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新・アジア考

Vol.122
「1900万人の食糧が消えた
〜“衛星”ミサイル発射実験をめぐって」

                                   


*1900万人の食糧1年分

 今年4月に北の平安北道のトンチャンリ(東倉里)から、衛星と称する長距離弾道ミサイルが発射されたのち、81秒後に高度120キロの高さで爆発、空中分解した件について。

 韓国の情報当局の試算によれば、ミサイル発射の費用は8億5000万ドル(約690億円)。これは食糧難にあえぐ北が、中国産のトウモロコシを250万トン購入できる額であるという。北の住民の食糧配給が1日あたり355グラムであることを考えあわせると、これはなんと1900万人の1年分の食糧に相当する。さらにそれは、韓国軍関係者によれば、北が食糧不足であるとされている年間40万トン分を、6年続けて購入できる額でもあるという。

 同時にそれは、韓国貿易振興公社によれば、北の年間輸出額の56パーセント、半分以上に相当もする。辺境での改革開放で必死に稼いだ額が、一瞬にして無と化した…。

*休戦でなく終戦へ

 しかも今回の発射実験によって、米国からの穀物支援24万トンまでもが破棄されることとなった。それほどまでのリスクをおって、強行することであったのだろうか。

 グローバル化の時代、ミサイル発射実験は1発では済まされない。周辺諸国への波及は深刻なものであった。日本各地への自衛隊のPAC3の配備、イージス艦の出動、J-ALARTシステムの整備など。ひいては、発射対応をめぐる防衛大臣の引責退任の可能性まで伴うものだった。北というツボ1点が、日米韓と各国に負の形で影響を及ぼしていることを実感する。

 北にはぜひ、本件ゆえに、再実験にはしるのでなく、この教訓をもとに、先軍思想を改革開放路線に転換するきっかけをつかんでもらいたいと切に願う。

 そもそも米国の脅威に対抗してミサイルを開発しているというのであれば、まず米韓連合軍と闘った朝鮮戦争そのものを、現在の休戦状態でなく、終戦にもっていかなければならない。国連の制裁うんぬんの前に、その交渉を進めるのが先決ではないだろうか。

 せめてミサイルの飛行コースが、日本列島直撃を避け、難易度が比較的、高いと言われている南下方向へと切りかえられたのは、ささやかな慈悲であったのだろうか。つまりキム・ジョンウン第一書記の故・母親が元・在日朝鮮人であり、母親の故郷へ銃口を向けまいという思いやりだったのか??(結)

                       (12/04)

※写真;北の国土。

※参考文献;詳細はこちら




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