4、再びナホトカへ
11月5日、半年間夢にまで見たナホトカに到着、砂浜に立ち、再び日本海を眺めた
とき、“今度こそ間違いなく帰れるだろう と、胸が熱くなった。 ここで約2週間にわたって、半年前と同じ民主教育が活発に行われたが、この前
の時、逆送された苦い経験をしていたので、今度は同じ轍を踏まないように、心に
もない“スターリン万歳 を叫び、“民主同盟 を称え、“ソ連万歳 を繰り返し
声を枯らして叫んだ。 それが真実の叫びであろうと、偽りの叫びであろうと、それは何としても、帰国
の切符を手にするために私達にできる精一杯の努力であった。 もしも、冬を目前にしたこの時期に逆送されれば、再びあの酷寒の冬を越さなく
てはならないし、そうなれば生命の保証はされないからである。 だから、極論を言えば、非情なようではあるが誰もが他人のことなど構って居れ
ない心境だったと思う。 ここではアルファベット順に並ばされて、同じ村井姓で、江戸っ子の村井徳三氏
(東京都足立区在住)と一緒になって、未だに親しく文通を続けている。
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