Vol.32
「国境を越えた、現代文化の相互作用
〜アジア都市表象文化のなかで」
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| 漢民族の伝統服、台湾服の生地を生かしたスタイル。(台北にて) |
*中華圏の影響力
放送は各国の文化情報やライフスタイルを最も大量・瞬時かつコンパクトに発信できる有効な手段だろう。番組で扱われる内容が他のメディ
アに比べて単純明快であるために、国境を越えやすいという特徴をも有している。ドラマにしてもバラエティーにしても音楽番組にしても、理解するうえで宗教・思想色や民族・伝統という歴史的背景を必要としないからだ。
具体的に越境放送が一役買った文化越境の例として、香港ファッションが他のアジア地域に普及したことをあげたい。台湾では日本のファッションが注目されているが(雑誌ノンノにちなんで“農農”まで出版された)が、必ずしも日本一辺倒というわけではない。たとえば90年代なかばの流行服は日本以上に直線的なデザインで、日本で流行していたモノトーン志向にとどまらず、漢民族の好む赤を積極的に配した、鮮やかな色あいのファッションであった。逆に現在では、台湾ファッション業界が、大陸中国・とくに上海の流行に影響を及ぼしつつあるようだ。
またマレーシアの首都の衛星都市クランで発見したある華人向けディスコは、BGMも客のファッションも完全に中華ナイズ(恐らく香港を見本にしたものだろう)されており、場内に設置されたVTRではスターTVの中国語放送が流れ、音楽は香港ポップスが中心となっていた。

(台湾ポップス界の新星・シウランマーヤの
「NeverLoveAgain」は、先住民の歌唱力に
中華ポップス特有の歌いこみが響きあい
秀逸な作品。彼女は2004年にレコード大賞
台湾語部門で受賞をはたしている。)
ファッションだけでなく音楽業界でも同様の相互作用がみられる。香港を中心に中国・台湾・シンガポールなどの音楽界は、華語ポップスの市場として一体化の傾向がみられる。そもそも香港は域内市場が狭いため、早くから海外の中華圏をターゲットに標準語歌詞の曲を売り出していた。そこに衛星放送でアジア音楽チャンネルが登場し、また香港音楽雑誌のアジア進出が進んで、華語ポップスは国境を越えて普及し、また中華民族系音楽界相互の交流もすすんだ。
放送ではなく出版−なかでも漫画界で越境の動きがすすみつつある。漫画は登場人物の顔かたちや言語を抽象化・単純化することによって物語を構成するのが特徴であるため、単純明快で万人に理解可能となり、国境を越えた人々にもアピールする力を有する。日本の漫画やアニメ・“ドラえもん”や“ドラゴンボール”がアジアで広く愛読されていることは有名である。しかし漫画の越境は、日本がアジア漫画市場を寡占した動きにとどまらず、各国からも行われている。例えば90年代なかばには、台湾・香港・韓国の漫画家が日本の漫画界に進出するといった現象も見られた。日本の大手コミック誌・モーニングに呉世浩・黄美那・鄭問などの作家が登場したのは、ご記憶のかたもいらっしゃるのではないだろうか。
(つづく)
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バックナンバー;
31「越境放送の力〜アジア都市表象文化のなかで」
30「ネットワーク型の交流 〜アジアのリーダーシップとは」
29「共生・繁栄の試み 〜東アジア共同体1」
28「アジアのグラデーション 〜東アジア共同体1」
27「アジア文化のメジャー化 その1 〜日台交流その2〜」(アジア)
26「南隣とのおつきあい」(台湾)
25「オーガニックなエイジア」(アジア)
24「精神世界≠フ母なる大地」(アジア)
23「解決のキーを秘めた大地」(アジア)
22「今だからできること」(アジア)
21「自律の“背筋”としての機能」(アジア)
20「等身大でいられるのなら」(台湾と大陸中国2)
19「プラスサムの追求」(台湾と大陸中国1)
18「護りのちから」(北朝鮮2)
17「マインド・コントロールとメディア・コントロール」(北朝鮮1)

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