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豊饒の楽土[中国東北部]風物誌 3

水晶、ガラス、クリスタル/大連

友好広場に突如、現れた球体

 ジュエリーといえば、シルバーやプラチナが思いうかぶかもしれないが、漢民族の地においては、玉や翡翠(ひすい)といった素材がめだつ。さらにそれが大連の地であれば、もうひとつの名産、「ガラス」が加わる。大連の地は、ひそかなガラス製品の名産地なのだ。

 戦前には切子ガラスの技術で有名だったという、そのおもかげは、現在ではささやかなクリスタル・アートとして名残をのこす。たとえば帆船を組んだもの。門を形づくるもの。カットグラスの体(たい)のうちに、繊細な模様が刻まれたものもある。花鳥風月はもちろん、漢民族にとって、めでたい金魚。または古塔や古跡(万里の長城。故宮など)のたぐいなど。我々にもなじみの深い、青切子のみならず、緑や、ときには橙といった目新しい色も見られる。赤色であれば炎のごとく、緑色ならば翡翠(ひすい)のように…。

 商品はコップのみならず、皿や茶の器まで。しかもそれらは日本に輸出するレベルなのだ。もちろん日本人観光客にも人気で、私自身も思わず「そうだ、誰々さんへのおみやげに」と思いたった。

 ガラス製品で内外に名をはせるのは、水晶ブランドの「大連ガラス制品」。戦前より70年以上の歴史をほこる老舗で、中国大陸において、最も早くガラスを工場生産したと言われている。その品数は3000種、今や輸出先は世界60カ国。透過率や屈射率に優れており、1982年には「国家質量賞」銀賞を受賞した。

 ところで大連の街には不可思議なオブジェがある。大通りの先、「友好広場」に突如、現れるのは、多面体の巨大な青い球体なのだ。その名も「水晶球」。当初は「なぜ水晶?」と筆者は首をかしげていたのだが、そうだ、大連はガラスの名産地でもあったのだ。また「北方の真珠」という、大連の別称に、どこか重なりあうような気もする。

 それにしても、広場の中央に巨大な公共物を設置するという発想。かつてはそれがスローガンを記した、巨大な看板であったところが、今では全く異なるかたちで、市民の心をひとつに集めるようになっていた。



*おすすめスポット
アクセサリー店「中国珠珍」ガラスアクセサリーやチョーカー。ブレスレット、ピアスが充実。大連市青三街1号大連商城1階/0411−363−3888/9:00〜21:00

*参考文献
「大連名片」「遼寧風物誌」



バックナンバー:
「蛇の島 〜まむし王国 /旅順」
1 「戦跡 〜あれから100年 /旅順」

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