THE MENDACITY
「言葉というものには全て…少なからず、呪縛する力がありますから」
とこう言ったあとで、言葉に雁字がらめになっている自分のことを思った。
星史郎さんの一言ひとことには勿論のこと、死んだ人の言葉にすら、僕は縛られている。
相変わらず僕は、鏡の中の僕に北都ちゃんを重ねて毎朝おはようを言っているし、その他の『二人のルール』も全て守っている。
僕以外の誰も、このルールを知る人なんていないのに。
…縛られて、いたいのだろう。
北都ちゃんが今も、僕の生活の中に確実に息づいていると、そう思っていたいのだ。
「でも、初めから効果を狙って言っていたのでは、無理かもしれませんね」
そう。
自分の言葉で自分を自在に縛ることが出来たら。
仕事を仕事だと割り切って、淡々とこなせたら。
傷つかなければ。
そうすれば、僕は星史郎さんと同じ地点に立てるだろうか。
あの人の見ているもの、感じているものの末端でも、知ることが出来るだろうか。
知ることが出来ない今の僕は、だから星史郎さんの一言ひとことに耳をすまして
――…余計に、縛られてしまうのだ。
END
『虚言症』を昴流くんの視点で書いたモノ。
ああ、どんどん話が短くなる…(苦笑)
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