まず21水酸化酵素欠損症の病態生理を解析するため欠損マウスを用いて視床下部-下垂体-副腎(HPA axis)のフィードバック系の異常、副腎皮質髄質の発達形態について解析した。
CRH、VPのmRNAの発現、下垂体でのPOMCのmRNA、蛋白の発現を in situ hybridization, immunohistochemistryにて観察したところ、CRHのmRNA、蛋白の発現は出生時欠損マウスでは正常に比べ約2倍増加していること、VPの蛋白の発現も増加していることを明らかにした。
また下垂体のPOMCのmRNAの発現レベルは正常に比べ4倍増加していた。
さらに治療により生存した成人欠損マウスについてもCRH、POMCmRNAのステロイド投与による正常化を検討したが、正常マウスに比べ抑制は有意に低下していた。
これらの結果本症では胎児期でのステロイド欠損によりHPA axisが活性化し、成人でも持続していることを示した。よって現在の治療法が改善されるべきことを示している。
また本症では副腎皮質の3層構造の発達が不完全なこと、副腎髄質のchromaffin細胞の構造、分布、分化の異常、そしてカテコールアミンの含有量の減少を認め、ヒトの本症やAddison病ノおけるepinephrineの低下を説明できるin vivoの所見(髄質の異常)を初めて示した。
ヒトCYP21cDNAをアデノウイルスベクターDNA蛋白複合体(AVG-2)にクローニングし精製した。またヒトゲノミックCYP21DNAはAdBp-4/SF-1の結合部分,cAMP反応性配列を5'領域を含んで-300base含んでPCRで増幅し、同様にAVC-2にクローニングし複製精製した。
予備実験としてAd-lacZを培養副腎細胞へ感染させ、lacZの染色を行い遺伝子導入の効率を検討したところ、副腎細胞に効率よく遺伝子導入を得ることができ、ほとんどがlacZ染色陽性であった。
またウイルスの至適タイターは50plaque-forming unit(PFU)また培養液中のコルチコステロン濃度は遺伝子導入後も変化しなかった。さらにin vivoでAd-lacZをマウス副腎に直接注入したところlacZの発現を得ることができ、この発現は導入後40日目まで確認できた。また副腎へのad-lacZ導入後アデノウイルスベクターの副作用の一つである組織の炎症はHE染色にて認められなかった。また副腎への遺伝子導入後マウス血清コルチコステロンの測定を行ったが、そのレベルに変化は認めなかった。
Ad-CYP21とAd-GCYP21をCOS-7細胞にトランスフェクションし、プロゲステロンからデオキシコルチコステロン、17OHプロゲステロンからデオキシコルチゾールへの変換を薄層クロマトグラフィーにて分離し、酵素活性を検酵素活性を検討したところ酵素活性の発現を得ることができた。最も高い酵素活性は100PFUのウイルスタイターによって得られた。しかしこれ以上のウイルスタイターでは細胞に対する毒性が顕著となり、導入後その酵素活性は逆に減少した。
さらに酵素活性の発現期間についてラット下垂体の培養細胞を用いて感染後経時的に酵素活性を測定したところ、4日目、7日目、14日目でそれぞれ75%,47%,26%の酵素活性を測定できた。また弱いながらも30日目まで酵素活性を確認できた。またウイルスの至適タイターはCOS細胞、ラット下垂体の培養細胞50PFUであった。