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シェラトンゴルフリゾート。ここにドイツ代表が滞在しているのは間違いない。駐車場に先ほど選手達が乗っていたバスが止まっているし、ホテルの入口付近には数人のファンがたむろっている。とりあえず情報収集というわけで、まだバスの中に残っていた運転手さんに声を掛けてみた。この運転手さん、本当に気さくな人で、チームの日程表を見せてくれるわ、選手達が使用したタオルをくれるわ(でも結局、誰が使ったものか分からないのでもらわなかったけど)。 運転手さんによると、その日は午後3時に宮崎県高校選抜との試合のためにスタジアムへ向かうとのこと。まだまだ時間はある。そこでまたまた閃いた。これは手紙を書いて運転手さんからスタッフでも誰でも良いから、渡してもらうしかない。というわけで早速フェラー監督と、大ファンのイェレミースに手紙を書きはじめた。ちなみに紙も運転手のおじさんにいただいてしまった。バスの中で手紙を書いていると、男のコ3人組がバスの方にやってきた。彼らは宮崎県在住の大学生達。彼らと情報交換し、更にちゃっかり今日の試合の行われるスタジアムへ車で乗せて行ってもらう約束をとりつけた。 なんとか手紙を書き終えた。フェラー監督への手紙は直訴状。早い話が、「練習を公開しろ」と書いたのだ。でもこれがファンの切実なる願いなんだということを、心の底から伝えたかった。 大学生3人組はこれからスウェーデン代表を見るために空港へ向かうという。3時ちょっと前にホテルの前で落ち合うことにして、再び1人で何をするでもなく3時まで時間を潰すために周辺をぶらぶらする。近くにあった公園で、コンビ二で買ったお握りを食べて、しばしの休息。 2時半頃、再びホテル前へ。うわーっ、人が増えてる。とは言っても、イタリア代表のように200人というわけではなく、せいぜい3、40人というところか。ホテルの入り口前にロープが張られていた。前から2列目という好位置をキープしつつ待っていると、突然前にいたお姉さんに話し掛けられた。そう、このお姉さんこそが、今回の「ワールドカップ2002」、私にとってのキー人物なのだ。 そのお姉さん、リバちゃん(仮名)は、埼玉から来ていて、ディディ・ハマンのファンだった。お互い一人だったので、長い待ち時間も手伝って、初対面とは思えないくらい打ち解けてしまった。リバちゃんはリバプールファンとのことで、ドイツ代表についてはあまり知らない様子だった。・・・あくまでもこのときはだけど。 そうこうしているうちに、バスに乗るためにちらほらと選手達が姿を現した。最初はバラックとブット。おー、いきなり大物。その距離、わずか1、2メートル。ブットの存在はファンからは完全に無視されていたが、「ぅぉー、バラック!」と叫ぶファンの男のコ達。ここが「キャー」とならないところがドイツ代表らしい。 その後もぞくぞくと選手達が続く。リバちゃんはリバプールのユニフォームを持っていたせいか、ハマンがすぐに彼女のところにやって来てくれた。サインをもらえて至極幸せな様子。いいなぁ、私のお目当てのイェレミ―スは結構冷たいからなぁ。が、次の瞬間、私の頭の中から、完全にイェレミ―スの存在は抹消された(ひ、ひどい)。な、な、な、なんと、そこにはラース・リッケンの姿が!!!! 彼がまさか代表に選ばれていたなんて!! ドイツ代表が来日する3日前にドイツ対オーストリア戦が行われたが、そこでダイスラーは怪我をしていたのだ。ダイスラーが代表を辞退したことは知っていたが、こんな急にもかかわらず、代役(なんて嫌な響き)のリッケンが他の選手達と一緒に来日していたなんて。う、嬉しい〜。なんだか素敵なW杯になりそうな予感。 さて、大学生3人組と、これまた待ち時間中に親しくなった熊本から来たカップル(彼らはただの友達同士と言っていたが)の車2台に分乗して、大学生3人組、熊本カップル、そしてリバちゃんと私は試合会場となるスタジアムへ向かった。ちなみに、ハガキ(チケット)を持っていたのはリバちゃんだけなのだが。 が、スタジアムに行ってみると、誰かがハガキを持ってさえいれば、ゴールネット裏のチケットをタダでくれるというではないか。リバちゃんはすでにハガキを持っていたので、大学生3人組、熊本カップル、そして私はそこでチケットを手に入れた。結局、前日お会いしたHさんとは連絡を取るのが遅くなったため会うことができず、大学生3人組と一緒に試合を観戦した。 選手達がピッチに姿を現す前に、ドイツ語で「ようこそ宮崎へ」&「頑張れー」の言い方の練習。