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新・アジア考

Vol.68
「インフラの整備
 〜アジア大往来時代その3」

                                   


*自称ハブ空港、続々

 総工費のうち47パーセントを円借款で補って2006年に開港したのが、タイのスワンナープ空港だ。利用者の見込みは年間4500万人。また1つ、アジアのハブを名乗りでる空港が登場した。この空港は、面積が成田空港の約3倍、ドンムアン旧空港の5倍におよぶ。ターミナルビルは1つの建物としては世界最大の56万平方メートルを誇る。(ちなみにドンムアン空港のほうは、今後はチャーター便用の空港や修理場として機能するという。)

 どうも東〜東南アジアのあちこちでハブ空港の名前を聞くようになった気がする、あなた。その記憶は正しい。

 しかも空港の質も決して見劣りするものでない。空港サービス品質国際会議で、世界3位となったのが、マレーシアの新空港、クアラルンプール空港。では第2位は。シンガポールのチャンギ空港(新ターミナルを増築中)。同率2位が香港の新空港、チェックラップコック国際空港。では1位は! もはや成田をあげる元気のあるかたは、いらっしゃらないだろう。トップは韓国の仁川(インチョン)国際空港であったという。そればかりでない。英国でおこなわれた「世界空港ラウンジ評価」でも、アジア仁川空港は、アジア太平洋地域109 個のラウンジで最優秀を評価された。

 ハード面だけでない、ソフト面の航空便のほうは。アジアの航空地図を変えたというほど、格安航空会社が急増している。たとえばマレーシアのエア・アジアやファイアーフライ、シンガポールのタイガー航空、タイのバンコク航空、中国の春秋航空など。乗客数は、2004年に比べて5倍近い数に達している。輸送シェアは2010年に2割まで高まる見通しだ。格安ならではの新しいサービスを提供しているのが、エア・アジア。プラス料金を払い、登場口の列に並べば、早いもの勝ちで好みの座席を選べるというものだ。

 世界一ののっぽビル競争で、マレーシアのペトロナス・ツインタワーから、台北の101ビルへとトップ交代がなされたように、東〜東南アジアはまだまだ元気である。

*もっと身近に

 ところで近年、日韓の空港路線が増加している。日韓の間でビザ免除の処置がなされたこともあり、韓国の空港各社が日本行きの新規路線を就航させているのだ。その核は仁川空港ばかりでない。国内線向けの金浦空港が復活しつつある。「国際短距離シャトル空港」をめざしているというのだ。現在、中国行きの需要が増えていることが背景にある。(中国に入国する外国人として、従来は日本人が首位であったところが、2005年に韓国がトップにおどりでた。)ちょうど東京の羽田空港が、成田空港を国際空港の中心としながらも、かつては台北の桃園国際空港と、現在では金浦空港と結ばれ、さらに中国行きも検討中であるさまと重なりあう。ちなみに中国との間には、既に日本国内14都市が中国の30都市に毎週400 以上の便が就航している。

 そんな日本は、現在、来日をうながす「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を2003年よりうちだしている。なにせ訪問者に比べて渡航者が3倍(2002年)と両者が大きくアンバランスなのだ。

 それでも来日してくださる外国人のうち、最多の第1位は韓国からの236 万人。これは韓国人に対してノービザの措置がとられたことや、円安ウォン高も影響してのことだろう。なぜ免除となったかについては、竹島問題、教科書問題、小泉首相の靖国神社参拝など政治的に悪化した日韓関係を改善するためであったと言われている。

 では入国者の第2位は。台湾からの135 万2478人(いずれも2006年)。こちらも台湾人に対するビザ免除が追い風となっている。また「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の親善大使に台湾ではトップモデルの林志玲が事故による大怪我をおして3年間、務めつづけていたことも大きい(2007年に交代)。ビザ免除ばかりでない。台湾の運転免許証を日本でも使えるようにという声があがっている。雪に憧れ北海道をおとずれる台湾人旅行者は少なくない。そんな北海道が、お得意さまである台湾人がレンタカーで旅行できるようにと、働きかけをおこなっているためだ。

 そんな北海道の地で、日・中・韓の参加国の観光担当相が集まり、2005年に1200万人だった観光交流の規模を、2010年までに1700万人に増やすことで合意。交流・協力に関する基本的な枠組みとして「北海道宣言」を発し、また「日中韓観光交流計画」も採択した。

 大往来時代。その担い手は、まぎれもなく東アジアの人々だ。現在、建設されつつある「東アジア共同体」は、人的往来の面ですでに、EUに次ぐ規模と自由度をもちあわせているように思われる。  あなたもその1人かもしれない。

               (07/05 )

               (つづく)

※写真;仁川空港のビルは圧倒的な大きさ

*参考文献;詳細はこちら




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