アジア風物誌32 内モンゴル編9
「砂漠 〜4A級の砂丘、45度」
まるで蜘蛛の糸をたどるように登る
飲食店の建ち並ぶ通りから、一歩はずれれば、緑豊かな風景が広がっていた。しかしこのオアシスもあとわずか。一行は現在、ゴビ砂漠周辺のホブチ砂漠へと向かっている。数キロ先には、水一滴、届かない砂地が広がると思うと、いつになく緑の色が目にしみた。
到着した地にて、あらためて砂漠を見渡してみる。灼熱の太陽とともに、砂地の温度はあがり、かげろうにも似た熱気が、たちのぼっている。金色の砂原と、青空のほかに、生きた物はない。水はおろか音までも吸いこんでしまうのか、いつどこにも増して、静けさが満ち満ちていた。
いっぽう、このタラトチには、ホブチ砂漠一の名所、国家旅行局によりAAAA(4A)級の認定を受けた、「◇(口+向)沙湾」という丘もある。そびえたつのは巨大な砂丘。ひとすじの縄梯子が頂上へと向かう。まるで極楽浄土から降ろされた、ひとすじの糸のように。白い道は金色の砂丘をのぼり、蒼天を志していた。傾斜はなんと45度。高さは最高110メートル。幅は200メートルに及ぶ。そんな丘をやっとこすっとこ徒歩で上れば、頂きからは
「ああ!」
まさかここに大河が流れるとは、ハンタイという名の川が湾曲しており、ささやかなオアシスを形づくっていた。広大な水の道。そのはるか対岸に位置する絶壁にいたるまで、ぐるりと180度、半周した視線はやがて、自らのたたずむ砂丘へと戻ってくる。ダイナミックな水と砂の風景がくりひろげられていた。
この45度もの急斜面を、木製の貸し板をはいて、滑り降りてみれば。できればソリよりスキーふうの板のほうがいい。腰を低く、ストックがわりに、熱い砂の上に両手をついて、スピードを調節するのだ。大汗をかきかき、上りつめたはずの斜面を、一気に滑り降りるという快感。金の砂をかきわけて……。
(つづく)
(06/10)
バックナンバー;
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