デジタル一眼レフと交換レンズの相性の本当のところ
- これからデジ一眼レフカメラを買う方の参考に -


【「能書きはいらない。比較画像だけが見たい」という方はこちらをどうぞ】

●各レンズのMFでの画像比較(シグマ24-70/f2.8、シグマ28-70/f2.8、ニコン24-85/f3.5-4.5G、E-10)
●AFでの画像比較(1回目調整後)
●AFでの画像比較-最終調整(現在)


【キャノンEOS KissDigital、10D、ニコン D70について2004/03/23現在

本レポートは2002年8月18日に書いたものがベースとなっていますが、みなさんから頂いたメールを読む限り、状況は変わらないようです。具体的には、キャノン10D、EOS KissDigitalでもピントが合わないという報告がたくさん届いています。
ニコンD70については、発売直前と言うこともあり、まだ報告はありませんが、D100の改善廉価版ということもあって、大きな変化は望めそうにないのが正直なところです。


■本レポートの主旨

ニコンD100、キャノンD60、FinePix S2Proなどの通称「デジタル一眼レフカメラ」の購入を検討していた時、ネットの掲示板などで「解像度が低い」や「絞りを1-2段絞ればカリっとする」などの表現を目にしてきました。

こういったことばだけの表現では一体どんな画像になってしまうのか、最近の一眼レフカメラにうとい私にはイメージが沸きにくかったのが本音でした。

ネットに散在しているD100のサンプル写真を見ても「きれいに撮ってある」ものが多く、「失敗したらどうなってしまうのか」の情報が文字以外ではまったくない状態でした。

しかし、今回ニコンD100を発売日に購入し、初めてそれらの言葉の持つ意味が分かってしまったのです。

このレポートは「失敗したらこうなる」ということをお伝えするために書きました。

■本レポートの「非」対象者

このレポートは次の項目に当てはまる方「以外」には参考にならないと思います。

●高解像度デジタル一眼レフ(D100、D60、S2Pro)の購入を検討あるいは所有していて、かつ
●ズームレンズを検討あるいは所有していて、かつ
●それが比較的明るいレンズ(f2.8やf3.5)であり、かつ
●比較的開放や開放に近い(f2.8やf3.5)露出で撮る予定

がある人です。
要するに

「室内や暗い場所で撮影したいので、価格が高いけど明るいレンズが欲しい」

と思っている方と言い換えても結構です。


ニコンもレンズメーカーもお互いの相性について、何ら保証をしているわけではありません。従って、私は文句を言える立場ではありません。
しかし、私のような勘違いで失敗しないように、ある条件下での撮影を検討している方のご参考になるのではないかと思い、このページを作りました。

■レンズメーカーが認める、合わないピント

原寸、f3.5、画角=60mm

ピントは中央「F 2.8 D」に合わせた「ハズ」のもの

【シグマ24-70mm /f2.8】

この画像をご覧ください。ピントがボケています。
これはニコンD100とレンズメーカー(シグマ)のズームレンズとの組み合わせで撮った写真です。
故意ではないし、故障でもありません。
事実、シグマから

「残念ですが、これ以上の調整はムリです。
どうしてもというなら、個体差があるので、お客様に合った個体を探すしか方法がありません」

と一度は宣言されてしまった絵です。もちろん、何万本ものレンズを1つ1つカメラに装着して確かめることは不可能です。

私は真っ青になりました。
レンズ込みセット購入で40万円をドブに捨てたわけですから。

「そんなバカな」とお思いでしょう。私も最初に自分が撮った写真を見て、そう思いました。
一般ユーザーがD100で撮った写真が様々なサイトや掲示板に掲載されていますが、こんなピンボケ写真は見たことがありません。だから、気軽にメーカーに再度ピント調整を依頼したのです。
しかし、正式回答が「これ以上はムリ」でした。

