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豊饒の楽土[中国東北部]風物誌 4

東北部の窓口・大連客船ターミナル /大連

国際港・大連

*端正な街・大連

 中国東北部の窓口・大連。その最前線とも言われるのが、国際港大連埠頭だ。コンテナのクレーンがそこかしこに首をたれ、汽船がたゆたう。船体の白が目にしみる。そんな港の風景を一望できる展望テラスが、ターミナルの東側にしつらえられていた。アール・デコ調の欄干は、100年前の面影をただよわせ、そのかたわらには点々と瀟洒(しょうしゃ)なテーブルが並んでいる。

 同じ国際港の街といえども、上海が「人波とともに膨張する」「ひしめきが押しよせてくる」ような印象であるのとは異なり、大連の街は端正に、よく造りこまれている。港も駅前も空港も。「最大でなくとも、最善をめざして」−−そんなこの都市のポリシーが、ここにもまたひとつ、かいま見えた。



*国際港の横顔

 世界的にも有名な、天然の良港である大連。開かれたのは1899年のこと。100年をへた今や、取り扱う貨物の量は、年間9000万トン、コンテナ数にして100万を誇る(2000年のデータ)。停泊施設は73機、うち万トン級の受け入れが可能なのが半数近くの39機にのぼる。さらに5万トン級の大型貨物船も行き来する。

 そんな大連は、国内のみならず、アジアやオーストラリア、遠く北米など、世界160カ国と航路を結ぶ。

 ターミナル横のテラスの後ろを、下船したばかりの人波が通りすぎてゆく。客船の名は、たとえば「銀河姫(銀河公主)」または高速船なら「飛び魚(飛魚)」。その多くは煙台や威海など、地方都市とを結ぶものながら、週7便で遠く上海と、また週12便で天津に航路をのばすばかりでない。さらには韓国の仁川と航行時間18時間の距離をも保つ(週2便)。なぜ仁川? 意外に思われるかもしれないが、渤海をはさめば海向かい、ほんの半日あまりの場所に位置するのだ。視点を変えた東アジア地図をかいま見た瞬間である。



*海のある風景 

 ざわめきが通りすぎてゆくのは、ほんのひとときのこと。やがてもとの静けさが戻り、ひたひたと埠頭を洗う波の音に、身をゆだねてみる。水音に耳をかたむけつつ、大地の広がりに、さらに時の流れに思いをはせてみれば、日本、朝鮮半島、満洲の地…。

 いや、あらためて眼前の風景に目をこらすのみにとどめよう。この北の海の青さは、たとえば上海郊外の、長江の砂をはらんだ黄濁する黄浦江河口、呉松口のものとは、あきらかに異なるものだった。

 

*スポット・データ
展望テラスのある港「大連港湾」テラス入り口は埠頭ビル2階奥、右なかばのガラス扉/大連市中山区港湾街1号/0411(262)2839(切符売り場)/9:00〜20:30/入場料2元

*参考文献
「大連名片」大連理工大学出版社







バックナンバー:
「水晶、ガラス、クリスタル/大連」
「蛇の島 〜まむし王国 /旅順」
1 「戦跡 〜あれから100年 /旅順」

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