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『さいはての極楽』ミャンマー風物誌4
男性向け『ろんぢー』再び
各部族の民族衣装せいぞろい
*男性用「ぱそー」使いまわしテクニック
今回は、お待たせ男性向け『ろんぢー』=『ぱそー』。女性用『ためいん』は、巻いた端が脇腹に折りこまれるのに対して、男性用『ぱそー』では、折った先が正面で結ばれる。この着方ひとつも本人の性格を物語るそうで、結び目をラフに作ればあなたは“タフガイ”の仲間入り、裾の折り目を正しく整えれるあなたは“きちょうめんさん”ということだ。
ところでこの『ぱそー』、ただの巻きスカートではない。非常にフレキシブルなのである。もし1ヵ所にかぎざきでも作った場合は、袋状の布地をまわすなり上下逆さまにするなりして、折り込み部分に隠してしまうことができる、日にさらされて色落ちしたら、裏表を入れ換えることもできるのだ。
さらにミャンマー男性は普段、裾を長く伸ばした状態で着用するが、重労働時や木のぼりの際には、ブルマーばりに思いっきりたくしあげ、前裾を股下にくぐらせ、背中におしこむ。かくして局部サポーターのでっきあっがり!さらに予備の「ぱそー」を携帯していれば、まだまだ使える。暑い日向ではターバンばりに頭に巻きつけて日よけにするもよし、上半身にぱしっぱしっとうちつけてタオル代わりに汗をふくもよし。労働時には布を縄状にねじって荷をしばるもよし!極めつけは赤ん坊をつつんでハンモックにするもよし(そこまでする…)このように『ぱそー』は実用的かつ快適でお手軽な衣服なのである。
下が『ぱそー』なら上はTシャツや襟付きシャツなのだが、それだけでは若い男のコは満足していないようだ。最近流行りつつあるのが、『ぱそー』にキャップ姿の青少年。野球帽などをさりげなくかぶりつつ、裾をはためかせて闊歩するさまは、なかなかカワイイものあがある。
闊歩するのはいいのだが、みなさんしばしば乱れた裾を歩きながら直していらっしゃる。歩道をてくてく歩んでいると、突然前を行く人が「ばっ」と『ぱそー』を広げる、ちょうど筒状となった布にすっぽりとはまった状態で進みながらうまく両端を合わせ直してささっと結びあげてしまうのだ。そのさまは驚嘆を越えて裏ワザに近い。しかし慣れない女性旅行者を一瞬どきっ!とさせるのも事実である。
*『ろんぢー』のある風景
ところで余談だが、お散歩中に道の向こう側へと渡りたくなった場合、旅行者といえども注意すべきである。横断歩道のない車道を横ぎるさまをもし警察にでも見つかろうものなら、そのまま署までしょっぴかれて350チャット(200チャットから値上がりしたという)
を支払わなければならない。さらにミャンマー人ならば7日間の拘置所生活を余儀なくされる。おかげでヤンゴンの道路はいつも整然としていた。めでたしめでたし。
大通りをてくてくと歩いていると、時おり発見するものがある。ふと見上げれば黄色地に黒い記号の警戒標識が。さらに目をこらすと、それは「この先横断歩道あり、歩行者横断注意(ただし『ろんぢー』姿)」であった。断じてスカート姿の御婦人ではない、髪が短いから男性のシルエットなのだ。躍動的に第1歩を踏み出すポーズは、『ろんぢー』を着用している。やはりミャンマー人だった…。さらにバリエーションもある。「学校・幼稚園などあり、歩行者横断注意(ただし『しゃんばっぐ』所持に『ろんぢー』姿)」やはりここはミャンマーだった。思わずしみじみ感じ入らせる味わいがある。
(つづく)
バックナンバー;
3「女性向け定番ファッション」
2「熱帯アジアの着物」
1「着るアート、腰巻きタイトスカート『ろんぢー』」
(『豊饒の楽土』中国東北部風物誌)
9「瓜の実るころ /東北部」
8「快餐£華ファストフード/大連」
7「北方の真珠≠ニいう名の都市の象徴・中山広場/大連」
6「老虎灘という名の楽園 /大連」
5「大連賓館、歳月(とき)を超えて /大連」
4「東北部の窓口・大連客船ターミナル /大連」
3「水晶、ガラス、クリスタル/大連」
2「蛇の島 〜まむし王国 /旅順」
1 「戦跡 〜あれから100年 /旅順」

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