【注】後日粘りに粘って、何とか調整してもらいましたが、十分とは言い切れません。

■ピントが合わない条件とは

さて、他の一般ユーザーはちゃんとした写真を撮っています。
ただ、D1Xなどの高解像度のデジ一眼では、D100発売以前からこんな情報もありました。

●あるレンズは望遠開放ではピントが極端に甘くなり、露出を1-2段絞るとカリッとする
●明るいレンズはピントが極端に甘くなる傾向がある

私はこれらの現象がなぜ発生するのかを理解しておらず「望遠開放で使わなければいいだろう」「明るいレンズは人の評判を聞いてからにしよう」と表面的な対応しかしていませんでした。
私が購入したレンズ(シグマ24-70mm F2.8 EX DG ASPHERICAL DF)はD1Xのような高解像デジ一眼でも定評があったので購入しました。しかし、結局はこの現象(ピンぼけ)です。

このピンぼけ状態は、メーカー担当者の説明を聞くと、一般的にある条件下で発生する可能性が高いようです。

●ズームレンズであり、かつ
●比較的明るいレンズ(f2.8やf3.5)であり、かつ
●比較的開放や開放に近い(f2.8やf3.5)露出

の時に起きるとのことです。
要するに

「暗いところでも撮れる、明るいズームレンズが欲しい」

といった時に極めて発生しやすいことに他ならず、高解像度のデジ一眼では室内撮影はできない可能性が高いという結論になります(もっとも、私の購入したレンズはf5に絞ってもピントが合わないので、上の2つの条件だけでも発生しますが)。

いや、これは私の勝手な想像だけではありません。当のシグマが

「D100だけの現象ではなく、キャノンD60でも発生する。自社だけではなくレンズメーカー各社がそれで頭を抱えている」

と説明していました。
この担当者のことばを信用すれば、本体がニコンであってもキャノンであっても、レンズメーカーがどこであっても発生する根本的な問題だとということになります。

事実、キャノンではD60でのピンぼけ苦情が多いため、レンズ調整を有償(10,000円)で始めました。また、タムロンは先日「自社レンズをデジタルカメラに装着する場合は消費者の自己責任で」と宣言しました。

これで謎が解けました。
D100ユーザー写真の大半が屋外で撮ったものですから、この条件に当てはまりません。ピントが普通に合うはずです。
明るいズームレンズでも屋外の光量のあるところなら、このような問題は発生しません。

【注】もっとも、全ズーム域f2.8のレンズは例えばf3.5-5.6のような暗いレンズの2倍以上の価格ですから、わざわざ明るいレンズを買う必要があるかどうかは別問題ですが。

■ピントが合わない理由
 - 現象面の説明

さて、それではなぜこのような現象が起きてしまうのか。
シグマ担当者の説明を聞いても、結局、よく分かりませんでした。従って、ここでは現象面だけを説明します。

原寸、画角=70mmf2.8

【シグマ24-70mm /f2.8】

まず、この絵をご覧下さい。
ピントが合っているところは比較的くっきりと、でもその領域を過ぎるとボケます。いわゆる被写界深度といわれるものです。
これは絞りを開くと(例えばf2.8)暗いところでも撮りやすくなりますが、ピントが合う領域が狭くなり、絞りを絞ると(例えばf5)周囲が明るくないと写真が暗くなってしまいますが、ピントが合う領域が広くなります。

一眼レフの世界では、ピントが合わない領域をボケ味と呼び、このボケのきれいさを楽しむ人も多いくらい大切なことです。

■ピントが合わないということはどういうことか

冒頭に上げた写真はピンぼけでしたが、まったく合っていないというのとはちょっと違います。

図を見て下さい。
図Aはフィルムの場合(や低解像度デジ一眼)の場合です。
近距離と遠距離ではピントが合う位置が微妙にずれています。しかし、解像度が低くピントが合う領域が広いために、その領域内にピントが入ります。

図Bは高解像度デジ一眼の場合です。
ピントが合う領域が狭いために、近距離でピントが合うようにレンズを調整すると、遠距離(特に無限遠)ではピントの位置が領域から外れてしまいます。
逆のケースもあります。

