* 治療方法・雑誌『小児内科』より *



★ 副腎のコントロール:下垂体のスイッチ機能について ★

■ 先天性副腎過形成の分類
  21水酸化酵素欠損症(単純男性型)
  21水酸化酵素欠損症(塩喪失型)
  リポイド過形成症
  3βヒドロキシステロイド脱水素酵素欠損症
  17α水酸化酵素欠損症
  11β水酸化酵素欠損症

以上の分類は、コレステロールからアルドステロン、コルチゾール、男性性ホルモンを作られる過程で
その転換酵素の欠損部位によって分類できます。

◎治療法・・・・・・
酵素の欠損部位によって症状が異なります。(治療法は、21水酸化酵素欠損症についてです。)
21-水酸化酵素欠損症の治療は腫大した副腎を抑制する初期治療と生理的必要量の 補充を目的とする維持療法からなる。治療の目的は、安全に治療を導入すること、治 療を導入したあとは重篤な副腎不全をきたさないように良好なコントロールを得て、 患児に良好な育成、発達を遂げさせることおよび正常な性ホルモン機能を獲得させる。

1.初期治療
   〇塩喪失(電解質異常)を認めない場合
    経口にて糖質コルチコイド(コートリル、コートンなど)の大量投与を開始。
    5〜6日ずつ減量し、3〜4週後に維持療法へと移行する。
    途中、低ナトリウム血症や体重増加不良などの塩喪失所見を認めるときは、
    鉱質コルチコイド(フロリネフ)、食塩を経口的に補う。
    また、特殊ミルクを飲ませることもある。

   〇急性副腎不全症状をすでに起こしているとき
    塩喪失を認めた場合には、塩喪失症状を認めないときの準じた糖質コルチコイドの大量投与を行い、
    糖質コルチコイド減量中に鉱質コルチコイド、食塩の投与を開始する。
    治療開始時に頻回に嘔吐、脱水、意識障害、ショック、電解質異常、低血糖などの塩喪失症状や
    副腎不全症状を認めたときは、点滴と、糖質コルチコイド投与を平行して行う。
    全身投与が改善すれば、徐々に漸減し、経口治療へと移行する。

2.維持療法
    糖質コルチコイドの投与量の指標には血清17−OHP,血漿ACTH,
    尿中PT,17-KS,17-KGS分画比などが、
    鉱質コルチコイドおよびNaCI投与量の指標にはPRA,Na,K,CI,血圧などが
    用いられるが、検査値の正常化のみにとらわれるのではなく、
    身長、体重、身長増加率、体重増加率、肥満度、骨年齢などを
    できるだけ正常に保つように投与量を調節する。
    思春期年齢になると、糖質コルチコイドの必要量の増大、怠薬などのために
    コントロールが悪くなる症例が存在する。
    前思春期までのコントロールが良好であっても、思春期にコントロール不良となると
    低身長で終わってしまうため、思春期でのコントロールをよくすることが身長予後の改善には重要である。
    患者には、服薬の重要性を再認識させることが重要である。
    コントロールの悪化により骨年齢が進む場合や、急激なコントロールの改善により
    思春期早発症を起こしてきた場合には、LH-RH analog【リューブリンなど】を併用することが
    必要な場合もある。

3.ストレス時の対応
    発熱などのストレス時の対応を、本人および家族に指導することが必要であ る。
    実際に感冒などに伴う発熱、熱傷、大きな外傷などのストレス時には通常量の
    2から3倍量の糖質コルチコイドを投与する。
    嘔吐、下痢によって薬物の経口摂取が可能なときおよび糖質コルチコイド増量にても
    全身状態が改善しないときには、急性副腎不全に準じての治療が必要となる。
    状態が改善したら維持療法へ移行する。
    外科治療の時には、手術前からコルチゾールを増量し、術中、術後経口による
    内服が可能になるまで点滴投与する。
    経口摂取が可能となったら数日かけて減量し、維持療法に移行する。

4.外科的手術
    手術の必要性のある人は、先生より手術を勧められる場合もあります。
    


参考文献
雑誌「小児内科」Vol.33 No.12
「クレチン症と先天性副腎皮質過形成症」より抜粋

※ 患者のプライバシーに関わる表現を、一部、変えさせていただいてます。