ポラロイドカメラ
学校から帰ると私宛の小包が届いていた。
「なに、これ?」
一応箱を開けると中からは一枚の紙とポラロイドカメラ。
訳もわからずその紙に目を通す。
ご当選おめでとうございます。
どうやら何かの懸賞にあたったらしい。
そういえば数週間前、送ったような気もする。
自分でも忘れていたものがあたるとは…。
なんだか複雑な気持ちでカメラを持ち家を出た。
行くあても無くただ歩きつづける。
久しぶりにのんびりとした時間だった。
「oh〜!じゃないka!」
「あ、虎鉄君。」
公園の前に差し掛かったあたりでジャージ姿の虎鉄君とすれ違う。
「もしかして部活中?」
「そうだZe。は何やってんDa?」
不思議そうに私の手元を見つめる。
ポラロイドカメラなんて見ただけじゃわかんないよね。
「これで何か撮りたくて出てきたんだけど…。」
何も撮るものが見つからない。
見慣れた町の風景なんて撮ったってどうしようもないし。
「そうKa…。」
なにやら考え込む虎鉄君。
っていうか部活中にこんなことしてていいんでしょうか。
仮にも部長は野球LOVEの牛尾先輩なんだし。
「ねぇ虎鉄く…」
「!見学来いYo!」
そろそろ部活に戻るように言おうとすると遮られてしまう。
「はい?なんで?」
「うちら撮ればいいだRo。」
うちらってのはつまり…十二支高校野球部の皆さん?
いや、普通に考えてそうだよね。
「うーん…。それもいいな。」
「じゃあさっさと行くZe!」
私がその時ファンの子に売ればお金になると考えた事を虎鉄君は知らない。
まぁ知らぬが仏って言うし(違っ
カキ―ンッ。
バットがボールにあたるたび、すかっとする音があたりに響く。
あれから虎鉄君に連れられてここに来たものの一枚も写真にとっていない。
なんか…。よく考えると野球部に知り合いがいないんだよね、私。
虎鉄君とだってそんなに仲いいわけじゃないし。ただ同じクラスなだけだし。
それなのに堂々と練習場に乗り込んでいって写真を取るなんて勇気は無い。
「帰ろうかなぁ…。」
「何してるんですか?」
「え、あぁ…何してるんだろ?」
ふいに後ろから声をかけられ、自分でも何してるのかわからなくなった。
「子津君こそ。こんなとこで何してるの?」
こんなとこっていうのはグランドから離れたところって意味で。
部活中なのにこんなところにいる子津君の存在が不思議だった。
さぼろうとかは考えなさそうだしね。練習熱心で有名なんだもの。
「僕の名前…。」
「意外と有名なんだよ?一部では、だけど。」
私の友達に子津くんファンの子がいるのだ。
彼女からいろいろ話を聞かされるうちになんとなく覚えただけ。
「そうっすか。」
有名だといわれ照れたのか頬をかき笑った。
あ。かわいいかも。
って男子に言う言葉じゃないんだけど。
「写真とっていい?」
気がつくとそう話し掛けていた。
一瞬呆気にとられたような顔をしていた彼だけど
「いいっすよ。」
と笑顔で許可してくれた。
撮らせてもらったうち1枚は子津君にあげた。
1枚は子津君ファンの友達に。そして残る1枚は。
「ありがと。」
「いえ。僕のほうこそ撮ってもらって楽しかったっすよ。」
初めて会ったのだけどなんだか昔から知ってるような気分にもなった。
「じゃあ私かえるね。」
結局少ししか撮らなかったけれど、得した気分だ。
「あ、はい。さようならっす。」
「バイバーイ。」
歩いてるうちにあることに気付いた。
「ん?3枚…?」
私が取ったのはにこっと笑ってる子津君と
ボールを投げてる子津君だけ。1枚多い。
ボールを投げてるのは子津君にあげたんだから…。
「……っ!!」
その1枚に写っていたもの。それは。
先輩、好きです≠ニいう地面に描かれたメッセージ。
明らかに子津君でしょう。
そういえば カメラ貸してくださいっす と頼まれた。
そしてなにやらごそごそと私に見えないよう何かやってたのも事実で。
やっぱり子津君だったのかと納得。
「明日もグランドいこーっと。」
明日子津君に会って返事を伝えなきゃ。
私も大好きって。
カメラの残り枚数21枚。
どうやらその全てが子津君のために使われそうです。
−END−
−−−−あとがき−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
またしても書いてしまった子津ドリ。
でも初対面の人から告白されるのってちょっと困るかも…。
虎鉄を登場させた事に特に意味はありません(笑
さんを見学に連れて行く人が必要だったわけで…。
ちょっと強引にでも連れて行きそうな虎鉄に登場してもらいました。
最近とある友人から受けた指摘。
「奈緒の書くドリームって名前変換少ない。」
……そうかも。確認してみると確かに2・3回しかでてないような。
しかも今回なんて子津は一回も名前を呼ばなかった事が発覚。
あわわわ。子津ドリなのに…。