一般的に「絞るとカリッとする」と言われるのは、絞りを絞るとピントが合う領域が広くなるからです。
しかし、私のレンズはそれすらも許容できないくらいにレンズがずれてしまっていたのです。そして、それがシグマによると「自社だけでなく各社の限界です」ということなのでした。

【注】「600万画素だから解像度が高すぎて歪みが目立つ」のは、1つの要素であって、すべてではありません。高解像度だとレンズの相性がシビアと言われていたのもひとつの理由で、私はD100では300万画素モードでしか撮っていません。サンプル画像はすべて300万画素です。それでも、この現象が発生します。

レンズメーカーのレンズ、原寸、画角=70mm

f2.8

ピントは3行目の「INTER」の「R」

【シグマ24-70mm /f2.8】

この写真を見て下さい。
問題のあったレンズ(シグマ24-70mm F2.8 EX DG ASPHERICAL DF)で撮影したものです。
ピントが合っているところは比較的きれいに写っています。何ら問題がないように見えます。この部分をもってして、「シグマのレンズは…」「D100の解像度は…」と議論するのは構いませんし、事実私は、ネットの掲示板ではこの「ピントが合っている場所」について、議論されているものだとばかり思っていました。

しかし、問題なのは私がオートフォーカスで合わせたのは、この写真でピントが合った場所ではないということです。ピントは3行目の「INTER」の「R」に合わせたのですが、全然別の場所にピントが合ってしまっています。
ピントを合わせようとしたところは被写界深度のピント領域から外れているので、冒頭に上げた写真のようにボケてしまうというわけです。

【注】こちらのページはピントを合わせた場所を分かりやすく表示したものです。
●AFでの画像比較(1回目調整後)

いわゆる「前ピン」「後ピン」と言われるオートフォーカスの精度のズレが併発しており、本体やレンズを調整することで正常になると言われているものです。しかし、普通の「前ピン」「後ピン」調整程度では「ごまかしが利かない(メーカー談)」のです。
その程度はf5にして領域を広げても間に合わないくらい修復不可能なものでした。

ではマニュアル・フォーカスなら大丈夫かというとそうでもありません。こちらの画像は最初マニュアルで撮ったものです。一眼レフですからファインダーを覗くとピンぼけは分かるはずですが、ファインダーではピンが合っていても、はき出す画像はこのとおりなのです。

●各レンズのMFでの画像比較(シグマ24-70/f2.8、シグマ28-70/f2.8、ニコン24-85/f3.5-4.5G、E-10)

【注】正確に言えば、レンズメーカーに見せたのはこの写真です。

■回避方法はないが、妥協点ならあるかも知れない
回避方法はあるのでしょうか。
シグマによると、「現状では、ない」とのことです。
それでは妥協点はあるのでしょうか。
人それぞれ、カメラを買う理由が違うので、とりあえず色々な可能性を列記してみました。
●近距離あるいは遠距離いずれかのピントを犠牲にしてでも、メーカーに調整してもらう

要するに「5メートル以下の被写体しか撮れないレンズ・カメラ」「5メートル以上の被写体しか撮れないレンズ・カメラ」として割り切る方法です。
パンフォーカスでない、オートフォーカスやマニュアルフォーカス付きのレンズやカメラでは、1万円の廉価版でもこんな機能制限は見たことがなく、40万円のカメラがそんな制限がつくことに議論はあるとは思いますが、現状の高解像度デジ一眼とレンズでは仕方がありません。

また、これは私の場合、ホームページの作品の中の「影」のような作品は高解像度デジ一眼を使っている限り永遠に撮れなくなることを意味しています(倉庫で撮ったポートレート。室内で5メートル以上の被写体を撮っています)。

