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豊饒の楽土[中国東北部]風物誌 6

「老虎灘」という名の楽園/大連

星海湾から東に向かう天祥号
 どこか漁船を思わせる素朴な船は、あんがい揺れることなく、静かに星海湾を航行する。はるかに見えるのは、景勝地「燕窩◇(山+令)」、その向こうに「老虎灘」の浜辺が広がっているという。海辺の一大アミューズメント・パーク−−そう聞くのみにとどめて船は旋回、このときは港へとひきかえすこととなる。実際の老虎灘を訪れるのは、それからひと月後のことであった。


空中散歩のロープウェイ。半拉山から老虎灘湾をみおろす
 今回は海からでなく、陸からのアプローチ、車は海浜路をひた走る。通称「恋人通り(情人路)」には、35キロの道のりに、リゾート「星海公園」や「北大橋」など点々と景勝スポットが散りばめられていた。現地のガイドブックによれば、ドライブ・コースはその名も「浜海路ロマンの旅」。ロ、ロマンのたび? −−いや実際にその名の通り、風情は、なかなかのもの。吹きつける海風に、いつのまにか黒髪はしっとりと潮の香りをおびてくる。大連の海は、どこか清らかで、点々とノリの養殖場が海上に文様をえがく。思いがけず与えられた、天恵のような海辺のドライブ……。

 中途の橋は、大連市と北九州市が友好都市を結んだ記念として、1987年に建設されたようだ。全長230 メートルの橋は、その名も「北大橋」、別名は恋人通りにちなんでか「恋人橋(情人橋)」。北九州市には、これに対応して「大北亭」なるものが建てられているという。 

 ところが「老虎灘」に到着する直前、筆者が、まず出会ったのは、人民解放軍の海軍練習船であった。近くには海軍大連艦艇学院が、ひかえているという。時おりジョギングで駈けぬけてゆくのは、迷彩服姿の若者だ。その柄は、黄土の大地に合わせてか、日本や台湾のものより、黄色や茶の配分が多いようだ。同じ漢民族と言えども、国民皆兵制の台湾とは異なって、まだ若い兵たちも、どこか硬く鋭い。職業として予め体内に別の攻撃本能をインプットされているかのように。アミューズメント・パークと迷彩服姿、このコンビネーション。それがどの大国の傘の下に身を寄せることなく、急速に軍備を増強しつつある国の、横顔なのだろうか。


「虎彫広場」にて。虎は一見、5匹のように見えるがじつは6匹。彫刻家の韓美林によるもので、500 もの花崗岩片や大理石片を合わせて制作されたという
 いや、老虎灘楽園を見学しに来たのであった。ざっと118 万平方メートルの敷地を有する国家級の景勝地。「海洋生物展覧館」なる水族館や、鳥を放し飼いにした林「鳥語林」など、見どころが少なくない。何よりも目をひくのは、白亜の虎の像、6体。全長が35メートル余り、高さは6〜7メートル、重さは2000トンにおよぶ。花崗岩の石像としては、全国最大規模であるという・・・。






*参考文献
「大連名片」大連理工大学出版社
「遼寧自助指南」山東省地図出版社

*関連スポットのデータ
「老虎灘楽園」大連市中山区虎灘街3号/0411-268-4001 /7:00〜18:00  




バックナンバー;
「大連賓館、歳月(とき)を超えて /大連」
「東北部の窓口・大連客船ターミナル /大連」
「水晶、ガラス、クリスタル/大連」
「蛇の島 〜まむし王国 /旅順」
1 「戦跡 〜あれから100年 /旅順」

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