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豊饒の楽土[中国東北部]風物誌 9

瓜の実るころ /遼寧省

高級志向の瓜はその名も「香水瓜」
 夏になると街なかの果物売り、露店商や天秤のかごの内に、つややかな瓜がお目見えするようになる。桃やすももの姿とともに、夏場の果物市には欠かせない。品種改良を重ねた精妙なものは、その名も「香水瓜」。プリンスメロンと紙一重と思っていただければ良いだろうか。

 乾燥がちな灼熱の大地で、この果物は貴重な水分補給となるばかりでない、さっぱり無味淡白な食感から、体の内からきれいになるように思わせるものがある。奢侈品としての果実というより、野菜感覚かもしれない。


この地の果物ラインナップに瓜は欠かせない
 いや、それこそこの瓜を、食材として用いる郷土産品があるという。遼寧省の東部、朝鮮半島近くの丹東には、つけものの一種「甘辛ウリ(甜辣黄瓜)」なるものがあるらしい。なんでも黄瓜の千切りを水にさらしたのち、調味料とともに熟成させたもののようだ。有名なのは30年この道ひとすじの「丹東醤菜」工場製で、年間の生産量は24000 キロ。1980年以降、この省の名産品のひとつとなっている。

 省の内外というばかりでない。さかのぼること半世紀、朝鮮戦争のおりに、中国軍は北朝鮮軍の前線に人民節の支援物資を送ったのだが、なかでもこの「丹東甜辣黄瓜」が、大好評であったという。北朝鮮人民にうけたのは、やはり彼らがキムチのような漬け物のたぐいを好むせいだろう。


 

香水瓜は、たしかに普通の瓜よりかすかに甘くかぐわしい


*参考文献
「遼寧省風物誌」



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