ちなみに、今回の場合、シグマが提案してきたのがこの方法でしたが、結局、できませんでした。

●明るいレンズであっても開放や開放近くの露出は諦める

f8やf11のように露出を絞ればピントが合う領域が広くなるので、明るいレンズも使えるようになります。

ただ、全ズーム域f/2.8の性能を持ったレンズであっても、f/2.8やf/3.2で撮れないのでは宝の持ち腐れです。1段暗いレンズなら半額で買えるのですから。
逆に言えば、現状の高解像度デジ一眼では明るいレンズは使えない(=室内撮影はできない)ことになります。

もちろん、この妥協案でも解決しないレンズ個体があるかもしれません。事実、私のレンズはf/5でもピントが合いませんし、メーカーもできないと言っています。

●明るいレンズは買わない

暗いレンズは絞りが一定以上開けないので、ピントが合う領域が必然的に広くなります。従って、ピンぼけの写真を間違えて撮ってしまうことがなくなります。根本的な解決ではありませんが、ピンぼけ写真を撮ってしまう機会は減ります。

実は、ニコンから同時発売されたAF-S Zoom Nikkor ED 24-85mm F3.5-4.5G (IF)は、レンズの歪みを極力修正するだけでなく、露出を暗くすることでシビアなピント領域の狭さを広げて、事態を乗り切っているようにも見えます。
実際、旧タイプのAF Zoom Nikkor 24-85mm F2.8-4D (IF)は新タイプより明るいためか、望遠開放だと解像度が悪化する(ピンぼけする=ピントが合う領域が新型より狭い?)との報告が多々なされていました。

ニコンのレンズ、

原寸、画角=60mm

f4.5

ピントは3行目の「INTER」の「R

【ニコン24-85mm /f2.5-4.5G】

私の場合はこの妥協案は採用できませんでした。室内ポートレートが90%以上も占めるので、明るいレンズを使わないということは「撮りたい写真を諦める」ことと同じ意味になるからです。

ちなみに、暗いレンズでもISO値を上げれば一見対応できます。しかし、私の要求基準で言えば、ISO400以上では求める画質を得ることができませんでした。ISO640(とNikkor ED 24-85G)で撮影したことがありますが、暗部の荒れはE-10以下の画質になります。

D100やD60の基本ISOは200なので、ISO100を基準とする暗いレンズでも明るいレンズと同じような扱いになります。計算上、f4のレンズはD100やD60に装着するとf2.8相当になりますから、一見問題がなさそうに見えます。

しかし、D100は白飛びを防ぐためかアンダー傾向の絵づくりをしますから、f4のレンズはISO200でもf4程度の明るさしか確保できません。D100ユーザーのコーミンさんという方がD100のアンダー傾向を解消する方法をご提案しているので、一度試してみようかとは思っていますが。

●オートフォーカスは使わずにマニュアルフォーカス機として割り切る。

上記でサンプル画像をお見せしたように、私が購入したレンズではマニュアルフォーカスでもピンぼけ現象が発生しました。ただ、オートフォーカスのズレ(前ビン、後ピン)が併発するとピントが合うものも合わなくなります。マニュアルフォーカスならうまく行く場合もあるようです。事実、第1回目の調整ではマニュアルフォーカスでピントが合うようになりました(オートフォーカスではピンぼけのままでしたが)。

近接撮影(マクロ撮影。花や昆虫などを近くで撮る)をする方たちは、オートフォーカスだとピントがずれるので、銀塩カメラでもマニュアルで撮影するのが常識だそうです。

ただ、ポートレートを撮る立場からすると、レンズ込みで40万円のカメラのオートフォーカスが故障した状態ですから、妥協できるかどうかは微妙なところです。
私に限っていえば、「勘弁して欲しい」です。

●ズームレンズは使わず、単焦点レンズにする。

単焦点レンズでもピンボケ問題が全て解決するかどうか分かりませんが、技術的な話を勘案するとズームレンズよりは精度は高い(マシな)ようです。
一方、銀塩カメラからの熟練ユーザーほど「単焦点を使ったらどうか」と言われます。
これもひとつの方法でしょう(保証はできませんが)。

