催では58件のイベントがおこなわれ、交流深まった。そして現在。2006年の世論調査(内閣府発表)では「韓国に親しみを感じる」人の割合が依然として約49%と半数近くを保っている。
これこそ冒頭で述べたソフト・パワーの勝利と言えるだろう。しかも喜ぶべきは、韓国文化の一方的な進出でなく、日本文化もまた「日流」として受けいれられているという、双方向性が観察されることだ。これは文化交流の形態として、きわめて健全な形と言える。ようやく日韓の交流が良好なバランスを保つようになってきた。
両国の明るい未来に期待したい。
(07/12)
※写真;人的往来は年間200万人
*参考文献;詳細はこちら
バックナンバー
78「韓流のもたらす果実 〜アジア芸能交流6」
77「寒流とは言わせない 〜アジア芸能交流5」
76「韓流、はるばるインドシナ半島に至る 〜アジア芸能交流4」
75「韓流、台湾に至る 〜アジア芸能交流3」
74「韓流の源流は映画にあり 〜アジア芸能交流2」
73「『韓流』ブームの発生 〜アジア芸能交流1」
72「逆行する人的移動 〜アジア大往来時代その7」
71「移民たちの自由往来 〜アジア大往来時代その6」
70「最高学府2大学の選択 〜アジア大往来時代その5」
69「アジア学生は世界へ向かう 〜アジア大往来時代その4」
68「インフラの整備 〜アジア大往来時代その3」
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56「それぞれのアジア〜アジアの精神的範囲」
55「ゆとりのくに〜台湾の都市風景」
54「アジアへのアプローチ3 〜東アジア共同体時代への対応」
53「アジアへのアプローチ2 〜フロンティアの消失?」
52「アジアへのアプローチ1 〜ブーム式の消費」
51「共存のすべ、協調性のひとびと 〜東・東南アジアの共通性3'」
50「共存のすべ、協調性のひとびと 〜東・東南アジアの共通性3'」
49「集住のすべ、集団主義のひとびと 〜東・東南アジアの共通性3」
48「集住のすべ、集団主義のひとびと 〜東・東南アジアの共通性2」
47「水と緑の大地 〜東・東南アジアの共通性1」
46「アイデンティティーとしてのアジア 〜アジアの魅力」
45「ヒトの往来、モノの交流 〜お隣のアジア人」
44「留学生10万人時代 〜お隣のアジア人」
43「等身大へのしたて直し 〜アジア現代文化らしさの萌芽3」
42「大いなる風景のなかで 〜アジア現代文化≠轤オさの萌芽2」
41「アジア現代文化≠轤オさの萌芽」
40「特効薬としてのアジア」
39「亜洲(アジア)とともに、アジア人として」
38「上海と台北 〜ふたつのパワースポット」
37「共通アイデンティティーの獲得」
36「折衷≠ニいう才能〜汎アジア表象文化の萌芽3」
35;「タイムラグののち花開くもの〜汎アジア表象文化の萌2」
34「グローバル画一化とのせめぎあい〜汎アジア表象文化の萌芽1
33「受信から発信へ〜アジア都市表象文化のなかで3」
32「「国境を越えた、現代文化の相互作用〜アジア都市表象文化のなかで2」」
31「越境放送の力〜アジア都市表象文化のなかで1」
30「ネットワーク型の交流 〜アジアのリーダーシップとは」
29「共生・繁栄の試み 〜東アジア共同体1」
28「アジアのグラデーション 〜東アジア共同体1」
27「アジア文化のメジャー化 その1 〜日台交流その2〜」(アジア)
26「南隣とのおつきあい」(台湾)
25「オーガニックなエイジア」(アジア)
24「精神世界≠フ母なる大地」(アジア)
23「解決のキーを秘めた大地」(アジア)
22「今だからできること」(アジア)
21「自律の“背筋”としての機能」(アジア)
20「等身大でいられるのなら」(台湾と大陸中国2)
19「プラスサムの追求」(台湾と大陸中国1)
18「護りのちから」(北朝鮮2)
17「マインド・コントロールとメディア・コントロール」(北朝鮮1)

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