“涙”の輸出
     テレノベラがテレビ画面に登場してから多くの強烈な批判がされてきた。その批判の内容は、内容が薄っぺらい、ばかげている、つまらない、いつも同じなど様々である。しかしながら、マスコミュニケーションを研究している社会学者や専門家たちはこれらのメロドラマが与えてきたカタルシスな価値を無視することはできない。これがテレノベラの成功、そして40年にも渡り人々に愛されてきた理由であるのだろう。

     テレノベラ制作のリーダー的存在テレビサ局、それに続くTVアステカ局を中心にメキシコはテレノベラの外国への輸出では首位を占めている。現在約130国でメキシコ産のテレノベラは放送されているが、これは単にテレビ局の大きな利益になるだけでなく、メキシコの雇用という面から見ても非常に意味のある数字である。世界中に存在する視聴者たちはメキシコ産テレノベラに出演している俳優に対し大きな賞賛を送っている。

*テレノベラの歴史*

     メキシコ最大のテレビ局テレビサは開局から46年が経過し、完璧なテレノベラ制作手法を生み出した。他の国々もその手法を真似たが、いまだにテレビサのレベルには到達していない。TVアステカも興味深いテレノベラ制作を行っている。

     1979年にメキシコ産テレノベラ“Los ricos tambien lloran(「金持ちだって泣くんだ」)”が世界的に大ヒットして以来、テレノベラの魅力が世界中で認められるようになった。このテレノベラは現時点においても史上最も高い売り上げを記録したテレノベラの一つである。

     本日までにテレビサは合計500本以上のテレノベラを制作している。一方TVアステカは合計34本、アルゴス制作会社との共同制作を加えればさらに10本をプラスすることになる。

     テレビサ局テレノベラ制作部部長サルバドール・メヒア氏によると、現在テレビサ制作のテレノベラは4大陸、130国に輸出されている。一方、TVアステカ国際営業部副部長マルセル・ビナイ氏はTVアステカは120の国々と接触を行っているという。そして、アルゴス制作会社は自社制作のテレノベラをテレムンド局に販売している。

     ここ数年の間にテレビサ制作で最も高い販売を記録したものは、Rosalinda(「ロサリンダ」:女性の名前), Abrazame muy fuerte(「私を強く抱いて」), Esmeralda(「エスメラルダ」:女性の名前), La usurpadora(「不法使用者」), El privilegio de amar(「愛の特権」), Luz Clarita(「ルス・クラリータ」:女性の名前)などである。TVアステカ局制作のものでは、Mirada de mujer(「女の視線」), Cuando seas mia(「君が僕のものになるとき」), La calle de las novias(「花嫁通り」), Como en el cine(「映画のように」), Catalina y Sebastian(「カタリーナとセバスティアン」:人の名前),El amor no es como lo pintan(「恋は思い通りに行かない」)などである。

*データで見るテレノベラ*

     TVアステカ局マルセル・ビナイ氏の話では、テレビ局はテレノベラの放送権を売るとき、初めにまとめて金額を提示し、その金額で話がまとまった場合、後は購入側が何回放送しようが、また逆に1度の放送だけで終了しようが自由であるということである。しかし、驚くべきことであるが、あの冷めた国民性で知られているドイツではテレノベラ“Salome”(「サロメ」:女性の名前)が繰り返し放送されているという。

     テレノベラ1本の値段は五百万ドルから一千万ドルするという。この値段は、テレノベラの量及び特徴に基づいて決定される。

     テレノベラ1本を制作するには約90人のスタッフが必要となるとテレビサ局では語る。一方TVアステカ局では計200人のスタッフが存在し、これが他の国々に輸出されるとさらに共同制作者として120人程度の雇用が作られる。

     テレノベラの値段は国の経済レベルによっても決定される。例えば、同じテレノベラの放送権の価格はニカラグアに販売する場合とアメリカ合衆国やフランスに販売する場合とではもちろん違ってくる。

     メキシコがテレノベラ市場においてリーダーとして君臨していくことは疑いない事実であろう。

     ブラジル、コロンビア、ベネズエラといった国々もテレノベラ制作では有名であるが、世界市場では、まだ1本か2本程度が出回っているのみである。例えば、Cafe con aroma de mujer(「女の香がするコーヒー」), Bety la fea(「私はベティー、醜い女」), Pedro el escamoso(「鱗に覆われたペドロ」)などが挙げられる。

     テレビサ局はここ数年の間に世界的に多くのテレノベラを成功させてきた。その一例を挙げてみると、Maria Mercedes(「マリア・メルセデス」:女性の名前), Maria la del Barrio(「貧民区のマリア」), La duen~a(「女主人」), El privilegio de amar(「愛の特権」)などである。

     昨今、ブラジルではさらなるラテン視聴者獲得のため、メキシコのアクセントをテレノベラに盛り込み販売を二倍に伸ばすことに成功した。

     ブラジル産テレノベラは“Terra Nostra”に始まり、これは世界的な大ヒットを記録した。また、“El clon”もメキシコで吹き替えで放送された。





*今日のスペイン語*

    superficial  : 表面的な、外見上の

    absurdo  : 不条理な、ばかげた

    anodino  : 内容のない、つまらない

    catartico  : カタルシスの、カタルシス(作用)を起こさせる

    supervivencia  : 生き残ること、残存、存続

    ganancia  : 利益、収入

    oscilar  : 変動する、揺れ動く

    colaborador  : 共同制作者

    acierto  : 成功、当たり




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