ちなみに、私の場合、ズームレンズはモデルの安全のためにも必須です。
撮影時は狭い場所をタングステン・ライトでモデルを囲っているので、ただでさえ私が動くとスタンドを倒してランプを割ってしまいます。ズームレンズを使うことで、モデルの安全を確保している部分が多々あるのです。もっとも、これはかなり特殊な私だけの事情ですが。

●高解像度デジ一眼専用設計の明るいレンズを待つ

最も根本的な解決方法です。
ただし、いつになるかわからないのが最大の問題点です。
高解像度デジ一眼専用設計のレンズはニコンもキャノンも開発に力を入れていると聞きますが、明るいズームレンズは今のところ出現していません。

ただでさえ、高解像度デジ一眼の世界は2年間で世代が変わりますから(キャノンは1年間)、40万円をドブに捨ててもE-10に戻り、それらが出てから再度買い直した方が、私の場合は賢明ではないかとすら思っています。

●現状のレンズが使えるようなフルサイズCCDの高解像度デジ一眼本体を待つ

つい先日キャノンとコダックからフルサイズCCDのデジ一眼が発表されました。
レンズの歪みはAPSサイズCCDではアラも1.5倍目立ちます(メーカー談)。従って、フルサイズCCDなら目立ち方も少ないかも知れません。しかし、今まで説明したように、ピントが合わない原因は1.5倍のアラだけではありませんので、どれだけ解決策になるかは未知数です。

しかし、フルサイズCCD採用のデジ一眼はキャノンで70-80万円、コダックでも40-50万円(発表では4,000ドル)で、私には手が出ないほど高いです。D100を買ったのもレンズ込みで40万円で済むようになったからであり、そこまで価格が下がらなければ、初めからE-10を使い続けていました。

【注】田中希美男さんのページ(Photo of the Day のコーナー2002.9.27の日記)で、キャノン1Dsの感想が掲載されていました。ピンぼけ(「ピンぼけ(ピント合わせ位置のごくわずかなズレ)」と表現されていました)が、「はっきりと、冷酷なまでにわかってしまう」そうです。これで、この案はうち消されてしまったことになります。ちなみに、この方ははっきりと「ピンぼけ」という単語を使っていました。大変、好感が持てる姿勢だと思います(2002.9.30追記)。

●レンズメーカーにしつこく粘り、できる限り調整してもらう

最終的に私が取った方法です。粘りに粘って結局2カ月もかかってしまいました。一度は「不可能です」と断られました。
それでも、問題のシグマ24-70mm F2.8 EX DG ASPHERICAL DFは多少ピンが外れたまま、シグマ28-70mm F2.8 EX ASPHERICAL DFに至っては、D100ではまったく使い物にならない状態で放置されることになりました。
これでもまだマシな方でしょうか。キャノンは有償ですが、上記で見たように何回調整しようが完治する保証はどこにもないし、タムロンに至っては相手すらしてもらえないようです。

●AFでの画像比較-最終調整(現在)


■現状のデジ一眼レフについての私見
 - 不得意な分野をあらかじめ分かって使いたい

現在の高解像度デジ一眼は本体だけが先へ先へと進化して、レンズが後を追っている印象があります。
カメラはレンズがなければタダの箱ですから、両者をセット(システム)として考えると、まだまだ未完成でありオールマイティではありません。
「ピントが合わないカメラ」は例えていえば、「時速30kmしか出ないスポーツカー」のようなものです。

その特性を知っていれば(例えば、街中でスポーツカーを走らせる)、高解像度デジ一眼の良さを満喫することは可能です。そして、それが屋外撮影や光量のある環境での撮影です。
しかし、こと暗い場所での撮影(あるいは明るいレンズが必要な撮影)では、まだまだ「本体にレンズが追いついていない商品」との印象が強いです。

そういう意味ではE-10くらいが室内でも屋外でもそこそこ使えて、近距離も遠距離も問題がない、現在のデジタルカメラでは最も本体とレンズのバランスが取れているのではないかと私は思い始めています。