司会のおじさん(?)がマイクを通してスタジアム中に響き渡る大声で言った。「Willkommen in Miyazaki!(ようこそ 宮崎へ) さあ、みんな一緒に! せーの!」 シ――――――ン・・・。「もう一回! せーの!」シ―――――ン・・・。ちょっとおじさんが気の毒だった。 いよいよ選手達がピッチに入って来た。うっ、そ、そのダサいハッピは一体・・・。後ろには"必勝"と書かれている。正面の席で見ていたリバちゃんによると、選手達もちょっと嫌そうな顔をしていたそうだ。更にユニフォームはドイツ代表らしくない真っ赤なもの。うわ〜、どこが提供したのか知らないけれど、やめて欲しかった。 試合はといえば、前半はレギュラー組、後半は控え組が出場し(マルコ・レーマーだけが、なぜか前後半通しでプレイしていた。その上、高校生に削られていた)、10対0でドイツ代表が勝利した。オリ・カーンは、決してファンサービスなどで点を許したりはしない。もっと気楽にやろうよ〜と言いたいが。 スタジアムから戻ってくる選手達をホテルで見たいというリバちゃんの希望により、大学生3人組とはスタジアムで別れて、熊本カップルの車に乗せてもらい、私達は試合終了前にスタジアムから再びホテルへと向かった。 再びホテルの入り口前に張られたロープの前で待っていると、選手達を乗せたバスが到着した。選手達はやや疲労した様子で、残念ながらファンにはあまり答えてくれなかった。 熊本カップルは帰らなければならないというので、名残惜しいがそこで別れた。 私はちゃっかりリバちゃんの部屋にお邪魔して、2人でサッカートークに花を咲かる。 夜21時頃だったと思うが、食事を終えたであろう選手達がロビーに下りてくるかもしれないと思い、私達はロビーでわざとらしくお茶をすることにした。 ロビーに下りてみると、先ほどちょっと話をした関係者のドイツ人がいた。さっそくまた話し掛けてみると、面白いネタを教えてくれた。そもそもドイツ代表はシェラトンホテル(前日に私が待っていたところ)に滞在する予定だったが、視察に来たフェラーが、エレベータを待ちたくないという理由で却下して、急遽このホテルに変更になったらしい。確かにシェラトンホテルは高層かもしれないが、ここよりは数段キレイだし、それに高層なりにエレベータの数も多い。このホテルはシェラトンゴルフリゾートというのだが(一応ここもシェラトンか)、お世辞にもあまり高級感が漂っているとは言えず、誰が見てもシェラトンの方が良いと思う。でもまあ、隣のシェラトンはかなりの人が出入りしていて落ち着けないかもしれないけれど、その点ここは宿泊客もあまり居ないからとっても静か。そういう意味では、フェラーの選択は正しかったと言えよう。 そしてもう一つ面白いネタが。シュナイダーがプレイステーションをやろうとしたが、ドイツのCD-ROMが日本のプレステでは機能しないということで騒いでいるとか。ちょっと情けないけど、彼らしくていいなぁ。 私達は待った。かなり高いお茶を飲みながら。と、そこへ突然、ドルトムント所属のメッツェルダー(以下メッツェ)とケールが。彼らは私の大のお気に入りの選手達。2人が仲が良いとは知っていたが、いきなり2ショットで現れるなんて心の準備が!!! 2人は誰かを待っているようで、フロント前のロビーでうろうろしていた。これは声を掛けなければ! 私 「しゃ、写真、一緒に取らせて下さい!!」 2人はもちろん快くOKしてくれた。興奮と緊張の中、私は夢にまでみたメッツェとケールを両側に従えての3ショットを取ってしまった。う、嬉しい。来て良かった〜。 そして更に彼らに話し掛ける。 私 「あの、優勝おめでとうございます。」(ドルトムントは2001/2002シーズンのドイツ・マイスター) 2人 「ありがとう」 うひゃーーーーっ、感激!!! 調子に乗って、ここは訊きたいことを訊いてしまえー。 私 (メッツェとケールの間で、メッツェに向かって)「あの、ちょっと質問して良いですか?」 メッツェ 「何?」 私 「あわわわわわわわわわわっ」 ダメだーーー! こんな間近で見つめられたから、思考回路が壊れた〜〜〜。もうドイツ語が出てこない・・・というか、言葉が出てこなくて、あわわわわわっ・・・・ ケール 「何? 何が訊きたいの?」 ケールがとーっても優しく私に言ってくれて、ちょっと緊張がほぐれた。 私 「あ、あの・・・・・ロジツキーってどんな人ですか?」 あー、あのときの私ってば、バカバカバカ。いくら本当に訊きたかったこととはいえ、なぜそこでそんな質問をしてしまったんだぁーー! ロジツキーとは、ドルトムントでの彼らのチームメイトである。