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新・アジア考

Vol.52
「アジアへのアプローチ1
      〜ブーム式の消費」

                                   
                                   人気の台湾茶。ブームの後に残ったのは、日本の生活文化としてのプレゼンス


*アジア自体の変化とともに

 近年、「東アジア共同体」という用語を耳にする機会が、増えてきたのではないだろうか。

 ここで意味するアジアとは、たとえば好調な経済成長率を誇り、海外の投資家のまなざしを集める、30億人の巨大市場。または経済発展の軸をひきつづき内包する、リッチな地域だ。こうしたアジア観に、あなたは、とまどいを覚えるだろうか、それとも納得するだろうか。

 EUばりの地域統合という、今世紀の新潮流が、そろそろアジアにおいても、表面化しようとしている現在。アジアそのものの変化とともに、この地域に関わる我々もまた、ありかたを問いなおされつつあるように思われてならない。

*アジア風物の消費層

 あなたにとってのアジアとは?

 かつて拙著(『アジアンの世紀』のなかで、新旧両世代の傾向を大別したことがある。新世代については、ひと昔、前のエスニック・ブームから、現在の韓流・台流・華流に至るまでを、部外者でなく同時代に生きる者として体感した人々が、まず念頭にあがるだろう。たとえばアジアンポップスやエンターテイメント映画・ドラマのファンなど、興味をもった対象が、結果的にアジア風だったという「サブカルチャー享受型」。または欧米の視線を借りた、アジアのエスニックに関心を抱く「東洋趣味型」、こちらはOLなど女性を享受層とし、女性ファッション雑誌・サイトが流行を牽引していることから、筆者は「小粋でソフトなアジアン」と称したことがある。

 これらの層のムーブメントは、アジアの風物を、PRや商品化の段階で日本仕様に加工、ときには「帰化」させることすらある。もはやアジアでなく「アジアン」というジャンル、日本への外来文化とでも言うべきものを、サブカルチャーの世界に浸透させたとでも言えようか。こうしたアジアへのアプローチ方法に対しては、従来のアジア派から、賛否両論があがっていることだろう。アジアが消費の対象と化している、たんなる一過性のブームとして使い捨てされる、と。

 個人的に筆者は、アジアがマイナーであった時代の苦渋をなめたことのあるせいか、たとえブームと言えども、去った後に残る「何か」にもまた、期待を寄せたい。無意識のア〜観の変化、ひそやかな異文化理解、または輸出元での再評価−−こうした無形の何かである。実際に、たとえば台湾の烏龍茶、中華の杏仁豆腐、韓国の恋愛物語。いずれも、ひと昔前であれば、うさん臭さとともに排除されたであろう風物たちが、今ではなにげなく日本の日常生活を彩るようになった。しかもこうした風物という対象は、アジア各国の都市文化が充実のさなかにあることから、無尽蔵といっても過言でない。

 ただし前述のブーム層たちは、飽くることなき、資本主義世代の申し子として、アジアの風物を消費しつづけるのみにとどまるのか。それとも裾野のどこからか、「国際理解」「国際交流」や「新・アジア観の構築」といった動きが芽生えるのか。渦中にある我々が、まさに問われている事柄といえよう。

             (05/12 )



 



(つづく)




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