もちろん、私が「自分の撮りたい写真が主役で、それを可能にしてくれるカメラを探しているのであって、初めにカメラありきではない」と感じているように、それぞれのカメラを趣味にしている人たちも同様です。
そこに高解像度デジ一眼がピッタリはまっていれば、高解像度デジ一眼はE-10よりも使い勝手や画質がよいので、それはそれで素晴らしいことだと思います。

ただ、これまで見てきたように、カメラの上級者が言う「解像度が甘い」ということは、私のような初心者には「ピンぼけ」ということばの方が分かりやすいし、「f8まで絞ればカリっとする」ということは「晴天下でないとピンぼけする」というような表現でないと分かりにくいのも確かです。

このレポートは私のような撮影環境を前提に高解像度デジ一眼を考えている方の参考に少しでもなればと思い公開しました。

■本レポート公開後のお話(2002.9.29)(2002.10.17加筆)(2003.4.12項目追加)

公開から2日しか経っていないのに、2,000人以上の方々がこのレポートを読んで頂きました。その中で、分かったことがいくつかあります。主に掲示板でのアドバイスです。そのお返事を多少編集してここに公開いたします。

たった公開後2日で気が早いと思いますが、重要だと思われたものも多かったので、まずはどうぞ。

●少なくともD100でピントが合うレンズが存在するようです

様々な方から「純正ならピントが合う」「自分のレンズは純正でも合わない」「私のレンズは問題がない」などの情報を頂きました。
惜しむらくは純正以外の明るいズームレンズで具体的な型番を上げて頂いた方はまだいらっしゃいません。
また、後述するように、ある固定焦点レンズは私のD100できちんとピントが合いました。

しかし、個体差がかなりあるようです。一概に「この型番は良い」というようなものは、今のところ確認できていません。


【注】本レポート発表から1カ月経った現在(2002.10.17)でも「初心者ですが、私もピントが合わなかった」というメールはたくさん頂きましたが、「このレンズならF2.8でもピントが合いますよ」というメールは1通も頂いていません。それよりも「D100とシグマだけの問題なのに、一般的なデジ一眼の問題にすり替えるのはけしからん」「初心者は黙っておれ」「お前には数万円のコンパクトカメラがお似合いだ。女やガキと一緒に安いカメラをありがたがって使っていりゃいいんだ(原文のままです。この方は銀塩カメラ30年のベテランだそうです)」(これは本当かも(汗))というメールはそれ以上頂いています。

ことの真偽は私のも分かりません。
しかし、一部の「初心者を見下すだけで、解決案を持っていない上級者」がカメラ業界を甘やかし、自分たちの「えへん。オレは偉いんだ」ポジションを守ろうとするマニア体質が今回をきっかけにしていやというほど分かり、カメラ業界(およびその取り巻き)が嫌いになってしまったのは悲しいことです。

ちなみに、まともに対応してくれた上級者ももちろんいらっしゃいました。ただ、悲しいことにその数は圧倒的に少なく、「一部、いい人もいるんだなぁ」という印象しか受けることができなかったのは残念なことです。

●レンズメーカーのレンズのピントが合わないからといって、デジ一眼全ての問題のように書かないで欲しい、というご意見も頂きました

私のレポートの大前提のひとつが

「企業は情報を隠すことはあっても、事実と異なることはユーザーに回答しない」

でした。
従って、シグマ担当者の次の言葉を全面的に信用して書いたものです。

「D100だけの現象ではなく、キャノンD60でも発生する。自社だけではなくレンズメーカー各社がそれで頭を抱えている」

私が返品などのアクションを強力に起こさず(後述するようにちょっとだけは話しましたが)、一人で悩んでいたのもそのためです。

もし、上記の言葉が事実でなければ(例えば、純正ならばこういった問題は起こり「にくい」なら)、私のレポートの存在自体が怪しくなります。
つまりシグマ担当者の発言が「正」ではなく、「純正はピントが合い『やすい』」「(少なくとも)シグマはピントが合い『にくい』」が結論だとすれば、このレポートは単純に「互換メーカーのシグマのAFを含めたレンズ性能の善し悪し」という主旨に変化してしまいます…