私は彼の大ファンでもある。ミーハーとでもなんとでも言ってくれ。 メッツェ 「えっ・・・」 私 「えっと、つまりロジツキーの性格はどんなですか? 例えば控えめな人とか。」 頭が真っ白で、もう口だけが勝手に動いている私。 メッツェ 「えっ、あ、ああ、彼は控えめで、良いヤツだよ。」 私 「ほ、本当にーーーー!!!」 メッツェ・・・ノーリアクション。ケール・・・どんなリアクションだったか記憶にない。 そこでとりあえずトーク終了・・・。 興奮冷めやらぬ私の横で、ケールがそのホテルに泊まっていた台湾人観光客の女のコ達(サッカーに興味があるとは思えない)に捕まってしまった。彼女達はケールをサッカー選手と知って(私の推測:しかもカッコイイから)集団で2ショット写真をねだっていた。そんな彼女達とケールは次々と一緒に写真を撮ってあげた後、壁に張ってあったドイツ代表の写真の中の自分を指差して、「ほら、これが僕」とでも言いながら、女のコ達と楽しそうにしていた。しかしケールからちょっと離れたところにいたメッツェは、台湾人ギャルからは相手にされず、1人で寂しそう。キラリン(私の瞳の奥が光る音)、これはチャンス!! そもそも私はメッツェの大ファンなのだ。 私はおもむろにメッツェに近づいた。動きが不自然・・・。 私 「あの、私と写真撮ってもらえますか? 私はあなたと2人で(ここに重点が置かれる)撮りたいんです」 その言葉にちょっと気をよくした様子で(あくまでも私から見て。更に現像された写真を見てそう思った)、再び快く写真に収まってくれた。 やっとケールが開放されたので(自ら捕まっていたという説もあるが)、今度はケールに話し掛けてみた。そのとき話したことは、ドルトムントのことから始まって、UEFAカップのことまで。 私 「UEFAカップにあなたが出場できなかったのは本当に残念でしたよ」 (彼は去年の12月まで所属していたフライブルクで、すでにUEFAカップの試合に出場していた。UEFAの規定では、その年は他のチームでは出場できない) ケール 「僕も出たかったのに残念だったよ・・・」 私 「でも来年はチャンピオンズリーグですよ! 今度は出場できるし、絶対優勝してくださいね!」 ケール 「もちろんだよ。僕達はベストを尽くすよ。なっ、クリストフ」 メッツェ 「えっ???」 へっ、最後、あなた、何とおっしゃいました? 「なっ、クリストフ」「なっ、クリストフ」「なっ、クリストフ」 (私の頭の中でリフレイン) ・・・多分一部の人以外、私のこの気持ちを理解するのは難しいだろうけれど、私はケールがメッツェ(彼のファーストネームはクリストフ)にそう声を掛けたのを聞いただけで、興奮マックス100%(何のこっちゃ)。 が、当のクリストフは私達から2mくらい離れていて、会話に加わっていたわけではなかったので、何のことだか分からなかったらしい。 そこで親切にも私達の先ほどの会話を説明するケール。その間、私は身長190cmの2人の間で身動き取れず。あ〜、半径1,5m以内に3人で存在できるなんて〜。 メッツェ 「ああ、もちろんさ。」 メッツェ、やっと私達の会話が分かったようで、かなり遅い相槌。 それにしてもわざわざ説明するケールってば、どこまで良いヤツなんだぁぁぁ。 |
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何となくその後は会話はなく、なぜかメッツェはロビーに置いてあった植木が置いてある台に座って、再び1人ポツンとしていた。ケールは確か関係者と話していた・・・と思う。 これは再びチャンス、しかもビックチャンス到来!! もう私に恥も外聞もない!!(何のことだか自分でも書いていて分からないが) 私 「あの、ちょっとお話しませんか?」 メッツェが「Ja(はい)」と言う前に、一方的に続ける私。 私 「これからどこかへ行くんですか?」 メッツェ 「F1を見に行くんだ」 私 「へぇ、でもこの辺って、どこかにテレビがある飲み屋でもあるんですか?」 メッツェ 「ううん、メディアセンターに行って見るんだ」 私の心の呟き (メディアセンター??? まあ、いっか) 私 「ところでホームページ作ってるんですよね。あれっていつも自分で更新してるんですか? 部屋にパソコン持ち込んで、その前で黙々と更新してたりなんかしちゃってるんですか?」(日本語訳って超おかしい) メッツェ 「ううん、あれは他にやってくれる人がいるんだ。