第二部 オープンマイク 十番手 山内君 戻る
「クレイオ」
クレイオは戦火を山麓に立って見下ろし
空漠たる荒れ野を平和の人に贈る
人は荒れ野に絶望しつつ
自らの手の業をその土塊に刻む
クレイオはその美貌で無知の子をいざない
暗闇の伝説を詩と偽りの泥沼に投げ込む
只管に運命と時とに歩む者を嗤笑し
時にその深淵を開いて自らを捨てた報いの深さを知らせる
クレイオは曙とともに息ぶき黄昏と共に休み
人の子の汚れた夜の業をかえりみることはない
影曳かぬ者から生命の喜びを奪い
人はあなたの故に生きるべき時を知り
クレイオは人の子の作った歴史を
灰か水か土くれの下へ気まぐれに閉ざし
荒れ狂うクロノスの復讐の手から
アポロンの宝物をイタズラの褒美に秘め隠す
クレイオは遠つ国の巧みをたしなみ宝珠の煌きを愛で
草枕旅人を迎えその指先の業の故に旅路を安じる
本能に従い打ち砕く者の暴力と鉄と火と手足と五官に
時の呪いをかけ洪水を及ぼし消し去る