月刊モダネシア-TOPに戻る
新・アジア考 ネット自由詩 日韓交流 新刊紹介 既刊紹介 連載紹介 Profile
新・アジア考

Vol.33
「受信から発信へ
      〜アジア都市表象文化のなかで」




日本のキャラクターが特に受けいれられたのは、台湾にて。銀行の通帳やカードに登場(萬通商業銀行)。
 かつて日本は“文化侵略”に配慮していたことがある。このテーマ自体、異文化交流につきまとう大きな問題であり、先進的な要素が流入した当初、アジア各国で論議を呼んだ。

 こうした流れのなかで、衛星放送といった越境放送も“文化侵略”であると非難されることとなった。NHKのスピルオーバーが90年代前半、韓国から抗議を受けたことは記憶に新しい。特に日本は第二次大戦の記憶が残る各国に、日本的な要素を持ちこむことも憚った。

 そのため直接各国国民に空から放送するのではなく、間接的にいったん各地のテレビ局を経由する配信の形をとった。スターTVや中国電子台等にアニメやトレンディードラマを提供していたのだが、その一方で直接の海外発信には香港に比べ、大幅な遅れをとったのである。

 前述の衛星放送事業が好例だ。90年代後半の日本は、一国あたりの海外向け放送時間が、香港は勿論中国よりも少ない。また95年冬のアジア初・国際番組見本市は、テレビ技術先進国の日本ではなく、香港で開催されている。世界が日本より香港を中心としたテレビビジネスに、強い関心を寄せている表れだろう。特に香港はスターTVの本拠地であるばかりでなく、地場の香港映画やショービジネス、テレビ番組等の蓄積を持つ上、台湾と中国大陸の双方から映像ソフトを調達でき、中華圏を中心に国際化を進めている。またイギリスの植民地下にある関係で、衛星関連の法律規制が欧米に似て緩いというメリットも持つ。

 だがアジア各国で自国の文化が息をふきかえす兆しが見えたため、文化侵略の議論も21世紀に入るころには、もはや下火となった。あの韓国でさえ、“ドラマなどを通して自国の文化を世界に紹介する手段として、越境放送を積極的に利用していきたい”との考えを示し、更にNHKの個人受信を許可する時勢だ。
 
 今や世界は急速にボーダーレス化と相互依存の方向にあり、日本がアジアへ開いてもよい時期が訪れている。経済は勿論、文化面においても同様だ。また読売新聞の世界の識者に対する調査(94年実施)によれば、日本の一般的イメージは“内向的で勤勉な経済大国”であり“21世紀の日本に求める姿”のトップとして「開放的な国」が挙げられている。

 世界的な潮流として“アジアの時代”が到来し、アジアは経済のみならず、文化レベルで様々な交流を活発におこなうようになった。日本も 汎アジア的都市民俗文化を共有するアジアの一員として、文化の発信・受信に積極的に関与し、相互交流を深めてゆきたいところである。



                                          (96)



バックナンバー;
32「「国境を越えた、現代文化の相互作用〜アジア都市表象文化のなかで」」
31「越境放送の力〜アジア都市表象文化のなかで」
30「ネットワーク型の交流 〜アジアのリーダーシップとは」
29「共生・繁栄の試み 〜東アジア共同体1」
28「アジアのグラデーション  〜東アジア共同体1」
27「アジア文化のメジャー化 その1 〜日台交流その2〜」(アジア)
26「南隣とのおつきあい」(台湾)
25「オーガニックなエイジア」(アジア)
24「精神世界≠フ母なる大地」(アジア)
23「解決のキーを秘めた大地」(アジア)
22「今だからできること」(アジア)
21「自律の“背筋”としての機能」(アジア)
20「等身大でいられるのなら」(台湾と大陸中国2)
19「プラスサムの追求」(台湾と大陸中国1)
18「護りのちから」(北朝鮮2)
17「マインド・コントロールとメディア・コントロール」(北朝鮮1)

PageTop

  Mail   アジア好きのための掲示板 Copyright(C) 2001-2002 Mizuho Asna