sweets
「…甘い」
そう言うと北都は手に持ったカップを持て余すように二、三度くるりと回した。
蒸した室内にカップの中のそれは少しばかり形を崩して、外側にはというと白い細かな氷がところ狭しと張りついている。
「大衆向けのデザートって、どうしてこう……過剰なまでに甘いのかな」
ねぇ、星ちゃん。
向き直る北都と手に持った彼女の不平の根源と銀色に光るスプーンに視線をやって確かめるように微笑むと、星史郎は子供を宥めるような首を傾げる仕種をした。
「過剰なくらいが丁度いいんですよ」
膝に広げた本に栞を挟みながらとはね、北都はその所作を違和感を生じさせない程度にちらりと見やって視線を星史郎に戻す。
「どちらに転んでも、損した気分にはならないでしょう?」
「ん」
眉を寄せたままもう一口味わい、そうかしら、とスプーンを挟みながら呟く。
やれやれとソファに再び身を沈める星史郎に一瞥をくれると、目が遇ったので軽く目を細めた。
短く簡単な言葉で丸めこんで、そして何ごともなかったかのように通り過ぎるのだ、この男は。
彼の人生もまたそういった類いのものであるのだということを、北都は勘繰り始めていた。
そうであるからこそ、嫉妬からなる疎ましさも感じれば、また同時に得も言えぬ親近感も覚え、それがつかの間の甘やかしであったとしても喜んで享受してしまうのである。
END
「えごとぅすむ」のmortさんから7000HITのキリリクで頂きました。
『星ちゃんと北都ちゃんの絡み』という大雑把極まりないリクエストに、こんなステキな小説を書いて下さったmortさんに感謝!!です。
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