僕はいつも彼に電話して更新してもらっているんだ」 私 「へぇ」 メッツェ 「セバスチャン(ケールのファーストネーム)も自分のHPを持っているんだよ」 私 「へぇ、そうなんだ、知らなかった。」 私の心の呟き (セバスチャンのことはこの際どうでもいいんだよね)←ひどい 私 「以前あなたのHPで、アビトゥア(高校卒業パーティとでも訳すべきか)のときの写真見ましたよ」 メッツェ 「ああ、そういえばそんなのもあったね。あれはもう2年前か・・・」 なぜかちょっと遠くを見つめていたようなメッツェ。 私 「あと、家の大きさって、本当に46uなんですか?」(自分で言った数字が今となっては良く思い出せないけど、多分46と言った気がする) メッツェ 「・・・違うよ・・・42uだよ・・・」 キャー、間違えてるし〜。 私 「あ、あの、あと他にもいろいろ見ました。例えば好きなミュージシャンは・・・・うっ、誰だっけ?」 思い出せない・・・。それにしても私ってば、気が動転していたとはいえ、そんなどうでも良い話題をなぜそこで。 メッツェ 「ジェニファー・ロペスだよ」 私 「あぁ、そうそう」 私、メッツェ 「・・・・・・・」 私 「そう言えば、リッケンはメディアセンターに一緒に行かないんですか?」 メッツェ 「彼は腹痛なんだ。でも彼も後でメディアセンターに来るかもしれないけど。」 リッケン先輩は腹痛・・・。急にドイツ代表の10番を背負うことになって、プレッシャーのあまり下痢にでもなったんですか、リッケン先輩! その後もなんだか話は続くが省略。最後に再びF1に話が及ぶ。 私 「で、やっぱりミヒャエル・シューマッハーのファンなんですか?」 メッツェ 「いや、僕はメルセデスのファンなんだ」 そこで初めてメッツェの顔に笑みが。というか苦笑い。だってドイツ人なのにシューマッハーってばメルセデスじゃないもんね。ドイツ代表のスポンサーはメルセデスだし、現にそのときにメッツェが着ていた代表のシャツにもメルセデスマークがついているんだから、それでメルセデスを応援しないとシャレにならないような気がする。そんな意味もあっての苦笑いだったんだろうな。それにしても、彼のはにかんだ笑顔は本当に可愛かった。 190cmもあるガタイからは想像がつかないけれど、本来の彼は絶対にシャイなヤツだと私は確信した。・・・それに対してケールってば、アイドルのような愛想の良さ。 |
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さて、いよいよメッツェとケールの待ち人登場! その人とは、ビアホフ大先輩!でした〜。ビアホフは2人を見つけるなり、2人の間に入って、ガッと同時に2人の首に腕を回した。うわーっ! きっとビアホフ先輩は面倒見の良い人なんだろうなぁ・・・。 別れ際、メッツェが私の方を振り返って、「チャオ!」と言ってくれた。本当に可愛いヤツだよ〜。 3人が去って行った後は再びロビーに静寂が訪れたが、私の心は今だ踊っていた。そんな私とリバちゃんの前に次に現れたのがレーマンだった。もちろんここは、「ドルトムント優勝おめでとう!」と声を掛けるのを忘れない。そして一緒に写真を撮ってもらう。試合の印象から、どうしても私の中ではちょっと怖い人ということになっていたが、どうしてどうして、結構気さくな感じだった。 彼はすぐにタクシーに乗ってどこかへ行ってしまった。あとで関係者のドイツ人に聞いた話だが、彼はよく夜1人で出掛けて行くらしい。一体どこへ行くんだ、レーマン! すでに夜も11時を回るという時間。遅くなると連絡を入れておいたとはいえ、そろそろユースに帰らないと。リバちゃんと明日朝8時に再びロビーで落ち合うという約束をして、その日はすでにバスが終わっていたので、仕方なくタクシーでユースに帰った。ちなみにこのタクシーの運転手さんもすごく良い人で、私が、「2500円しかないので、それで行けるところまで行ってください。その後は歩くので。」と告げると、途中でメーターを倒してくれて、ユースの前まで送ってくれたのだ。 「どうせ、もうそろそろ帰ろうと思っていたところだから。君が乗ってくれて良かったよ」 そんなことが言える運転手さんってあまりいないと思う。私はとても感動した。 ユースのおばさんも待っていてくれて、「友達でもできたんだね。楽しかった?」と言葉を掛けてくれた。その上、「もうお風呂は掃除しちゃったけど入っていいよ」と言ってくれた。日本もまだまだ捨てたもんじゃないなと、しみじみ思えた夜だった。 しかしその晩も、再びニワトリ地獄が待っていた。更に興奮していたせいもあるが、あまり眠れないまま宮崎最後の朝を迎えた。 |