【注2002.10.17】これは同時に「シグマが私に嘘をついた」ということにもなりますが、上の項目にもあるように、誰も解決案を提示できていないところを見ると、シグマはむしろ本当のことを言っているように思えます。

●初心者がイメージしている「できること」と、上級者が理解している「使えること」に差があることが、よく分かりました

上級者の方々から

「銀塩カメラでもAFは必ずしも信用してはいけない」
「銀塩カメラでも開放できちんと撮れるとは限らない」

といったご指摘を頂き、とても勉強になりました。

私のような初心者にとって

「オートフォーカス機能つき」
「f2.8まで絞りをあけらる」
「ニコンレンズ互換」

とカタログや商品名に書かれていると、そのままの語句で理解してしまいます(ニコンレンズ互換だから、画質の善し悪しは別にして、少なくとも基本機能であるピントくらいは合うだろう、という勝手な理解も含めて)。

ましてや、シグマのサイトで

DGレンズ この機種は、広角で最短撮影距離が短い大口径レンズです。周辺光量も豊富で、レンズ交換式デジタル一眼レフカメラにも適しています」

と書いてあれば、そのまま受け取ってしまいます(もっとも、読みようによっては「デジ一眼レフに適しているのは周辺光量であって、ピントではない」とも解釈できますが…)

E-10や数万円台のデジカメを含む安いカメラではそこそこピントが合っている(ように見える、と理解すべきでしょうか)ことを経験しているだけに、「高価なものなら、もっとすごいのだろう」と想像してしまいます。

デジカメについては最初FinePix6900を購入し、ピントを含む画質に満足行かなかったので、E-10を購入し「やはり高いものはいいのだ」という成功体験がなまじあっただけに、その少ない経験を過信していたようです。

それでも、D100を購入するに当たり、安全のためにデジタル一眼レフカメラの情報収集に200時間以上費やしました。AFや明るいレンズの制限についての情報はあったのかも知れませんが、上記の

「高いものはいいものだ。しかもE-10の4倍の価格なのだ」

という思い込みで目が曇ったのでしょうか。頭にまったく残っていませんでした。

あの長時間の情報収集でも足りなかったくらいに、一眼レフの世界は奥が深かったことを思い知らされた気がします。

一歩間違えれば牛肉の表示のように「(事情を知らない初心者にとっては)誠実でない業界慣習」ですが、長年、一眼レフカメラ業界はこれでやってきたのですから、仕方がないことです。私のような初心者ひとりがどうこう言って変わるものではありませんから。

一方で、上級者の方々は「自衛手段」としてカメラを勉強し、それらの「表示とは異なる商品」とつきあってきたのですから、その努力に頭が下がる思いです。
一眼レフカメラの世界は、初心者が気軽に足を踏み入れてはいけなかった分野なのではないかと、今更ながら痛感しました。


【注2003.4.13】上級者の中でも上位に位置するプロカメラマンでも驚くほど、デジ一眼のピントは合っていないことが分かりました。このボックスの下で紹介しました。

どうも上級者と初心者の違いということで説明がつかなくなって来たようです。
あるいは「銀塩カメラでもAFは必ずしも信用してはいけない」と発言した方は、デジ一眼の「ピントの合わなさのすごさ/ひどさ」を知らないだけなのかも知れません。

上級者の方々にはここの写真も見ずに「どうせ初心者なのだから、このHPの写真もピンぼけではなく手ぶれだろう」と一刀両断された方もいらっしゃいました。知識がありすぎて、過去の経験だけから判断するのはカメラの世界に限らず、医者などの世界でも「どうせ●●だろう」という方は多いですから。

もっとも、このプロカメラマンの方はデジ一眼(とAF)は初心者のようですから、「上級 vs 初級」という図式は変わらないかも知れません。

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●初心者と上級者の理解のギャップがあることで、納得したことがあります

