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新・アジア考

Vol.53
「アジアへのアプローチ3
      〜アジアへのアプローチ3      〜東アジア共同体時代への対応」

                                   
東アジアの奇跡の成果は、否定しようにも否定されるものでない。(写真は台北市)


*もうひとつのスタンス  あなたにとってのアジアとは。

 これまで各種のスタンスを紹介してきたが、いずれにも該当しないかた。案外、あなたは隠れ「アジア主義者」なのか?? 

 かつて対アジア・アプローチの方法として「半世紀前の経験を意識する派」というものを左右込みで指摘したことがあるのだが、そのうち右派にあたるのが、「興亜派」である。以下は筆者が生まれる前の話であるため、他の識者による分析をふまえざるをえないのが恐縮だが、彼らは安保闘争前まで、一種の団体として機能をはたしていたという。その後、国粋系は右翼団体として残るか、逆に国際派は米国派に追従するというかたちで拡散、現在でも亜細亜を掲げて活動するグループは、残念ながらほとんど表舞台に現れていない。

 政治的・思想的な存在価値や評価については他者に任せるとして、筆者は「議論・経験の蓄積」という点から、彼らが今後、新たな存在意義を見出すのではないかと予想している。なぜ、今。それは現在、始動しつつある東アジア共同体が、「究極」に志していた体制が、半世紀前のアジア主義者たちの理想と重なりあう点が決して少なくないためだ。(ここで究極と記したのは、少なくとも現段階では「当時のアジアのありかたは日本の国益のため」という解釈が一般的となっており、その先の志、多くの国内外の志士たちが命をかけた「協和」「興亜」といった理想が、現在では見落とされがちであることによる。)

 残念ながら現在、来たるべき共同体と前世紀前半のアジア主義者の実績との関連についての議論は、諸々の事情から、ほとんど封印されており、「彼ら」の蓄積を活用できない状態である。まるで牽制のように、東アジア・サミットが開催された二OO五年、直前まで中韓が率先して歴史問題を煽動したとう国際問題を思いだしていただければと思う。

*経済学の視点の再評価

 こうした過去との関連とは全く別に、やはり同じく、来たるべき東アジア共同体時代に向けて、再評価されるべきアプローチ方法というものがある。

 アジア経済といえば、おおまかすぎるだろうか。高度成長期以前は、「開発経済学」として、発展の段階を分析してきたもの。また1980年代以降は、「東ア〜の奇跡」という名で、世界を驚かせた、一連の経済発展波及システムである。これらの経済論は、1997年の一時的な金融危機によって否定されたままの感があるのだが、現実のアジア経済は、わずか2 〜3 年で復調、さらに世界最大の経済統合市場として、現在、共同体を形成しつつある。成長の核は、ひきつづき中国か、それともインドか。日本も含めたアジア・ビジネスは、いまや製造業からITへ。ひきつづき活況を呈しているのだ。共同体時代に備え、次なる議論の登場が、待たれている。

 以上、連載3回をかけてアジアへのアプローチ、新旧・左右さまざまな方法を紹介してきた。いずれにしてもアジアの変身、我々の想像を上回るスピードを前に、ありかたを問いなおされているといえよう。たとえばブーム派たちは、消費の先に生まれるべき価値、その可能性を(連載先々回参照)。また清貧アジアを好んだ派は、視点の縮尺の転換を(連載先回参照)。さらに興亜派および経済学派は、東アジア共同体時代への対応を。

 そろそろ21世紀前半版へと、アジア観を更新すべき現在。これらの課題を、自戒もふくめた問題提起として、あらためて確認しておきたい。

            (05/12 )



(つづく)






バックナンバー

53「アジアへのアプローチ2 〜フロンティアの消失?」
52「アジアへのアプローチ1 〜ブーム式の消費」
51「共存のすべ、協調性のひとびと 〜東・東南アジアの共通性3'」
50「共存のすべ、協調性のひとびと 〜東・東南アジアの共通性3'」
49「集住のすべ、集団主義のひとびと 〜東・東南アジアの共通性3」
48「集住のすべ、集団主義のひとびと 〜東・東南アジアの共通性2」
47「水と緑の大地 〜東・東南アジアの共通性1」
46「アイデンティティーとしてのアジア 〜アジアの魅力」
45「ヒトの往来、モノの交流 〜お隣のアジア人」
44「留学生10万人時代 〜お隣のアジア人」
43「等身大へのしたて直し 〜アジア現代文化らしさの萌芽3」
42「大いなる風景のなかで 〜アジア現代文化≠轤オさの萌芽2」
41「アジア現代文化≠轤オさの萌芽」
40「特効薬としてのアジア」
39
「亜洲(アジア)とともに、アジア人として」
38「上海と台北 〜ふたつのパワースポット」
37「共通アイデンティティーの獲得」
36
「折衷≠ニいう才能〜汎アジア表象文化の萌芽3」
35
;「タイムラグののち花開くもの〜汎アジア表象文化の萌2」
34「グローバル画一化とのせめぎあい〜汎アジア表象文化の萌芽1
33「受信から発信へ〜アジア都市表象文化のなかで3」
32「「国境を越えた、現代文化の相互作用〜アジア都市表象文化のなかで2」」
31「越境放送の力〜アジア都市表象文化のなかで1」
30「ネットワーク型の交流 〜アジアのリーダーシップとは」
29「共生・繁栄の試み 〜東アジア共同体1」
28「アジアのグラデーション  〜東アジア共同体1」
27「アジア文化のメジャー化 その1 〜日台交流その2〜」(アジア)
26「南隣とのおつきあい」(台湾)
25「オーガニックなエイジア」(アジア)
24「精神世界≠フ母なる大地」(アジア)
23「解決のキーを秘めた大地」(アジア)
22「今だからできること」(アジア)
21「自律の“背筋”としての機能」(アジア)
20「等身大でいられるのなら」(台湾と大陸中国2)
19「プラスサムの追求」(台湾と大陸中国1)
18「護りのちから」(北朝鮮2)
17「マインド・コントロールとメディア・コントロール」(北朝鮮1)

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