アリエル映画祭受賞式
     メキシコ芸術科学映画アカデミー主催の第46回アリエル映画祭の授賞式がメキシコ国立芸術院で開催された。この日は客席も満席にはならず、出席者の中にスターも少ないさびしい受賞式となった。今年のアリエル映画祭は、映画“Nicotina(ニコチン)”が6つの賞を受賞し、この日最も注目された映画となった。続いて映画“Zurdo(左利き)”が4つの賞を獲得した。

     一方、映画“El misterio del Trinidad(トリニダードの神秘)”に期待をかけていた人々にとっては、少々落胆する結果となった。最優秀監督賞、最優秀映画を受賞したが、結局3つのカテゴリーで賞を獲るに終わった。

     開会の挨拶に立ったメキシコ芸術科学映画アカデミー代表である女優ディアナ・ブラチョはメキシコ映画学院及びチュルブスコ・スタジオの占有への反対意見を述べ、映画における表現の自由において政府より圧力を感じたこともあったことを語った。

     「ちょうど今年Estudios Churubusco社は創立から60周年を迎えます。我々は、団結とこれまでの功績を記して金のアリエル賞を授与したいと思います」と語った。

     同様に、国に対し映画産業の普及のため、税制優遇処置など、何らかの形で支援を求めていくべきであると述べた。

     また、映画界のさらなる発展を目指し、メキシコ国立自治大学と協定を結び協力していくことも発表した。

     式典は30分遅れで開始され、映画界の不況を象徴するような長く単調な式が過ぎ、式典は深夜12時直前に最高潮に達した。

     式典は、若手実力派歌手フリエタ・ベネガスの歌声と共に開始され、この日の司会のレティシア・ウイハラとダミアン・アルカサルにより式典が進行された。司会を務めた二人はこの日の予想通りの、気取った段取りに、少しでも華を添えようと努力した。

     しかし、この日最も出席者たちの反感を買ったのは、主催者が同じ賞を同点扱いでいくつかの映画に与えたことであった。

     例えば、最優秀映画音楽賞は映画“Vera”と“Zurdo”に、最優秀脚本賞は“Nicotina”と“Japon(日本)”に、そして最優秀音響賞は“Mil nubes de paz cercan el cielo(千の平和の雲、天国へ近し)”, “Nicotina”,“Zurdo”と三つの映画に贈られた。

     そのような状況ではあったが、盛り上がったシーンもあった。その一つとして、最優秀助演男優賞及び助演女優賞の名前が発表された際には、会場から割れんばかりの喝采が浴びせられた。

     さらに、主催者は今回の授賞式の際には、カルメン・モンテホやマヌエル・エスペロンなどのベテラン俳優たちに敬意を表する意味も込めて、それらの人々にプレゼンターとして壇上に上がってもらう趣向も凝らした。

*映画紹介*

"Nicotina"
    :ハッカーとして生計を立てる若者ロロ(Diego Luna)は隣人アンドレアに恋をし、得意のコンピュータ知識を駆使し、ウエブカムを使って彼女の生活を覗き見している。一方、ネネ、トムソンと名乗る札付きのチンピラはロロにスイス銀行にアクセスするための秘密のパスワードが入っているCDの作成を頼んでいた。そこに、自分の影さえ信じられない人間不信のロシア人と彼の所有するダイアモンドが物語に絡んでくる。ある日、ロロの思いを寄せるアンドレアが、彼女の愛する人と共にスペインで暮らす話が持ち上がり、そこから物語は急展開を見せる。
    監督:Hugo Rodriguez、出演:Diego Luna, Marta Belaustegui, Daniel Gimenez Cacho, Lucas Crespi

"Zurdo"
    :ブエナベントゥーラ村に住む“Zurdo(左利き)”と呼ばれる少年の物語。少年は、すでに人々から忘れられてしまったビー玉遊びに熱中していた。Zurdoはビー玉遊びでメキメキと腕をあげ、大人でさえも彼には敵わない程になる。そんなある日、Zurdoの名人ぶりに目をつけたある男が、彼を利用してお金儲けを考える。そこからただの子供の遊びであったビー玉が問題を引き起こしていく。
    監督:Carlos Salces、出演:Alex Perea, Alejandro Camacho, Arcelia Ramirez

"El misterio del Trinidad"
    :74歳のホアキン・アギレはメキシコ湾でスキューバダイビングをやっている最中亡くなる。彼は17世紀に沈没したとされるガリレオ船の財宝探しに夢中だった。ホアキンは遺言で、彼が愛人に生ませた子供フアン(Eduardo Palomo)に彼の船を相続させてしまう。フアンは医師で、離婚経験があり、離婚した妻との間に10歳になる娘がいるが、娘にはなかなか会えない。正妻の子供たちであるフアンの義理の兄弟たちは、フアンに遺産が相続されることを大反対する。ある日、フアンは父から譲られた船に乗り、ベラクルスに向けて出発しようとした時、別れた妻から一人娘アナの面倒を見るように言われてしまい、娘も連れて海へ出て行く。初めは娘とうまくコミュニケーションがとれないフアンだが、徐々に娘との間に愛情を育んでいく。
    監督:Jose Luis Garcia Agraz、出演:Eduardo Palomo, Rebecca Jones, Alejandro Parodi, Guillermo Gil, Juan Carlos Remolina

"Mil nubes de paz cercan el cielo"
    :あるゲイ青年の6日間にわたる物語。彼の余命短い恋人が残した手紙に書かれていた数行の秘密の謎を解いてくれる人を探し求めるため、メキシコシティーを彷徨う。探し始めて2日、人を愛すること、人に愛されることを忘れてしまった人々に出会う。そして、そのゲイ青年はそんな人々に思いやりを与える。
    監督:Julian Hernandez





*今日のスペイン語*

    rubro  : タイトル

    apertura  : 開催、開会

    trascendente  : きわめて重要な、意義深い

    solidaridad  : 団結、結束、連帯

    estimulo  : 刺激、激励、誘因

    fiscal  : 税務の、税制(上)の

    culmino  : 最高潮に達する

    monotono  : 単調な、面白くない

    jornada  : 一日、日程

    estrado  : 壇

    cursi  : 上品ぶった、これ見よがしの

    previsible  : 予見できる、ありそうな

    polemico  : 論争の、議論の

    colmo  : 絶頂、極み、極限

    empate  : 引き分け、同点

    velada  : 夕べの集い、夜の集まり

    climatico  : 気候の、風土的な

    estruendoso  : とどろきわたる、華々しい

    ovacion  : 大喝采

    rendir  : (敬意などを)ささげる、表明する

    estatuilla  : 小さな彫像




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