シグマに「レンズを交換して欲しい」と依頼したことがありましたが、結局「社内規定にない」ということで断られています。
彼は頻繁に「うちは下取りはしていない」という表現をしていました。私から見れば「『標記』『説明』と異なる商品個体」なのでユーザーの正当な権利を主張したつもりでしたが、今から考えると彼らにとっては「基準の範囲内の正常な個体」ということなのでしょう。それならば、対応してくれなかったのも理解できます。

ちなみに、シグマは「定価の半額で特別に譲ります」と最後に提案してくれましたが、妙な経済的便益を受けてしまうと、(それまでに散々、レンズ調整で粘っていたこともあり)それこそクレーマー扱いされかねないので、丁重にお断りしました。

私が所有しているシグマ24-70はある事情があって販売店が遠方で、販売店に交渉する訳にもいかないので、事実上、返品などの対策はできません。

●ボディの問題ではないかとのお話があり、藁をもすがる気でいたのですが…

ある方からD1Xでの経験で、ご友人の個体で問題があったレンズを「相性だろう」と問題がない環境(ボディとレンズ)のレンズを貸したところ、ピントがやはり合わなかったので、交換したら直った、という話を頂きました。従って、私の問題もボディではないかというお話でした。

ところが、昨日このページを見た友人が「安かったから」とシグマの古いレンズを買ってきてくれました(既に生産中止品だとのこと)。「SIGMA AF SUPER WIDE」と書かれている、24mm、F2.8の固定焦点レンズでした。試写したところ…オートフォーカスで開放で撮ったにもかかわらず、私の求めるピントが来ていたのです(泣)

このピントでズームがあるなら…
ボディの問題じゃない…

と見せつけられて、愕然としました。「とりあえず、『ちょっとピンぼけ』で、交渉打ち切り」をしたのを後悔したほどです。

かといって、ニコンの高価な純正レンズであっても個体差が相当あるのはみなさんの情報で分かりました(ある方はD1XとNikkor 28-70/f2.8という20万円以上の高価な純正レンズでも、ピンぼけしたのでニコンに調整依頼をしたと報告して頂きました)。また、大三元のような20万円もするレンズは手が出ません。現在、途方に暮れてしまっているのが本音です。
ちなみに、新たにその画像をアップしておきました。撮影条件が違うので、あくまでもご参考までに。

最終調整後の実戦投入

●モニタで等倍で見てはいけない、印刷すれば大丈夫な場合もあるとの指摘を頂きました

私もそう思います。モニタで拡大してあら探しをするつもりはありません。第一、私はそこまで精緻な腕を持っていませんもの(汗)

しかし、最終調整後のレンズをf3.2で撮った写真を素人モデルさんに差し上げた時

「ちゃっきぃさん、今回はずっとソフトフィルターで撮ったんですね。きれいです。ありがとう」

と言われてしまいました。カメラの輪郭強調を「強」にして、かつPhotoshopで、これ以上加工すると画像が破綻してしまったりするギリギリまでアンシャープマスクをかけまくった結果の絵です。

普通の人が見ても「クリアでない」写真に仕上がってしまうレンズでは、やはり困ってしまいます。クリアな画像はいくらでもソフトにできますが、その逆はできないからです。


今後どうするかはまだ決めていませんが、みなさんのアドバイスに感謝いたします。

●上級者(プロの写真家)でもデジ一眼のビントに疑問を持って、テストをしていた方がいらっしゃいました(2003年4月12日追加)

D100だとF1.4からF8まで、すべて1.5cm前ピンだったそうです。
ちなみにD60+F1.4(開放)では2-3cmの後ピン。
私の実験より、こちらの方が正確でしょうから、ご参考までに。

この方は広告写真家、つまりプロの方ですね。私とは格がまったく違います。

新藤修一の仕事場
【2003/04/12 予期せぬ結末。キャノンEOS D60、フジ FinePix S2Pro、ニコンD100】
http://shindo-s.hp.infoseek.co.jp/ending/end10_0304.html#Anchor1073844