Tea Time Story
Written By MAYUMI
初めて彼女を見かけたのは、今日みたいに冷たい風が吹き始めた秋の日だった。
中間試験が近づいていた僕は、学校近くの喫茶店でレポートを書いていた。
ふと顔を上げると、1番奥の席で本を読んでいる彼女を見かけた。
ここから2駅はなれた高校の制服が珍しく、何となく印象に残っていた。
次に見かけたのは、それから1週間もたっていなかっただろう。
彼女は同じように本を読みながら、でも時々時計を見て、寂しそうな顔をしていた。
誰かと待ち合わせなんだろうか?
寂しそうな顔が、僕の心に焼き付いていた。
彼女はそれからも何度かその店で見かけた。
いつも1人きりで、時計を気にしながら本を読んでいた。
そして、ふと思い立ったように本を閉じ、店を出て帰っていく。
僕はいつも、その後ろ姿を見送った。
僕はいつの間にか、彼女に会える事を期待してその店に行くようになっていた。
期末試験も終わり、本格的な冬が近づき始めた頃、ぱったりと彼女は姿を見せなくなった。
僕はその時初めて彼女の事を何一つ、名前すら知らなかった自分に気がついた。
それから僕が彼女を見かけることは、二度となかった。
冷たい風が、秋の訪れを教えてくれる。
私は懐かしい気持ちでその風を見つめていた。
いつものようにカウンターでグラスを磨きながら、今日はそんな話をして見ようかと考えていた。
30年前の、甘くて苦い懐かしい思い出を。。。
。。。END。。。


