Vol.77
「寒流とは言わせない 〜アジア芸能交流5」

*経済効果は1430億円
韓流の経済効果は2004年だけでもなんと約1430億円に達する−−そんな計算がある(韓国貿易協会貿易研究所・算出)。
アジア各地で韓国文化のコンテンツが受け入れられた結果は、金額的にも相当なものだった。これは直接の作品輸入に加えて、韓流によって増加した訪韓旅行者などから計算したものだ。その総額は、韓国のGDPを0。18%も押しあげたという。内訳は、韓流関連商品が49%、観光が44%、映画&放送プログラムが7 %であった。とりわけ映画&放送プログラムの伸びがすさまじく、映画の輸出額は前年比べ88%増、ドラマは70%増を記録したという。
今や映画・音楽・放送・ゲームといったエンターテイメント産業は、年平均の成長率が全体で23%に達しており、産業界の7 大産業の平均成長率3 %をはるかにしのぐ値を示すようになった。
ちなみに輸出相手国は大陸中国や台湾など多岐に及ぶが、筆頭にあげられるのがやはり日本であった。2003年から2005年の数字では、輸出相手国の第一位を占めている。シェアは2005年に80%で圧倒的な数字を誇る。日本は韓流のお得意様というわけだ。冒頭に「日韓の熱愛ぶり」と紹介したが、その報道に偽りはなかった。
*「寒流」にはさせまい
ただし韓国は決して韓流特需の上にあぐらをかいているわけでない。韓流の衰えというわずかな兆しに敏感に反応しており、厳しく自己を見つめる言も聞かれる。某フォーラム(「韓国エンターテインメント産業の夢と世界共生戦略」)によれば、たとえば「現在の韓流は、スター・マーケティングに頼りきった過度な商業主義に陥っている」と指摘された。「文化輸出は商品輸出とは異なる、交易ではなく交流である点を認識しなければならない。まずは文化先にあり、お金は二の次でなければならない。」という意見が出されている。また、韓流は双方向性を持つ日本を除けば、「文化の一方的な浸透という限界を見せている。」という。「交流」を意識した声は強く、「韓流を持続させるためには、双方向の文化交流が拡大すべきで、国ごとに差別化された戦略的マーケティングが必要になる」とも言われた。「韓流コンテンツを現地制作する、韓流の現地化が必要」という意見も挙げられた。
*テーマパーク建設中
ソフト面だけでなく、ハードの面からも、韓流を維持するための試みが見られる。
現在、ソウル北部の京畿道では、総合エンターテイメント施設、ハリウッドならぬ「韓流(ハンユ)ウッド」が建設中であるという。総面積は約30万坪。これが5 〜6 のエリアに分けられ、それぞれにテーマが設けられるという。たとえば「祭りの村」には韓流スターの蝋人形館や野外大公演場が、「東洋の村」には水上庭園や貸しボート施設が準備され、「映画の村」では韓国映画の名場面や王宮を体験できるようになっている。ロッテワールドなど既存のテーマパークが乗り物中心であるのとは一線を画し、体験型の施設が重視されるようだ。そのほかにも、国際ビジネスセンターやホテルが併設される予定だ。大規模な、韓流コンテンツの支援空間であるといえる。
めざすライバルは東京ディズニーランドや、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンだ。
(07/12)
※写真;韓国への経済効果は1430億円!
*参考文献;詳細はこちら
バックナンバー
76「韓流、はるばるインドシナ半島に至る 〜アジア芸能交流4」
75「韓流、台湾に至る 〜アジア芸能交流3」
74「韓流の源流は映画にあり 〜アジア芸能交流2」
73「『韓流』ブームの発生 〜アジア芸能交流1」
72「逆行する人的移動 〜アジア大往来時代その7」
71「移民たちの自由往来 〜アジア大往来時代その6」
70「最高学府2大学の選択 〜アジア大往来時代その5」
69「アジア学生は世界へ向かう 〜アジア大往来時代その4」
68「インフラの整備 〜アジア大往来時代その3」
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56「それぞれのアジア〜アジアの精神的範囲」
55「ゆとりのくに〜台湾の都市風景」
54「アジアへのアプローチ3 〜東アジア共同体時代への対応」
53「アジアへのアプローチ2 〜フロンティアの消失?」
52「アジアへのアプローチ1 〜ブーム式の消費」
51「共存のすべ、協調性のひとびと 〜東・東南アジアの共通性3'」
50「共存のすべ、協調性のひとびと 〜東・東南アジアの共通性3'」
49「集住のすべ、集団主義のひとびと 〜東・東南アジアの共通性3」
48「集住のすべ、集団主義のひとびと 〜東・東南アジアの共通性2」
47「水と緑の大地 〜東・東南アジアの共通性1」
46「アイデンティティーとしてのアジア 〜アジアの魅力」
45「ヒトの往来、モノの交流 〜お隣のアジア人」
44「留学生10万人時代 〜お隣のアジア人」
43「等身大へのしたて直し 〜アジア現代文化らしさの萌芽3」
42「大いなる風景のなかで 〜アジア現代文化≠轤オさの萌芽2」
41「アジア現代文化≠轤オさの萌芽」
40「特効薬としてのアジア」
39「亜洲(アジア)とともに、アジア人として」
38「上海と台北 〜ふたつのパワースポット」
37「共通アイデンティティーの獲得」
36「折衷≠ニいう才能〜汎アジア表象文化の萌芽3」
35;「タイムラグののち花開くもの〜汎アジア表象文化の萌2」
34「グローバル画一化とのせめぎあい〜汎アジア表象文化の萌芽1
33「受信から発信へ〜アジア都市表象文化のなかで3」
32「「国境を越えた、現代文化の相互作用〜アジア都市表象文化のなかで2」」
31「越境放送の力〜アジア都市表象文化のなかで1」
30「ネットワーク型の交流 〜アジアのリーダーシップとは」
29「共生・繁栄の試み 〜東アジア共同体1」
28「アジアのグラデーション 〜東アジア共同体1」
27「アジア文化のメジャー化 その1 〜日台交流その2〜」(アジア)
26「南隣とのおつきあい」(台湾)
25「オーガニックなエイジア」(アジア)
24「精神世界≠フ母なる大地」(アジア)
23「解決のキーを秘めた大地」(アジア)
22「今だからできること」(アジア)
21「自律の“背筋”としての機能」(アジア)
20「等身大でいられるのなら」(台湾と大陸中国2)
19「プラスサムの追求」(台湾と大陸中国1)
18「護りのちから」(北朝鮮2)
17「マインド・コントロールとメディア・コントロール」(北朝鮮1)

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